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日経の紙面から

「東京シャンゼリゼ構想」って?――丸の内「パリのにぎわい」、意識改革や演出、必要に。

[ 2015年1月9日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 国内最大のビジネス街・丸の内地区(千代田区大手町、丸の内、有楽町)の再開発が佳境に入っています。無味乾燥なオフィス空間を脱し、にぎわいのある街を目指して20年近く。東京都の舛添要一知事は「"東京シャンゼリゼ"構想の適地」と丸の内にご執心ですが、消費太郎さんは街の変身にやや戸惑い気味。今週は安西巧編集委員が答えます。

 太郎さん 丸の内を毎日のように歩き回っていますが、ビル工事が絶えませんね。

 安西さん 「丸の内の大家さん」と呼ばれる三菱地所が1998〜2007年に5000億円を投じて「丸の内ビルディング(丸ビル)」をはじめ6棟の建て替えや既存ビルの改修を進めたのが丸の内再開発の第1ステージ。現在は08年から始まった第2ステージで当初計画では09年に完成した「三菱一号館」の復元など17年までに4500億円をかけて7〜8棟の建て替えや改修に取り組むとされていました。つまり、1兆円近くが投じられる壮大なプロジェクトなのです。特に丸の内仲通りの活性化に力を注ぎました。

 太郎さん 高級ブランド店が並ぶ通りですね。

 安西さん 再開発スタート以前の仲通りは金融機関の店舗ばかりが並び、それもバブル崩壊以降は撤退・閉鎖が相次ぎ、ビジネスマンがいなくなる週末は人通りが絶えていました。

 危機感を覚えた三菱地所は丸の内、有楽町、大手町の3地区の地権者と協力して街づくり団体を立ち上げ、仲通りに石畳を敷き詰めて街路樹を植え、街灯を設置。さらにビルの1階を中心に高級ブランド店やレストラン、カフェなど飲食店を誘致しました。真っ先に出店したのがロレックスやプラダなどで、若い女性客も行き交うようになり、街のイメージはがらりと変わったのです。

 太郎さん 仲通りが歩行者天国になったり、イベントも開かれたり随分にぎやかですね。

 安西さん 従来平日の正午から午後1時まで仲通りの一部を歩行者天国にしていたのですが、14年5月に東京都の舛添知事が丸の内に視察に来た際「仲通りを365日歩行者専用道路にできないか」と提案。さらに「東京シャンゼリゼプロジェクト」の適用対象にしたいとコメントして話題になりました。

 太郎さん 「東京シャンゼリゼ」とは何ですか。

 安西さん 都が14年3月に創設した街づくり構想です。パリのシャンゼリゼ通りをモデルにしていて、基準を緩和して広い歩道にオープンカフェなどを設け、新たなにぎわいの空間を創り出そうというコンセプト。まず港区虎ノ門から新橋まで延びる環状2号線(新虎通り)の沿道が対象になったのですが、舛添知事は「仲通りも適地だ」として具体的な取り組みを指示しました。

 太郎さん パリの街並みを東京で再現できるのでしょうか。

 安西さん 施設の面では、新しい道路ができたばかりでこれから街づくりが始まる新虎通りより、すでに路面店やビル低層階に店がひしめく仲通りの方が条件は整っているといえます。ただ、街自体がファッションの舞台になっているパリのシャンゼリゼのようになるには、そこに集う人々の意識改革や演出が必要かもしれません。本場シャンゼリゼのカフェはほとんどが歩道側を向き、道行く人を眺め、品定めする場になっています。「見つつ見られつ」を意識させるムード作りが街のデザイナーであるデベロッパーの重要な役割になると思います。

もっと分かる
仲通り延伸、温泉も

 丸の内再開発の象徴ともいえる仲通りを北側の大手町に延伸する計画も進んでいます。従来永代通りに突き当たる手前までだった歩行空間を、「大手町の森」につなぎ、さらに大手町ビル内を通過し、読売新聞東京本社ビルと東京サンケイビルの間を抜け、現在建設中の「大手町連鎖型都市再生プロジェクト第3次事業」ビルの脇を通り首都高速道路下の日本橋川に至るコースです。

 三菱地所は再開発用地内で温泉を掘り当て「大手町温泉」と命名。「第3次事業」ビルの一角に星野リゾート(長野県軽井沢町)が16年に開業する高級旅館「星のや東京」のほか、オフィス棟内に誘致予定のフィットネス施設などに温泉を提供する方針です。皇居に近い旧りそな・マルハビルなどを再開発する「大手町1―1計画」では長期滞在客用のサービスアパートメントを開設する計画もあり、人の流れは数だけでなく、多様性も増していきそうです。

クイズ豆知識

パリのシャンゼリゼ通りの並木の種類は何ですか?
(1)イチョウ(2)ケヤキ(3)スギ(4)マロニエ
((4)はえ答)

今週の先生
安西巧編集委員

消費太郎
 食品メーカーの新入社員。22歳

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