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AR技術、建設現場に、ゼネコン、業務効率化、発注者へ提案・施工管理で。

[ 2017年2月7日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 建設現場で現実空間の画像に様々な情報を重ねて表示するAR(拡張現実)技術の導入が進み始めた。大林組は建築物の改修中・改修後の状況を確認しやすいようにする技術を開発。清水建設は下水道管などの地下の埋設物がどこにあるかを立体的に表示できるシステムを開発する。発注者への提案や施工管理といった業務を効率化するのが狙いだ。

 大林組の新技術はカメラ付きのタブレットを使う。事前に発注者から提供を受けた建築物の平面図をシステムに登録。現場でどの位置から撮影するかもあらかじめ決めておくと、現実空間の画像に完成イメージを重ねて表示する。

 耐震改修工事なら、柱と柱の間に据え付ける部材の様子が3次元(3D)の立体的な画像で確認できる。工事作業用の足場や仮囲いのイメージも伝えやすくなる。

 商業施設などの改修工事現場での活用も見込める。店舗の営業中に工事をする際、来店客に看板がどう見えるかをシミュレーションするといった使い方も可能だ。

 従来は現場で撮影した写真を持ち帰ってから完成後のイメージを合成、後日、顧客に提案していた。改修工事では視界や動線が変わることもあり、発注者と施工者が作業内容を擦り合わせるには2週間程度かかっていた。新システムではその場で見え方の変更ができるため3日程度に短くできるという。

 清水建設は地中の水道管やガス管をタブレット上に容易に映し出す技術の開発を進める。事前に埋設物の図面データを登録しておけば、衛星からの電波を利用して埋設物の位置を特定できるという。埋設物の形状を把握できれば、施工管理もしやすくなり、作業の正確さも増す。

 これまで地下の埋設物がどこにあるかを調べるには現場で図面を広げて確認するのが一般的だった。清水建設はすでにタブレットのカメラで捉えた実際の画像に埋設物の位置を特定する技術を開発済み。年内にこれをより臨場感のある3次元画像で表示できるようにする。

 建設業界は足元の受注は堅調だが、将来の人手不足懸念は根強い。施工現場での生産性向上や工期短縮は大きな課題だ。ARはこうした課題を解決する有力な技術として期待されており、安藤ハザマや三井住友建設なども開発や導入を進めている。

 ただ、現実の画像と重ね合わせるには3次元の設計データの整備が欠かせない。現状では図面の情報を人手でシステムに登録しており、今後のAR活用には3次元の設計システムの導入が課題となりそうだ。

 ▼AR(拡張現実) 現実の光景に様々なデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。コンピューターグラフィックスで現実のような画像をつくるバーチャルリアリティー(仮想現実)とは異なる。スマートフォンで撮影した画像に人工のキャラクターなどを表示できる。2016年7月に国内で配信されたゲームアプリ「ポケモンGO」にもARの技術が活用されている。

【表】ゼネコン各社でAR技術の導入が進む
大 林 組  実際の画像に耐震補強部材などのイメージを重ね、改修中や改修後の現場の状況を説明できる
清水建設   実際の画像に組み合わせて、現場で地下に埋設されているガス管などがどこにあるかがわかる
大成建設   360度カメラで撮影した画像にデジタル情報を組み合わせる。改修工事の提案などしやすく
三井住友建設 コンクリートの表面仕上げ工事に活用。仕上げ作業の指示などが的確になる効果がある
安藤ハザマ  土木現場で実際の画像に地中にある杭(くい)の場所や深さを組み合わせて表示

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