日経メッセ > 建築・建材展 > ニュース > エレベーター、インドで急上昇、モディ政権で住宅供給拡大、三菱電機、機能抑え低価格、印ジョンソン、高価格帯も充実。

日経の紙面から

エレベーター、インドで急上昇、モディ政権で住宅供給拡大、三菱電機、機能抑え低価格、印ジョンソン、高価格帯も充実。

[ 2017年4月22日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 世界2位の人口大国、インドのエレベーター市場を巡る攻防が激しくなってきた。三菱電機は従来より価格の安い中間層の住宅向けの現地生産を始めた。シェア首位の現地メーカー、ジョンソン・リフツは東芝エレベータと組んで高価格帯に攻め込む。モディ政権の住宅供給策などを追い風に、インド市場は世界最速ペースで成長する見通し。各社は需要拡大の見込める分野に品ぞろえを広げる。

 IT(情報技術)企業が集積するインド南部のバンガロール(ベンガルール)。オフィス街から自動車で30分ほどの場所で、約1500戸の大規模マンションの建設が山場を迎えている。約70台のエレベーターを供給するのは三菱電機だ。

 昨年にバンガロールで新設した工場で組み立てて供給する。生産する「ネクシーズライト」はインド市場に特化した機種だ。タイ工場で生産し、輸出していたのを現地生産に切り替えた。

 不安定な電力事情を考え、停電時に搭乗者を最寄り階まで運ぶ機能を標準装備した。暑さに配慮して天井部から風が頭に吹き付ける冷房もオプションで用意した。「風量が心地良く、静かでとても快適」(ムンバイの男性)と評判は上々だ。

 三菱電機は高層のマンションやビルに使う高級機種で約25%のシェアを握るが、エレベーター全体では約3%どまり。5%以上に高めることをめざしており、高井啓司バンガロール工場長は「中価格帯を狙っていかないといけない」と語る。

 現地生産する中価格帯の機種は高速の移動や緩やかな停止といった機能を減らし、内装も簡素にして価格を1〜2割程度抑えた。同時に営業拠点も地方新興都市を中心に増やす。2015年度末に15カ所だったのを17年度末には23カ所とする。

 インドのエレベーター・エスカレーター市場は年約5万台。同社は20年度までの5年間で5割増と地域別で世界最速ペースの拡大を見込む。

 市場拡大をけん引するのは中低層の住宅向けだ。インドでは中間層の所得増加で住宅需要が拡大。政府も財政支出により3千万戸を供給する方針を掲げる。インドは野党の強い地域を中心に土地収用が難しいことで知られるが、モディ首相が率いるインド人民党(BJP)の党勢拡大で変化しつつあるとされる。

 日本勢では中・高級機種が主力のフジテックも11年に南部チェンナイで工場を稼働し、17年度に生産能力を2千台に倍増させて需要を開拓する。

 世界大手もアクセルを踏む。フィンランドのコネはインド専用機種を投入。独ティッセン・クルップは17年に新工場を稼働、20年までに年1万台体制を目指す。スイスのシンドラーエレベータは現地開発拠点を設けることを計画している。

 海外勢を迎え撃つのがチェンナイに本社を置くジョンソンだ。16年に約1万1千台を販売した最大手。低・中価格帯が主力だが、12年に東芝エレベータと資本提携し、合弁会社を通じて、より高価格帯に攻め込む。ムンバイで建設中のビルでは、外部の人も乗るエレベーターは合弁の高級機種を使い、運搬用はジョンソンが提供する。

 エスカレーター工場を持つのも強みだ。ジョンK・ジョン会長は「エレベーターとセットで提案できる」と胸を張る。モディ首相は国内製造業を振興する「メーク・イン・インディア」を掲げており、鉄道の駅などのインフラ案件受注で国内勢は優位とみている。

 高級機種は先進国メーカー、より低価格の機種は地元勢というすみ分けが崩れ、インド市場はさらに熱を帯びそうだ。

中国・東南アは成長鈍く

 三菱電機など日本のエレベーター各社がインドに力を入れるのは、これまで進出してきた中国や東南アジアが成長鈍化の傾向にあるためだ。

 中国は年約64万台(2015年度)で世界の6割という圧倒的な規模を誇るが、20年度までの伸びは2割とインドを下回る。東南アジア最大級の市場、タイも日本勢は1970年代から参入しており、頭打ち感が強い。

 タイに77年に進出した三菱電機は現地で約30%のシェアを握る最大手。すでに設置した自社エレベーターが1万5千台に上ることから保守業務に力を入れている。

 タイの23カ所にあるサービス拠点を18年までに30カ所にまで増やすほか、サービス要員も年40人程度ずつ拡充する。

 日立製作所は1月、東南アジアで昇降機事業に携わる従業員向けの教育施設をタイに新設した。研修を終えたあと、各地で指導にあたる中級技術者を育成する。

 東南アジアでもミャンマーやラオス、カンボジアなど今後の成長が見込める新興市場はある。インドに続く競争の舞台になる日は遠くない。

 東京=世瀬周一郎、松田崇

ニュースの最新記事

PAGE TOP