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福井コンピュータドットコム野坂寅輝社長――仮想現実の技術進化、住宅や工場。

[ 2017年2月15日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 コンピューターゲームの活用に端を発し、一般からも広く認知されるようになったVR(仮想現実)技術。2025年にはVR機器の世界市場が750億ドルまで伸びるという見通しもある。福井コンピュータホールディングス(HD)は住宅の疑似体験システムなどで活用を始めた。サービスを手掛ける子会社の福井コンピュータドットコムの野坂寅輝社長に、VR利用の戦略を聞いた。

 ――VRの導入は進むでしょうか。

 「2016年はVR元年と呼ばれ、ヘッドマウントディスプレー(HMD)など仮想現実を体験するためのハードウエアの技術が急速に進んだ。今はまだゲームやエンターテインメント用の技術と思われているが、土木現場や医療、街づくりなど様々な分野で検討が始まっている」

 「例えば国際的なイベントなどで警備計画を立てる際、建物の死角を見つけ人の配置を決めるといった使い方ができる。また工場での部品組み立て訓練など、既に実用化もされているものもある。ここ2〜3年で一気に普及するだろう」

 ――課題はなんですか。

 「ハードの進化にソフトがついて行けるかどうかだろう。VRをつくるには3D(3次元)データが必要で、業界によってはここが課題になる。ただ、3Dのプリンターやスキャナー、ドローンの登場で関連技術はどんどん進化している」

 「現状の技術では映像と体の感覚にずれが生じるため、酔ってしまう人がいるため注意が必要だ。今後、技術が進み写真並みの鮮明な映像で体験できるようになるのに伴い、現実と仮想の区別が付かない子供への使用を制限するなどルール作りも必要になる」

 ――住宅疑似体験システムの評判はどうですか。

 「昨年7月の発売以降、建材商社などと体験イベントを複数回開いたが、評判は上々だ。実際に建築予定の住宅の図面をもとに、その場でVRを体験してもらい、来場者の99%から高評価をいただいた」

 「特に女性の反響が大きかった。キッチンや玄関など距離感が分かるのが良かったようだ。4月以降、完成前の分譲マンション向けのサービスも始める予定だ。ハードの技術が上がれば見るだけでなく、触る感覚も分かるようになる。これからの住宅選びに欠かせない存在にしたい」

 ――競合他社の状況はどうですか。

 「VRのサービスはどこも始めている。我が社は没入感を重視しHMDを採用しているが、スマートフォンで手軽に楽しめるサービスなど各社が個性を出そうと知恵を凝らしている」

 「我が社の強みは建材のデータを豊富に持っていることだ。単に住宅を疑似体験してもらうのではなく、各種メーカーのキッチンや壁紙を自由に選べるため、完成前後のギャップを埋めることができる」

記者の目
家の購入時など
消費者の助けに

 日常生活でVRに触れる機会はまだ少ないが、野坂社長はマイホームの購入など消費者と企業との接点において「VRが特別なサービスではなく、当然のニーズになるだろう」と期待を込めて予想する。

 VRを体験するためのHMDはネット通販や家電量販店で数万円で買えるものもある。スマートフォンのように1人1台とまではいかずとも、仮想現実が日常の風景になる日もそう遠くない。

(福井支局 吉田啓悟)

 のさか・ともき 1994年福井工業大工卒。01年に福井コンピュータ(現福井コンピュータHD)入社。14年事業開発部部長。15年から現職。45歳。

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