建築・建材展 2007 会場レポート2(3月7日)~フィルム、ブラインドなど注目の新製品~
2日目を迎えた第13回「建築・建材展2007」(東京ビッグサイト・東5~6ホール/出展社数272社、出展小間数610小間と、過去最大の規模)。朝から冷え込み肌寒い一日だったが、来場者は初日同様、朝から順調に増え盛況だった。今回は、フィルム、ブラインドなど注目の新製品や、特別企画「オーニング&アウトドアリビング」、また近年需要が伸びている緑化システムなどをレポートしてみた。

■フィルムの貼り付けデモに来場者も興味津々
スコッチブランドで多くの人に認知されている『住友スリーエム』の展示で、多くの来場者の目を釘付けにしたのが、新<コンプライ>Cv2粘着剤システム。通常、プリントなどを施したフィルムを貼る際には、巻き込んだ空気をエア抜けさせる必要があるが、本製品は粘着剤層に施すエア抜け溝を、より細かくすることでスムーズにエア抜けし、施工スピードを約40%も向上させたという。会場では、その施工性がひと目でわかるよう、軽自動車にフィルムを貼り付けるデモが行われている。このほか、コンクリートブロック、レンガ、リシン仕上げなどの材料や、目地など凹凸のある面にも容易に貼れるマーキングフィルム「Comformable Plus 8624ES」なども紹介。フィルムの開発・製造を得意とする『住友スリーエム』ならではの出展が興味深い。

デモを見ようと多くの来場者が集まる
住友スリーエムのブース。

軽自動車を使ってフィルムの施工性をアピールするデモ。

凹凸のある面にも容易に貼れるマーキングフィルム。
■ブラインドのスラットを幅広・木製に
ブラインドやロールスクリーンで定評ある『ニチベイ』では、この4月に発売予定のブラインド「B-fifty」と「クレール」に注目したい。前者は、1950年代に流行した幅広のスラットを現代風にアレンジした製品がメイン。ポリカーボネートのスラット(幅50mm)を採用したことにより、若干の透光性があるため、ブラインドの向こう側の気配が感じられ、遮へい目的だけでなく間仕切り的な役割や演出効果を発揮するというもの。スラットを幅広にしたことで、強度も高まり堅牢になるというメリットもある。一方後者は、スラットに木を使用したウッドブラインドで、シックな雰囲気を醸し出している。スラットは24色(種類)から選べ、中にはスギやヒノキの無垢材も。これら豊富なカラーリングに合わせてで、ラダーテープも30色を用意。操作性も向上し、取り付け位置の自由度も高い製品となっている。このほか、バーチカルブラインド「アルペジオ」、プリーツスクリーン「もなみ」、電動ロールスクリーン「サイレントソフィ」などの人気定番商品も展示。ディスプレイの美しさも楽しめるブースだ。

美しいディスプレイが来場者を引きつけるニチベイのブース。

透光性を利用し、間仕切りや演出としても
使える新製品「B-fifty」。

レースのカーテンとブラインドを組み合わせた効果を
発揮するバーチカルブラインド「アルペジオ」。
■ガラスを使ったオリジナルの造作に役立つキット
優れた機能性とデザイン性を発揮する各種インテリアを提案している『スガツネ工業』。今回の出展で目にとまったのが「UV接着キット」だ。ガラスを用いたオリジナルの家具や建具などの造作が、商空間設計を中心に増えているが、ガラス同士を接着固定するシーンで威力を発揮するのが同キットである。この中には、ガラスの固定に必要なUVランプや液剤などが揃っており、液剤をガラス面に塗布しUV照射すれば、高度な技術がなくてもごく短時間でガラス同士を固定できるというもの。会場では、そのデモを見ることができる。ちなみに、固定に必要な蝶番、錠前、ジョイントなどの金物は同社から豊富に供給されているので安心だ。このほか、世界のつまみ・ハンドルと題して、ハンドメイドの輸入製品なども展示。豊富な定番商品と合わせて、来場者を楽しませてくれる。

多彩なインテリア製品を提案しているスガツネ工業のブース。

ガラスを接着固定するための道具や材料が
ケースに納められた「UV接着キット」。

24金の表面仕上げを施した、
ベルギー製の華飾金物「VERVLOET」シリーズ。
■新たな製品技術や懐かしいデザインで差別化
焼き物の伝統文化を継承し、現代にふさわしい製品を製造している「笠原町美濃焼振興協議会」ブースの各企業では、ビルやマンション向けの需要が伸びている工業化製品との差別化を図るために、新たな製品技術の開発や提案を行っている。そのひとつが、軽量化を図ったタイル。『玉川窯業』の「カルセラ」は、従来のタイルの1/3にもなる軽量化により、モルタル下地を必要とせず、サイディングの上にも直接貼れるのが特徴。一つひとつ微妙に色やサイズが異なる焼き物本来の味わいはそのままに、優れた施工性を発揮することに成功した製品だ。また、『協同組合 ケーエスジー』の「ブイ・ラップ」は、軽量化に加え施工精度を高められる断面構造を採用し、タイル職人でなくても容易に施工できるため、近年の職人不足にも対応し、コストダウンにも貢献できるというもの。一方デザイン面では、『山延製陶所』が20数年前に流行した形状の「ランタン」(当時はグラナダと呼ばれた)を提案している。メディアや輸入品の影響で、近頃人気が高まっている製品だとか。このほか、酸化還元作用によりセルフクリーニングする「美濃焼CTタイル」(美濃焼CTタイル振興会)も展示。施工することで、その面に接触した空気中のホルムアルデヒドや窒素酸化物などを分解する働きもあり、環境浄化にも役立つと期待されている。

笠原町美濃焼振興協議会に属する20社(団体)が出展するゾーン。

玉川窯業が開発した軽量セラミックタイル
「カルセラ」の軽さを表すデモ。

軽量かつ施工精度に優れた協同組合ケーエスジーの
「ブイ・ラップ」のプレゼンテーションボード。

山延製陶所が提案している、ランタンの形状を
タイルにした磁器質施釉タイル「ランタン」。
■無垢の木のよさを美しく、わかりやすくプレゼンテーション
今回の「建築・建材展2007」では、「木」という素材を扱った展示が多いようだ。その中でも森林大国カナダの出展は見逃せない。高強度天然無垢材を供給する『カナダツガ・パートナー協会』や無垢材のシステムキッチン『MERIT KITCHENS』など、10社(団体)による『CANADA WOOD』のゾーンは、美しいディスプレイやわかりやすいデモによって無垢の木のメリットを総合的にプレゼンテーションしている。

カナダ関連企業10社(団体)が集まった、CANADA WOODのエリア。

カナダツガE120親善大使である舞の海も応援に
駆けつけたカナダツガ・パートナー協会のブース。


エントランス、キッチン、リビング、和室、テラスなどの生活空間に
分けてプレゼンテーションを行っているBC WOODのブース。
■オーニングの認知度向上を図るための方策
特別企画「オーニング&アウトドアリビング~広がる快適な住空間、商空間」(協力:日本オーニング協会)は、オーニングの紹介に加え、ウッドデッキなどのガーデニング関連製品も合わせて展示。オーニング業界では協会を中心とし、ロールオーニングの安全性向上とユーザー保護のため、製品の性能や品質に関する技術基準を策定し、合格した製品には「合格シール」(2007年4月より)を貼るなど、自助努力を行っているという。また、オーニングの拡販や施工店の育成を図るためのセミナーを随時開催するとともに、2008年の建築・建材展では「キャンバス・ジャパン2008」を特別企画として開催する(日本テントシート工業組合連合会、日本経済新聞社との共催)。

特別企画「オーニング&アウトドアリビング」の
ホスト役でもある日本オーニング協会のブース前。
□需要が伸びている屋上・屋根・壁面緑化システム
工場立地法の改正により、工場の敷地面積の20%以上を緑地にすることが義務付けられ、屋上緑化の需要が伸びている。屋根に関する材料や工事のパイオニア『田島ルーフィング』では、軽量で施工が簡単、しかも多彩な植栽が可能な「GCユニット工法」を開発。工場だけでなく、マンションなどの住宅の屋上用途での需要が多いという。『共同カイテック』では、工場などの折板屋根用の「スクエアターフ」を開発。薄型・超軽量で風にも強い、人工地盤用緑化システムだ。また、壁面を利用した緑化システムも開発されている。『エコブロックス』の「グリッド プランター」もそのひとつ。従来のコンクリートブロックの内部に土を入れ、植物を成育させる、という発想から生まれた製品で、製造元である太陽セメント工業のコンクリート技術が存分に活かされている。厚みは125mmと省スペース。マンションの外構、自治体の駐輪場の外壁などの需要があるという。

マンションなど住宅向けにも用途を広げた
田島ルーフィングの「GCユニット工法」。

共同カイテックが開発した折板屋根用の「スクエアターフ」。

省スペースの壁面緑化を実現した
エコブロックスの「グリッド プランター」。
□高級人造石ほか最新建材が幅広く展示
チェコの『TECHNISTONE』が、世界70カ国に輸出しているのは、石(93%)にポリエステル樹脂と顔料を加え圧縮した高級人造石。ショールームや宝飾店、パスタの調理台にも使われているという。本展ではそのほかにも、快適、健康、安全・安心な、最新の建材関連製品が数多く展示されている。
ミラーチップを入れ、美しい輝きを表現した「スターライト」や
斬新なデザインが人気の「ベネチアシリーズ」などを展示する
TECHNISTONEのブース。