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日経の紙面から

災害どう向き合う(下)大和ハウス工業上席執行役員有吉善則氏――まず住宅の耐震診断を。

[ 2017年4月14日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 ――阪神大震災、東日本大震災、熊本地震をどう振り返りますか。

 「阪神は地震から発生した火事、東日本では津波、熊本は繰り返しの余震とそれぞれ特徴があった。地震はえたいが知れない。対策を超える現象が起こってきたのが実情だ」

 ――まず、しなければならない対策は。

 「住宅の耐震診断・改修だ。(1981年に導入された)新耐震基準以前の家が1千万軒あるとされる。耐力壁の補強、柱と梁(はり)の境目の老朽化防止、骨組みのつなぎ目の強化が重要だ。耐震診断自体は10万円ほど。地域によるが、自治体から補助が出る」

 ――熊本地震では、倒壊物件による「もらい被害」も多かったです。

 「建物は隣からの衝突を考慮して設計していない。いくらでもコストが上がるからだ。耐震診断は町内会や管理組合などの単位で取り組むべきだ。個人の対策だけで安心すべきではない。改修をしないことが地域の災害につながってしまう」

 ――震災に強い家はどう変化してきましたか。

 「耐震基準は3段階あり、大和ハウスの家は建築基準法の1・5倍の強度が標準だ。ただ、熊本では震度6弱以上が4回あった。窓を小さくしたり、高さを抑えたりすれば地震に強くなるが、居住性が損なわれる。タンスなどが倒れにくくするなど家の中の対策は不可欠だ」

 ――仮設住宅も供給してきました。

 「課題は精神面のケアだ。敷地内に建物を詰め込むと壁と壁が向き合い、周囲と関係がつくれなくなる。ストレスが募り、阪神では孤独死もあった。東日本以降、少しでも会話が生まれるように公共の場を設置するなどしている。我々は技術屋だが、人のつながりや協力体制こそが人の活力を引き出すと感じる」

 ――震災に強い街づくりをどう考えますか。

 「エリア全体で防災に対する共通認識を持ち、打てる手から打たなければならない。古い街に新たなコミュニティーをつくるのは大変で、古参の人を説得するのは難しい。家単体でできるのは限定的。コミュニケーションを取る行動が最悪の事態でも生きるはずだ」

 下前俊輔、北西厚一が担当しました。

 ありよし・よしのり 1958年大阪府生まれ。82年京都工芸繊維大卒、大和ハウス工業入社。2017年上席執行役員。15年から総合技術研究所長も兼ねる。

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