建築・建材展 2005 会場レポート1(3月1日)~拡大するリフォーム市場に向けて
今年で11回目の開催となる「建築・建材展2005」(東京ビッグサイト・東5ホール)が、3月1日(火)開幕した。朝から空は晴れ渡り絶好のイベント日和となった。午前中の出足が思いのほか少なく心配されたが、午後3時を過ぎた頃から入場者もかなり増え始め、関係者もホッと胸をなで下ろしていたに違いない。今回出展されているのは、快適・健康・安全な住環境・商環境をめざしている住宅建材、店舗建材、ビル建材や設備機器とその関連製品だが、その中から近年ニーズの高い「リフォーム」にかかわる建材や建築技術、ならびに特別企画「住まいのリフォーム・街のリニューアル」を中心にレポートしてみた。

3月1日に開幕した建築・建材展 2005の会場風景
■リフォームでも役立つCADやCG
特別企画「住まいのリフォーム・街のリニューアル」(12社)は、施工のしやすいリフォーム適合建材や景観材料などを紹介すると共に、それらの計画や設計を行うCAD・CGなどのアプリケーションソフトをプレゼンテーションしているブース。なかでもわかりやすいのが「バーチャルハウス」(福井コンピュータ)や「リアリムネットサービス」(タスデータ)などのCAD・CG。前者は、リフォーム前とリフォーム後のパースをディスプレイ上に並べて表示し、それらを同時に動かして見せることができる新機能を従来製品に追加。また、リフォームではかなりのウェイトを占める建材や設備機器のデータベースをより充実させ(45,000点以上)、新製品についてもWeb上から随時ダウンロードできるという。さらに、6月からは施主が自らこれらの建材・設備機器データを検索できる施主向けのサイトを立ち上げる予定もある。このように、建材や設備機器といったハードウェアだけでなく、ソフトウェアの開発にもかなり力が注がれているようだ。

特別企画「住まいのリフォーム・街のリニューアル」に出展している
各社によるプレゼンテーションの様子。

工務店やビルダーと施主をつなぐCAD・CGなどのツールの
プレゼンテーションを行う福井コンピュータのブース。
■目立たない仮設工事で真価を発揮する
新築はもちろんのことリフォームにも欠かせないのが仮設工事。「セブン足場」(三共)は、足場のサイズが豊富で組み立てや解体が簡単なため、狭小地や複雑な形状の敷地、隣接する建物などの難しい条件下でも容易にかつ短時間に施工でき、リフォームやリニューアルに適している。一方、養生用仮設柱「マジックウォール」(ミルックス)は、突っ張り棒のような伸縮式のポール。これを立て、ヘッドに養生用シートを挟み込めば、仮設間仕切り壁ができるしくみ。オリジナルの両面テープ付きファスナー「マジックドア」を取り付ければ、任意の位置に開口部も設けられる。いずれも地味な存在だが施工には必須で、コストダウンや工期短縮にも貢献する仮設建材。こうした建材への関心がさらに高まることを期待している。

スピーディーでフレキシブルな施工ができる
「セブン足場」の実演を行っている三共のブース。
狭小地でも対応でき、住宅ならば半日でできるという。

さまざまな場所に短時間で、しかも簡単に
女性でも仮設間仕切りを設けることができる
「マジックウォール」を紹介しているミルックス。
■アクリルやガラスの透明感を最大限に生かす
近年、建築家をはじめとするデザイナーが設計するマンションの人気が高まっている。シンプル&モダンが魅力だそうだ。そんなデザイナーズマンションの内装としておもしろそうなのが、ガラスやアクリルを用いたインテリアの提案。「FLUQS(フルクス)」(スガツネ工業)は、アクリルやガラスを棚板に用い、その美しい透明感を存分に生かしているウォールシステム(壁面収納)。他のシリーズでも、LED照明を組み込んだアクリル板など、店舗等のディスプレイのような雰囲気を住宅やオフィスでも醸し出すことができる。これらは、すべて新築のみならずリフォームでも対応できる商品。従来から提案されている引き戸、開き戸、折り戸、スイングドアなどの扉類<ラプコン>と合わせて、マンションでの需要を見込んでいるという。

アクリル板やLED照明を用いたユニットシェルフを提案しているスガツネ工業のブース。
日本では珍しいガラスの階段システムなども出展している。
■経済性に優れバリアフリーな床暖房システム
「頭寒足熱」で健康的と以前から評価の高い床暖房。なかでも、近ごろ人気のオール電化住宅にふさわしいのが温水式床暖房だ。しかし、リフォームなどの後付では、システムの厚さゆえ床に段差が生じやすく、また、厚さを抑えると耐久性が低下するという問題を抱えていた。そこで、新たに開発されたのがダイライトをフローリング材のかわりに用いた床暖房システム(東京電力)。バリアフリーを実現できる厚さ12mmにもかかわらず、強度に優れ、しかも熱効率がよく立ち上がりもよいという。エコロジーな給湯方式「エコキュート」とも連動し光熱費も抑えられるので、今後の普及が期待できそうだ。ちなみに、この床暖房システムは今夏に発売される予定。

東京電力が行うIHクッキングヒーターの実演は相変わらず人気が高い。
その脇で「床暖房」のプレゼンテーションが行われている。
以上、リフォームを中心とした特別企画や商品を紹介したが、これ以外の建材としても興味深いものがいくつかあったので紹介しよう。
ガラスの高級感と透明感を合わせ持つアクリル樹脂製の人造フロストガラス「ヴェネチアン洗面カウンター」(日本デコラックス)は、カウンター、テーブル、天板のほか壁面にも用いることができ、耐水性、耐候性、加工性、施工性、耐衝撃性に優れているのが特徴。

「ヴェネチアン洗面カウンター」(日本デコラックス)
従来のガラスシェイド「ファサラ」(住友スリーエム)は、新たなデザインが追加された。これまではマット調やドット(パンチング)などのデザインが多かったが、ストライプ調が3種加わりブラインドを降ろしたような趣を醸し出している。需要はオフィスのパーティションが中心だというが、店舗はもちろん一般住宅でも用途が発生するのではないだろうか。

「ファサラ」(住友スリーエム)
ボックスタイプの家具を自由に組み合わせて、リビングやキッチンの収納を形成できる「キラーラ」(東建リーバ)。アルミや木質系など、異なる素材感を持つパーツも用意されているので、住宅だけでなく店舗でも引き合いがありそうだ。

「キラーラ」(東建リーバ)
(ライター・西村弘志)