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連載コラム

環境に配慮した建材(WPRC:木材・プラスチック再生複合材)の標準化

[ 2014年2月27日 ]

標準化委員会 WPRC部会

1.WPRC(木材・プラスチック再生複合材)とは

 WPRC(Wood Plastic Recycled Composite:木材・プラスチック再生複合材)は,持続可能な資源循環型社会の実現を目指して開発された,環境に配慮した建材である。
 WPRCの主原料は,①廃棄物として発生した木質原料(例えば,住宅建築解体廃材,工場廃材,未利用間伐材等)を粉砕微粉化したもの,②産業廃棄されたプラスチック原料(例えば,熱可塑性プラスチック端材,容器包装リサイクル材等)である。これら木粉と熱可塑性樹脂を混練,押出(射出)成形した複合材をWPC(Wood Plastic Composite:木材・プラスチック複合材)と呼び,その内,原料の40%以上がリサイクル材料の場合には,特に,WPRC(木材・プラスチック再生複合材)と定義されている 2)。
 1990年代後半より,屋外用製品が開発・導入され,市場も確実に伸びてきている。図1に日本における生産量の推移(一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会内の木材・プラスチック再生複合材普及部会会員企業集計値)を示す。また,日本におけるWPRCの代表的な用途として,戸建て及び公共,民間建築物用デッキが圧倒的な割合を占め,次いで建築外装のルーバーや公園用ベンチ等が続く。身近な製品に利用されていることの紹介として,図2図3にデッキ製品の施工事例を,図4にルーバー製品の施工事例を示す。


図1 WPRC国内生産量の推移 1)

図2 デッキ(戸建て)

図3 デッキ(公共)

図4 ルーバー

2.日本におけるWPRCの標準化

 "3R(Reduce,Reuse,Recycle)"を推進し,持続的資源循環型社会を構築することが環境問題における重要課題の一つである。また,その課題の解決には,マテリアルリサイクルを実現することが必要不可欠である。
 このような社会的背景のもと,1998年には「地球温暖化対策推進法」が,2001年には「建設リサイクル法」がそれぞれ制定され,国主導のもと,地球温暖化対策を推進するとともに,建設廃棄物を極力減らすことによってゴミ減らしや資源の有効活用に取り組むこととなった。これを受けて,2001年には「環境JIS策定促進アクションプログラム」が策定され,その中で「木材・プラスチック再生複合材」のJIS化が取り上げられた。一方で,WPRCは,主たる原料がリサイクル材であることから,まさにこの課題を解決するために生まれた素材であるということができるが,原料の主体がリサイクル原料であることや,製造・使用する企業によって品質や性能がまちまちで標準化されておらず,その普及のためには,材料としての様々な疑義払拭およびある程度の標準化が急務となった。
 これら国と製造・使用企業両者の標準化に対するニーズが一致し,消費者が当該再生複合材の環境配慮性,品質,安全性等を十分に理解できるようにすること,さらには当該製品が市場において適性に認知され,市場を拡大し,前述のような国の政策実現の一助とすることが標準化の最終目標である。 最終目標へ向けて、これまでJISの3点セット(素材・試験方法・製品)を規定するべく次の通り取り組んできている。

①JIS A 5741(木材・プラスチック再生複合材) 2)
 この規格は,前述の通り,"環境JIS策定アクションプログラム"の主旨に則り,2006年に日本で2番目の環境JISとして制定され,WPRCの市場における信頼性確保と市場の適正な発展に寄与してきた。
 この規格の主たる狙いは,WPRCにおけるリサイクル原料の含有率区分,品質性能項目,安全性など,主として環境配慮側面について整備することによって,環境配慮型製品素材としての客観的な評価,使用者に対する品質保証,適切な市場形成などに資することにあった。図5にJIS A 5741におけるWPRCのマーク表示例を示す。
 本JIS規格は,環境JISに位置づけられているということもあって,素材の環境配慮性やリサイクル性などを主として規定・改訂してきており,世界の中でも少し特殊である。環境問題が深刻化する現在,世界的に注視されているのも事実であり,今後,国際標準化に向けてこのJISをどのように位置づけていくのかが重要である。

②JIS A 1456(木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験方法) 3)
 試験方法や耐久性の評価方法については,JIS A 5741の制定委員会の中でも多くの議論がなされるとともに,早期の制定を望む声が業界団体を中心に大きく上がった。そこで,WPRC製品・素材の耐久性を測定する試験方法(主として長期耐久性試験方法)を規定することによって,建材製品に求められている信頼性をさらに確保することを目的として,経済産業省所管工業標準化推進調査等委託事業である"社会ニーズ対応型基準創成調査研究事業"の採択を受け,2005年度から3年間,"木材・プラスチック再生複合材試験方法に関する標準化調査研究"を実施した。その結果,2010年にJIS A1456「木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験方法」の制定にこぎつけることができた。
 この規格の大きな特徴は,前述の実施した社会ニーズ対応型基準創成調査研究事業の研究成果に基づいて,再生複合材のあらゆる耐久性を評価する観点から,考えられ得る劣化要因及びその測定方法について整理し相関マトリックス表を作成し,それをもとにJIS規格を作成した点にある。

③WPRC製品のJIS化
 これまで「素材」のJISと「試験方法」のJISが制定されているが,「製品」のJIS策定へ向けて,経済産業省所管工業標準化推進調査等委託事業である"社会環境整備型規格開発事業"の採択を受け,2011年度より3年間,「木材・プラスチック再生複合材製品に関するJIS化」のテーマで事業を実施している。製品対象としては市場シェアが最も高いデッキを中心とし,国際規格との整合性にも配慮しつつ原案作成を進めており,本年度末に原案の素案が完成する予定である。


図5 マーク表示例 2)

3.関連する国際標準化の動き

 ヨーロッパではCEN(European Committee for Standardization(Comite Europeen de Normalisation):欧州標準化委員会)がEN(European Norm:欧州規格)を制定している。現在,CEN/TC(Technical Committee)249/WG(Working Group)13において,CEN/TS 15534:2007の改正が進められており,WPC関連規格としては初めて,近い将来に各種ENが制定される予定である。国際標準はISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)により制定されている。WPCの国際標準化へ向けて,ISO/TC(Technical Committee)61/SC(Subcommittee)11/WG11において,韓国提案のISO/DIS(Draft International Standard) 16616 :Test methods for Natural Fiber-reinforced Plastic Composite (NFC) Deck Boards がDIS投票の段階にきている。一方で,ヨーロッパにおいてENが制定されると,ウィーン協定に基づき,ISO化の動きになると考えられる。したがって,今後,日本及び諸外国の規格と国際標準との整合化が課題である。

参 考 文 献
1) 木材・プラスチック再生複合材普及部会HP:http://www.wprc.info/
2) 日本規格協会,JIS A 5741 :木材・プラスチック再生複合材,(2012)
3) 日本規格協会,JIS A 1456 :木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験方法,(2010)

【問い合わせ先】 
(一社)日本建材・住宅設備産業協会  標準化委員会 WPRC部会  事務局 神代圭輔
TEL:03-5640-0901 FAX:03-5640-0905   E-mail : kojiro@kensankyo.org

(一社)日本建材・住宅設備産業協会より〜建材業界の最新動向
執筆者:(一社)日本建材・住宅設備産業協会

(一社)日本建材・住宅設備産業協会は、昭和24年に(社)日本建設材料協会として発足し、 昭和63年に建材産業全般に関わる企業・団体を横断的に広く関係を取り持つ役割を担うべく、(社)日本建材産業協会 (経済産業省認可)へと改組・改名しました。そして、平成17年(社)日本住宅設備システム協会の事業を引き継いだ際、(社)日本建材・住宅設備産業協会へと改名し、平成24年4月1日に一般社団法人へ移行しました。協会独自の自主委員会による事業に各種補助・委託事業を加え、調査統計、技術動向の情報収集、建材の標準化、品質保証、省エネ・環境など各種事業を行っています。

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