建築・建材展 2006 会場レポート2(3月9日)~機能性とデザイン性を兼ね備えた建材が多数~
3日目を迎えた第12回「建築・建材展2006」(東京ビッグサイト・東5~6ホール)。今日も多くの来場者で賑わっていた。今回は、特別企画「オーニング&エクステリア」とデザイン性に優れた建材、そして前回紹介できなかった「安心建材」をレポートしてみた。

■着実に成長を続けているオーニング業界
昨年、同時開催され好評だった「国際オーニングフェア」。今回は、「建築・建材展」の特別企画「オーニング&エクステリア」としてゾーニングされ、24社が出展している。
オーニングは、日本においては店舗で使用されることが多いが、ヨーロッパでは戸建て・集合住宅でも使われるスタンダードなエクステリア建材のひとつ。その効果は、日よけ、雨よけ、紫外線遮へい、省エネ、(日焼けやプライバシーの)保護、オープンスペースの確保、ファンション・デコレーションと多用途にわたり、またロールタイプ、ボックスタイプ、ウインドウタイプ、スクリーンタイプ、フードタイプなど形状もさまざま。21世紀に入ってから急速に普及していることもあり、今後は他のエクステリア建材とのコーディネートなどを楽しむケースも増えることだろう。

特別企画「オーニング&エクステリア」の
日本オーニング協会によるパネル展示スペース。
センサーが付いたオーニングに感心する
オーニングの先進国であるフランスのソムフィ社によると、オーニングをよく知る人にとっては当たり前のことだろうが、オーニングが電動式モーターで巻き上げられたり、センサーで雨、風、光などを関知して自動的に開閉することに興味を示す来場者が多いという。

ソムフィのブースで行われている、
センサーを設置したオーニングのデモンストレーション。
同社の製品であるモーターは巻き取りパイプの内部に収められている。
メンテがいらない光触媒加工
日本ではオーニングのキャンバスは消耗品と考え、メンテナンスをあまり行わないケースが多い。しかし、埃や汚れにまみれたままでは店舗や住宅のイメージも台無し。そこで、注目されているのが光触媒。オリジナルデザインテントを提案している『サラシナ』では、キャンバス地のフロント部分に光触媒加工を施し提供しているという。効果は約3年。今後の普及が期待される。

前に垂れ下がっているフロント部分に光触媒加工を施した
サラシナのオーニングキャンバス。
遮光、遮熱、通風、防犯に優れたブラインドシャッター
オーニングが上から覆うのに対して、開口部に沿って遮へい効果を発揮するのがブラインド。『オイレス ECO』が提案する外付け用ブラインド「サンシャディ」は、遮光・遮熱効果を発揮すると同時に、通風性・防犯性にも優れたブラインドシャッターだ。

オイレス ECOによる、電動式ブラインドシャッター
「サンシャディ」のプレゼンテーション。
光(輻射熱)を活用した英国スタイルのコンサバトリー
オーニングとは対極にあるのがコンサバトリー。ガラス張りの空間で光(輻射熱)だけを取り入れ、その中で植物を育てたり、日光浴を楽しむ。これが元祖イギリスのスタイルだ。

コンサバトリー「UK room」を展示するイツモ高圧のブース。
敷地にゆとりがあれば、ぜひ設けてみたいという声が多いという。
■リモコン操作で上下する静かな電動ロールスクリーン
「ロールスクリーンも電動がスタンダードになる」。そんな予感のする提案が『ニチベイ』の「サイレントソフィ」だ。静音性・施工性に優れ、省電力で、しかもリーズナブル。色柄も330と豊富なため、住宅では寝室や高窓、図書館や病院などの公共施設、商用としてはコンビニエンスストアでの需要が期待されている。高齢化社会を迎え、このようなロールスクリーンが身近にあれば、安心して快適に暮らせるのではないだろうか。

美しい桜の柄がプリントされたロールスクリーンが
優雅に上下するニチベイのブース。
なんとなくその様子を見上げて和んでしまう。
■美しい空間を演出するフロアサポート
引き戸、開き戸、ユニットシェルフ、ウォールシステムなど、優れた機能性とデザイン性を発揮する各種インテリアを提案している『スガツネ工業』。今回の出展で興味深いのは、ガラスなどの床材を支える「ブゾンDPHペデスタルシステム」。床材を枠ではなく、ポリカーボネイト製の束で支えるため、床材のコーナー(継ぎ目)部分はもちろんのこと、中央部にも設置できる。また透過性に優れているため、床材とのコーディネートが容易で、床下からの照明効果を妨げない。このフロアサポート、ショールームや店舗などでは威力を発揮するのではないだろうか。

床下からの照明効果を最大限に発揮できる
「ブゾンDPHペデスタルシステム」を施工したディスプレイ。

使わないとき(右)には壁面に折りたためる省スペース設計の
壁面取付収納タイプ「アンブレラスタンド」。
傘の着脱も容易なユニバーサルデザイン商品だ。
■レザータッチのメラミン化粧板は業界初
業界で初めてというのが『イビデン建装』によるレザータッチのメラミン化粧板。従来のトレンドであった木目調や、スタイリッシュなメタリックと合わせ、3つのタイプから選べるようになり、トータルコーディネートの幅が広がった。いずれのタイプも、質感を変えることにより同じカラーでも、異なる色調に見える。



レザータッチ(左)、木目調(中)、メタリック(右)の3タイプが揃った、
イビデン建装の「'06モダンセレクション」。
■打撃実験に来場者も興味津々の様子
ウインドーフィルム製品で定評のある『リンテック』。今回出展している中で、最も目を引くのが優れた防犯性能を発揮する「ルミクール」。耐貫通性・耐衝撃性を向上させた防犯対策ウインドーフィルムだ。このほか、光をほどよく透過して落ち着きある空間を演出する「ミストラス」(近日発売予定)や、絵画などのアートコレクションをそのままインテリアにできるデジタルプリント技術に注目したい。これらは内装材として用いられるが、防火性能に優れているため安心して使えるのも同社の製品の売りだ。

バットを用いて打撃を加え、優れた防犯性能を
デモンストレーションするリンテックのブース。

防火認定を取得しているデジタルプリントの壁紙。
■高品質の耐火被覆板が低価格で登場
都市化が進むにつれ、建築物の耐火性能の向上が求められ、ニーズが高まっている耐火被覆。『日本インシュレーション』では、従来から耐久性に優れ、安定した品質を発揮するケイ酸カルシウムの耐火被覆板の普及に力を入れてきたが、費用対効果の面から吹付ロックウールの需要が圧倒的に多く、せいぜい柱や壁など目に見える部分にしか使われなかったという。しかし、今回新たに開発されたゾノトライト系けい酸カルシウム耐火被覆板「ニュータイカライトかくれんぼ」は、優れた耐火品質はそのままに低価格を実現。そのため、天井板などの仕上げ材を使い直接目に見えない天井内の耐火被覆にも、安心して使えるようになった。


低価格を実現した「ニュータイカライトかくれんぼ」を提案している
日本インシュレーションのブース。
■人と地球にやさしいリサイクル型の紙製パネル
建材を評価する際に、従来は強度、耐久性、デザイン性、価格などが尺度となっていたが、近年ではリサイクル性や健康に対する安全性も求められるようになってきた。『前澤工業』が提案する「グリッドコアパネル」は、リサイクル古紙を原料とした紙製パネル。独自のハニカム構造により軽量・高強度を実現し、家具や建具の芯材・部材、壁や天井などの下地材のほか、加工性やデザイン性に優れているため店舗の什器やディスプレイにも利用されている。有害な接着剤を使用せず、VOCの発生がほとんどなく、安心して使える素材だ。まだ認知度は低いようだが、新たな可能性を秘めているのではないだろうか。


「グリッドコア」でできた前澤工業のブース。

同時開催展示会「JAPAN SHOP」のウエルカムディスプレイにも
「グリッドコア」が使用されている。
■増える海外出展~エジプトの石材企業が初出展
エジプトといえば、だれもがピラミッドを連想することだろう。そのエジプトの建材企業が「建築・建材展」に初めて出展した。今回紹介しているのは、大理石や花崗岩など石材と防水関連製品。大理石は色や柄が多様で、花崗岩は他国に比べ硬いのが特徴。今後も日本でのマーケット開拓をめざし、営業活動を続けるという。

エジプト建材関連企業など12社が参加する展示ブース。
(ライター・西村弘志)