建築・建材展 2008 会場レポート3(3月5日)~注目の新製品と日本の省エネ技術の紹介~
2日目を迎えた第14回「建築・建材展2008」(東京ビッグサイト・東3・5・6ホール/出展社数311社、出展小間数698小間と、過去最大の規模)。今回は、新製品ならびに興味深い製品とともに、特別企画「最先端技術を導入した環境調和型・省エネ型"NEDOハウス"」(東3ホール)をレポートしてみた。
■フラットなデザインでアピールする画期的な扉とシャッター
建築や家具をはじめとする金物や機構部品で定評のある『スガツネ工業』。今回の出展では、「マルチモフラット」(4月発売)と「アーキテリアシャッター」(6月発売)が特に目をひいた。前者は、手前に引き出した扉を左右に移動できる引き違い扉システムで、扉の並ぶ順序を入れ替えることもできるのが特長。引き出した扉は軽く押すだけで閉じてフラットになるので、デザインもスッキリ。また、扉は何枚でも連結できるため、拡張性にも優れている。後者のシャッターは、ガイドレールが内側にオフセットされており、シャッター面が柱や側板面とフラットになる仕組み。また、面材を自由に選択することもできる。会場では、ロートアイアン、フレームレスのガラス、アクリルパネルを展示。シームレス構造によるエクステリアの一体感を確かめることができる。

2つの新製品を出展している「スガツネ工業」のブース。

右側の「M」の扉を引き出した状態の「マルチモフラット」。
この扉は、どの位置にでもスライドして、閉じることができる。


写真左:面材にロートアイアンを用いた「アーキテリアシャッター」。
閉じると両脇の固定されたロートアイアンとシームレスになる。
写真右:「アーキテリアシャッター」に取り付けられているオフセットされたガイドレール。
■異なるメーカーで同色・同柄の製品をリリース
店舗やオフィスなどの内装仕上げにおいて、異なる部位でも同じ柄を採用したい。このようなニーズに応え、『イビデン建装』と『住友スリーエム』が業務提携して、56種類の同色・同柄の製品を開発した(4月15日発売)。『イビデン建装』が提案するのは、メラミン化粧板「イビボード」。耐久性に優れた製品で、すでに大丸東京店10階で使用されているという。加工性に優れた『住友スリーエム』の「<ダイノック>フィルム」と組み合わせることで、統一感のある空間が生まれる。今後は市場の動向を見て、ラインナップの拡充を図るそうだ。このようなコラボレーションは、ユーザーにとってはありがたいことである。

毎回美しいメラミン化粧板の展示で人気の『イビデン建装』のブース。


コラボレーションにより、「<ダイノック>フィルム」と同色・同柄を実現した
「イビボード」56種類の多彩なラインナップ。
■用途に応じて多彩なフィルムを開発
『イビデン建装』との提携により、「イビボード」と同色・同柄の「<ダイノック>フィルム」(4月15日発売)をリリースした『住友スリーエム』。この「<ダイノック>フィルム」から派生した「機能性フィルム」も興味深い。枠建具改修用シート「枠楽」、アルミ外装改修用フィルム接着工法「フィクサル」、水廻りのリフォーム専用シート「ネオックスフィルム」(平らな壁面・天井用、タイル壁面用、素足で使用する床用)は、いずれも表面にフィルムを貼って簡単にリフォームできる便利な製品だ。

多彩なフィルム製品のプレゼンテーションで人気の『住友スリーエム』のブース。

「イビボード」と同色・同柄「<ダイノック>フィルム」。

「<ダイノック>フィルム」から派生した「機能性フィルム」の展示。

多くの来場者で賑わう実車を使用した貼りデモ。
■デザインと機能がさらに進化したロールスクリーン
ブラインドや間仕切りの総合メーカー『ニチベイ』からは、ロールスクリーン「ソフィー」の新製品が3月3日に発売された。生地の素材と風合いにこだわったリッチモダンな製品で、上質な空間によくマッチする。また、環境・健康・省エネにも対応しているので安全・安心。バーチカルブラインド「アルペジオ」、プリーツスクリーン「もなみ」との共通柄も充実し、同一空間における異なる開口部での統一感が図りやすい。さらに、スプリング式やワンコード式のプルコードのデザインが一新され、機能性も向上し使いやすくなっている。

美しく多彩なブラインドや間仕切りを提案している『ニチベイ』のブース。

シルバーメタリックのウェイトバーのグリップが追加された
シンプルでモダンなフォルムのモードタイプ。

微妙な透け感と和のテイストで人気の竹経木のロールスクリーン。

バーチカルブラインド「アルペジオ」と共通柄のロールスクリーン「ソフィー」。
■住宅の気密性・断熱性を高める防水・気密材料
ルーブル美術館のガラスのピラミッドや新幹線の強化ガラスなど、ガラス製品で定評のあるフランスのサンゴバン社。今回出展しているのは、そのサンゴバン・グループの機能樹脂事業部が取り扱っている「水密気密シート」。自動車などにも利用され、施工時の延びを抑え、1日で粘着力を発揮する施工性に優れた製品。同社の製品は、近年ニーズが高まっている住宅の高気密・高断熱化に欠かせない建材といえよう。

今回初めて出展する『サンゴバン』(東3ホール)のブース。

ユニットバス水密用のガスケット。
■焼成タイルでは表現できない味わいをもつ漆喰タイル
調湿効果や和のテイストが見直され、近年人気の漆喰(しっくい)だが、高度な職人技が必要。そこで、漆喰をタイル化して施工しやすくしたのが『田川産業』の「ライミックス」。火力発電所の「フライアッシュ」や汚水処理場の「汚泥焼却灰」などの廃棄物を混ぜ、焼かずに超高圧で固めた製品で、通常のタイルにはない穏やかな風合いをもち、またリサイクルによる環境負荷の軽減にも寄与している。タイルの厚さは10~60mm。質感やカラーバリエーションが豊富なため、アイデア次第で幅広い用途に使用が可能だ。

不焼成しっくいセラミック「ライミックス」を展示する『田川産業』(東3ホール)のブース。

厚みがあるので、タイルというよりブロックという趣の「ライミックス」。
にわかに人気を博し、海外からの引き合いもあるという。
■マンションや都市部の戸建て住宅で必須の物干金物
都市部の住宅では、洗濯物の干し場はバルコニーやテラスなどに限られるが、これらの空間は他の用途にも使いたい。そこで、必要になるのが邪魔にならない物干金物。『タカラ産業』が提案する「ドライ・ウェーブ」シリーズも、こうしたニーズから生まれた製品だ。吊下げ型のほか、アームが折りたためる上下可動式や壁付け型、さらに独り住まいの女性や花粉症対策として需要が伸びている室内用が用意されている。

物干金物「ドライ・ウェーブ」を展示する『タカラ産業』(東3ホール)のブース。

アームの角度を上下各45度、水平にセットして竿を通し、
使わないときには垂直に収納できる「壁付け型物干金物」。
■省エネ技術がひと目でわかる特別企画
東3ホールで開催されている特別企画「最先端技術を導入した環境調和型・省エネ型"NEDOハウス"」(協力:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、エネルギーおよび地球環境問題の解決に貢献すると共に、日本の産業技術力の強化を目的とした展示。その核となるのが「NEDOハウス」。多くの省エネ建材があるなか、それらを一軒の住宅に使用した模型で、どのような部位に用いられているかがひと目でわかる仕組みになっている。このほか、太陽光発電システムや太陽熱集熱器、戸建て住宅規模でも利用できる発電用風車、光触媒技術を応用した冷却効果、特殊な冷媒を用いた大型ビル用蓄熱空調システムなどの紹介を、パネルと実物の展示により行っており、一通り見ることで日本の省エネ技術が理解できる企画となっている。

特別企画「最先端技術を導入した環境調和型・省エネ型"NEDOハウス"」の
展示エリア(東3ホール)。

本企画の核となっている「NEDOハウス」。
住宅に使われている省エネ建材の部位がひと目でわかる。

小型風車「アウル エクスプレス」。
家庭で使用する電力の1/3程度の発電能力があるという。
ライター・西村弘志