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異変マンション市場(2)最大の敵はホテル(迫真)

[ 2017年3月14日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 三井不動産が川崎市内で販売するタワーマンションのダイレクトメールに今月、こんな文字が躍った。「3月31日までに契約のお客様に商品券50万円」。実質的な値下げだ。

 不動産経済研究所(東京・新宿)によると2016年の首都圏の新築マンションの平均価格は5490万円。バブル期の1992年以来ずっと割り込んでいた5000万円の大台を3年連続で上回った。

 マンションの販売不振をもたらした価格の高騰。跳ね上がるコストを抑え、各社とも手ごろな物件を提供しようと躍起だが、決め手に欠く。特に土地の手当てで厳しさが増している。

 最大の敵はホテルだ。訪日外国人の増加でホテル需要は急拡大が続き、開発は目白押し。例えばアパグループは、怒濤(どとう)の勢いで土地を吸い上げる。銀座に出やすい新富町、上野駅東側の稲荷町……、各所で新設が続く。同社は20年までに37カ所開業する計画だ。

 日銀の金融緩和で銀行の融資姿勢が緩み、投資マネーもホテルに向かう。不動産投資信託(REIT)に集まった資金でホテルは高値で取引されるため、マンション向けに比べ1〜5割高く土地を買えるという。ホテル開発いちごの常務執行役、吉松健行(46)は「追い風が吹いている」と自信を見せる。

 一方、マンション開発会社は採算ギリギリで対抗せざるを得ない。三菱地所次期社長の吉田淳一(58)も「安く土地を仕入れるのが難しい」とこぼす。

 土地だけではない。あらゆるコストが重荷になっている。

 建設現場では労務費が上昇。鉄筋工の不足をカバーしようと工法を鉄筋コンクリートから鉄骨へシフトしたところ、供給元である中国で減産が進み、昨年3年ぶりに価格が引き上げられた。日本の鉄鋼メーカーも呼応して価格を上げるとみられる。

 材料高の要因はほかにもある。太平洋セメント系の外壁メーカーは今夏からマンション外壁を5%値上げすると顧客に通達した。値上げは2年前に実施したばかり。背景は外壁を運ぶ運賃の上昇だ。「運転手不足でトラックが走らない」と同社の営業担当者はぼやく。

 神奈川県内に住む30代の男性会社員は毎週末モデルルームに通う。2人目の子どもが昨秋に生まれ、今の賃貸では手狭となった。マンション購入を検討しているが、これまで見た15物件はすべて予算オーバー。「マンション難民ですよ」。そうつぶやいた。(敬称略)

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