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会場レポート1(3月6日)~省エネ・創エネに優れた製品・技術/特別企画展「光触媒展2012(第2回)」~

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安全で快適な住環境・商環境の実現に向けて"街づくり"を担う建材とその関連製品が一堂に会する、第18回「建築・建材展2012」(東京ビッグサイト/東5・6ホール)が開幕した。今年の開催規模は、出展社数261社、出展小間数561小間。心配された雨も昼前にはすっかり上がり、会場内は多くの来場者で賑わっている。東日本大震災が建築・建材の関連業界にもたらした影響は実に大きく、震災からまさに1年後とあって、出展内容にも震災を意識したものが少なくない。今回のレポートでは、震災を機に需要がさらに拡大している「省エネ」「創エネ」関連の製品や技術と合わせ、特別企画展「光触媒展2012(第2回)」について紹介することにしよう。

(ライター・西村弘志)

《これからの時代に欠かせない「省エネ」「創エネ」》

 東日本大震災では、首都圏をはじめとする広いエリアで計画停電による電力不足が懸念され、省エネ意識が急速に浸透した。また、不足した電力などを自ら創りだす創エネ技術への関心も高まり、あらゆる業界がこれまで以上に「省エネ」「創エネ」の必要性を感じるとともに、マーケーットの拡大と新たなビジネスチャンスが生まれたことを実感しているのではないだろうか。

窓ガラスに貼って太陽光発電+遮熱するフィルム

宇宙関連製品から家庭用品まで、実に幅広い分野における製品やサービスを提供している『住友スリーエム』。今回も、多彩なアイテムを展示しているが、ここでは高効率次世代ウインドウフィルム「3M™ソーラーセル ウインドウフィルム」について紹介しよう。
 このフィルムは、それ自体が有機薄膜太陽電池であるため、太陽光により発電するが、従来の「マルチレイヤーNanoシリーズ」同様の遮熱効果も発揮。透過率30%とシースルーで、粘着剤が付いているので窓ガラスへの貼り込みが可能で、ガラスの飛散防止にも役立つ。用途は、窓ガラスの面積が広い商業ビルなどにおける、オフィス内での携帯電話の充電、無線LANアダプタ電源、LEDライトの非常灯、小型TVの電源などを想定。グリーンとレッドの2色が6月からテスト販売される予定だ。価格は、675mm×1550mm×4枚と付属のコントローラーなどで100万円。環境への配慮に熱心な企業にとっては導入価値が高い製品といえる。
 このほかにも、従来から定評のある遮熱フィルム、吸音フィルム、太陽光採光システム
などの省エネ製品を出展している。


多彩で優れたアイテムを展示している住友スリーエムのブース。


太陽光発電しながら遮熱効果も発揮する「3M ™ソーラーセル ウインドウフィルム」。
フィルムなので形状の自由度が高い。


会場では、発電量のデモンストレーションも行われている。

両面で発電する屋根材一体型ソーラーシステム

『元旦ビューティ工業』は、1965年創業の金属屋根メーカー。その専門性を生かし、屋根一体型のソーラー発電システムを業界に先駆けて開発してきたが、今回出展しているのは両面受光型セルを採用したソーラーシステム「サン・ボース」。従来の太陽電池モジュールの枠材が光を透過するため、直射光で発電するだけでなく、太陽電池モジュールの下に設置したリフレクターの反射光でも発電するため、同社の従来製品よりも発電量が2割アップ(社内試験値)するという。また、枠材にアルミなどを使用せず汚れが付きにくいため、発電効率の低下が少ない。同製品は、発電効率が高いだけでなく、屋根材と一体型になっているのも特徴。デザイン性、施工性、メンテナンス性に優れているため、設計事務所などからの問い合わせが多いという。


太陽電池モジュールを美しくディスプレイした元旦ビューティ工業のブース。


業界初の屋根材一体型両面発電ソーラー「サン・ボース」に興味津々といった様子の来場者。


「サン・ボース」と設置イメージがよくわかる展示。

住宅の基本性能を向上させる外断熱工法

 高気密や高断熱など、省エネやエコロジーに貢献する優れた建材のメーカーとして、またその販売を行う商社でもある『高本コーポレーション』。なかでも、欧米の技術を取り入れて商品開発した「ウッドブリース外断熱工法」は、RC造はもちろんのこと木造建築においても優れた省エネ・高耐久化を発揮することで定評のある主力商品。近年普及が進んでいるウレタンフォームをはじめとする石油系の断熱材は、湿気に強いが火に弱いが、ウッドブリース外断熱工法に用いている断熱材は、湿気はもちろん火にも強いのが特徴。現在、不燃仕様の製品を開発中で、実証実験が終われば市場に投入するという。
 今回は、その工法に関する展示と合わせ、ウッドブリース外断熱工法を用いて住宅全体の断熱性能を高めれば、優れた省エネ性・経済性、健康・快適を実現するウッドブリース「スマートハウス」を提案している。
 なお、同社の工法の施工に関しては、テクニカルな部分をオープンにしているため、ウェブサイトなどを通じて工務店やビルダーが利用することができる。


外断熱工法の展示を行う高本コーポレーションのブース。

住友スリーエム
「ウッドブリース外断熱工法」のRC用(左)と木造用の構造模型。


ウッドブリース外断熱工法により省エネや
エコロジーを実現する「スマートハウス」の提案。

環境と健康に配慮した断熱材

 ドイツなどヨーロッパの先進国では、早くから木質系の断熱材の開発が行われてきたが、『木の繊維』では20年前にそのライセンスを取得し、北海道のカラマツを原料とした木質繊維断熱材「ウッドファイバー」を開発した。断熱性能はもとより、熱容量が高いため夏の暑さを抑える効果があり、調湿機能や吸音性に優れ、接着剤を使用していないのでシックハウスの心配がない。また、間伐材の利用促進にもつながり、地球環境の保全と森林育成にも役立っている。


木質繊維断 熱材「ウッドファイバー」を展示している木の繊維のブース。


原料となる木質繊維は、インシュレーションボードのソフトなものという触感。
「ウッドファイバー」はこれを成型した製品である。


断熱性能の比較試験。温度変化を測定し表示しているので違いがよくわかる。


ダブル断熱構造で高い断熱性能と耐久性を発揮

 岩倉化学工業社、JSP社とともに、EPS断熱建材製品の優れた機能性を紹介する『油化三昌建材』。今回紹介しているのは、構造用合板にEPS断熱建材を貼り合わせたダブル断熱構造のEPS断熱建材「ネダフォーム」である。従来の製品は、構造用合板の外部側にだけ断熱材を施していたが、夏は内部側からの湿気により構造用合板が傷む恐れがあった。そこで、断熱材を両側に施したのが同製品。水に強いEPSならではの特性を生かし、構造躯体を守っている。またパネル化しているため、施工が容易で、気密性にも優れているのが特徴だ。原料にはホルムアルデヒドを使用していないため、ホルムアルデヒド放散に関する試験適用外で、施工時に使用する専用接着剤などもすべて「F☆☆☆☆」等級なので、安心して使用できる。ちなみに、同製品はこの会場で初めて公開された。


ダブル断熱構造のEPS断熱建材「ネダフォーム」を初公開している油化三昌建材のブース。


「ネダフォーム」を施工した構造体のイメージ。
パネル化されているため、気密性にも優れていることがわかる。

優れた断熱効果を発揮するアルミ窓用断熱材

 1969年ドイツで創業したテクノフォルムは、窓用断熱材の世界的リーディングカンパニー。アジアでは、1996年に設立された『テクノフォルムバウテック ジャパン』が拠点となり、2003年には中国にも進出して市場の拡大を図ってきた。今回出展しているのは、独自の特殊押出技術で成型したFRTP製断熱材「エコブリッジ」。アルミの窓枠の内側に設置して、ヒートブリッジ効果を抑える製品だ。ハイクラスのPA66(ポリアミド66)を使用し、高い断面精度、優れた耐熱性・水密性・化学的耐性を実現している。ヨーロッパでは、高い断熱性能が要求されるため、同社の製品を標準仕様として使うアルミサッシが多いが、日本ではまだ少ないという。今後、日本でも断熱性能基準が厳しくなると言われているので、需要が増えると期待されている。


コア断熱システム採用の高断熱防火アルミ窓を展示する
テクノフォルム バウテック ジャパンのブース。

住友スリーエム
同社の断熱材(左)と使用している部位(赤色の▲部分)。


ドライアイスを用いて空気を冷やし、断熱性能を比較する実験を行っている。


《多様な機能への期待がかかっている光触媒技術》
~特別企画展「光触媒展2012(第2回)」~

 光があたることで、防汚、防曇、抗菌、空気浄化など多様な機能を発揮する光触媒。建材分野では従来、太陽光により効果を発揮する外装部材が中心であったが、照明など室内における可視光にも応答する光触媒の研究が進み、内装部材にも用途が拡大している。本特別企画展では14社が出展し、その優れた環境浄化技術を紹介している。
 会期初日に、藤嶋昭・東京理科大学長と橋本和仁・東大大学院教授による記念セミナーも開催。早々に定員に達するなどおおいに賑わったことからも、光触媒技術が注目されていることがうかがい知れる。

安心して使える光触媒技術を普及させる認証制度
 光触媒に関する性能評価法の標準化、製品規格、認証制度、表示ガイドライン等を行い、光触媒技術の普及に努める光触媒工業会。技術の向上と高品質な製品の供給による健全な市場形成を促し、関連産業の発展と国民生活の向上に寄与するために、認証と表示登録制度を実施している。こうした認証制度にパスした製品には、「PIAJ」の認証マークが表示され、消費者が安心して使用することができる。


「光触媒展2012」の共催者であり、光触媒関連企業の要でもある『光触媒工業会』のブース。


期待されている最新の光触媒技術を提案

『パナソニック』では、これまでむずかしいとされてきた可視光応答型光触媒技術の実用化にめどが立ったことから、このほど抗菌効果のある製品を参考出品している。同製品は、室内で使用することを前提としているため、ウイルス不活性化機能、VOCなどを分解する空気浄化機能、汚れの分解・菌の繁殖などを抑える防汚機能、アレルゲンの不活性化機能などの効果が期待されており、公共施設の手すりやカウンターなどに採用されることを見込んでいる。
 一方、『ケイミュー』では従来の「光セラシリーズ」において、機能性と意匠性の向上を図った。光触媒コーティングに初期防汚性をプラスして、さらにコーティングの透明度を上げて鮮明化を図り、つや消しなどの質感を高めている。


光触媒をコーティングした外壁材「光セラ」を提案するケイミューのブース。


「光セラ」の光触媒効果に関する曝露実験結果。
左側のきれいな外壁が、光触媒を施した「光セラ」外壁材。
その違いがひと目でわかる。


最新の光触媒技術が期待されるパナソニックのブース。


参考出品だが、抗菌仕様の製品とその可能性を紹介するパネル。

ハイドロテクト技術を利用した様々な提案

『TOTO』が提案する、セルフクリーニング機能と空気をきれいにする空気浄化機能を併せ持つ光触媒技術「ハイドロテクト」。今回は、その技術を使用した16社の製品を「ハイドロテクトの輪」として共同出展のカタチで紹介している。また、光触媒機能の分かりやすいデモンストレーションも行う。
 光触媒技術も進歩し、様々な製品が登場しているが、今回出展されている中でも興味深いのが、抗ウイルス性の機能を施した大判のタイル。感染力を抑制する効果に優れ、日経アーキテクチュア3月号でも紹介されている。このほかにも、テント、窓ガラス、窓用フィルム、外壁、ベランダの手すりや笠木などが出展されており、建物の一部ではなく、全体に光触媒技術が施されるようになる日も遠くはないようだ。なお、開発が期待されている室内で使用する可視光応答型の光触媒技術については、来年度以降の出品となるという。


光触媒技術を紹介する『TOTO』のブース。


簡単に汚れが落ちる実験を行う光触媒機能のデモンストレーション。


ハイドロテクト技術を利用する国内11社と海外5社による
「ハイドロテクトの輪」。


感染力を抑制する光触媒機能をもつ大判タイルと
その記事が掲載されている「日経アーキテクチュア」。

会場レポート2(3月7日)はこちら

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