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技競うプレハブ住宅(3)耐震性と設計自由度両立(軌跡)

[ 2017年5月24日 / 日本経済新聞 大阪夕刊 ]

 初期のプレハブ住宅は定型商品の量産が中心だったが、現在は多様な機能や設計の自由度を売り物にしている。ただ住宅への要求項目は両立が難しいことも多い。例えば省エネ性能を高めるには気密性が高い方がいいが、化学物質の問題にはマイナスだ。

 地震に対する強度を高めるには窓などの開口部を小さく、天井を低くした方がいい。だが、それでは設計の自由度が犠牲になる。両立には地震対策のハードルを上げる必要があった。

 大和ハウス工業は4月25日、「ジーヴォシグマ」と名づけた家の天井高を2メートル80センチに引き上げると発表した。開放感を演出するためで、これを可能にしているのが柱と筋交いの結合部に使う「Σ形デバイス」という部材。断面がΣの形で、地震エネルギーを繰り返し吸収する。総合技術研究所が2014年に開発した。

 積水ハウスは特殊なゴムを使った制震システム「シーカス」を07年から採用している。地震動のエネルギーを熱に変換して揺れを吸収。建物の変形も半減でき、内装の損傷も抑えられる。これと耐力壁を組み合わせれば、より大きな窓が可能になる。総合住宅研究所の谷川清次部長は「研究所で実験を繰り返すことで実用化できた」と話す。

 パナホームも地震のエネルギーを熱に変える「アタックダンパー」を導入している。積水ハウスとは異なり、ゴムではなく鋼材で揺れを吸収する。

 積水化学工業は柱と梁(はり)を箱型に一体化したユニットを工場で生産している。このため柱と梁の溶接強度が高く、一つのユニットだけでも巨大地震に耐える強さをもつという。

 地震は揺れの周期によって建物への影響が異なるなど、様々な条件に対応する必要がある。研究開発による進化が求められている。

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