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積水ハウス、住宅の植栽で生態系保全――地域在来種、年100万本超(エネ&エコ最前線)

[ 2017年5月17日 / 日経産業新聞 ]

 積水ハウスが生態系の保全に力を入れている。戸建て住宅の建設予定地の周囲に、地域にもともとある在来樹種の樹木を植樹し、緑豊かな風景を再現するものだ。その地に生息していた鳥やチョウも戻りつつある。プロジェクトを始めた2001年から年に100万本以上を植え続け、植樹本数は累計1300万本を超えた。

 分譲中の住宅地「コモンステージ相模大野」(神奈川県相模原市)。真新しい戸建て住宅の傍らで3人の造園業者が作業していた。エゴやソヨゴといった木々を一定の間隔を空けて家の周りに植えていく。

 「秋には実がなり、ヤマガラやキンバトが集まってきます」――。住宅を見学にきた顧客には、数年後に木が成長した予想図を見せ、住環境の魅力をアピールする。

 こうした植栽プランの提案は設計段階で実施し、統一感のある庭造りにつなげるという。

 必要な敷地面積が増えるため、価格は通常より高くなるが、環境推進部の課長で樹木医の瀬〆(せしめ)俊郎氏は「住宅の資産価値向上につながる」と説明する。

 そして、植える際は、地域性を考慮して計画的に進める。基になるのが、同社の外構・造園部門に属する社員が日本列島を5地域に区分し、自生する在来種200種類以上を選別したデータだ。

 樹木ごとに「集まりやすい鳥や昆虫」「観賞時期」などを細かく記載した「庭木セレクトブック」も用意。消費者と話し合いながら何を植えるかを最終的に決める。

 そして家の施工後に、委託を受けた造園業者が、1棟につき下草も含め50本以上の苗木を植樹。住宅の引き渡しの際には庭の手入れの仕方が書かれた冊子を渡す。

 分譲住宅地のコモンステージ松山(松山市)では植栽後の宅地内の昆虫や鳥類の数が1年間で8倍になった。鳥類が増えると害虫を捕食してくれるため、薬剤散布も抑制できる。

 木を植えた後は一部の住宅地を年1回程度、担当者が訪れて観察する。生物の種類が増えなくなる4年後まで多様性の変化を調査する。時には住民の子どもたちにも調査に参加してもらい、家の周りに住む生き物を探す催しを開く。現在、10カ所で観察を続けている。

 万一枯れてしまった場合でも、植え替えなど2年間の保証期間を備える。また、いつでも専門家に相談できる。

 積水ハウスは3月に発表した新中期経営計画の中で、造園事業の強化を打ち出した。外構・造園事業の売上高は年に約700億円に上り、造園業界首位で他社の追随を許さない。

 社内では地域ごとの庭木や土壌の性質を専門的に理解した社員を「グリーンエキスパート」として認定し、将来的に自社物件以外の庭造りにも携わる考え。ハウスメーカーの枠を超え、専門性の高い緑化事業の展開を目指す。(高木雄一郎)

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