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ヤマダ・エスバイエルホーム――家に「生活の余白」作る、佐藤荘一さん、清水佑輔さん。

[ 2017年5月26日 / 日経産業新聞 ]

佐藤荘一さん(33) 独創設計受け継ぐ
清水佑輔さん(27) 声なきニーズくみ取る
丸山浩二さん(38) 施工管理、くぎにも注意

 注文住宅を手がけるヤマダ・エスバイエルホームは昨年、創業65周年を迎えた。デザイン面の独創性には定評があり、多くの社員もそこに魅力を感じて入ってきた。2011年にヤマダ電機の子会社になったが、家づくりには親会社の干渉はなく、設計へのこだわりは不変だ。

 1級建築士の佐藤荘一さん(33)は大学で建築を学び、「メーカーでありながら独創的な家を送り出していた」エスバイエルの門をたたいた。千葉支店(千葉市)での設計業務を経て、主に富裕層を相手に設計する組織「kobori研築工房」の一員になった。

 各地の発注者と会って要望を聞き、東京都品川区の事務所でパソコンを使って設計する。設計は家の印象を左右する。「生まれ育った環境や子供の性格、敷地の特性はみな違う。毎回新たな提案を考えるのは苦労すると同時に楽しい」。建設地に何度も足を運んでプランを立てる。

 人生の段階によって家の役割は変わる。千葉時代に担当したある顧客は「子供の成長を考えるとどんな家を作ればいいのか」と悩んでいた。面積に限りがあるなか、あえて食堂兼台所と居間の間に3〜4畳ほどの「余白」を設けることを提案した。幼児期には子供の食事、子供が成長した時には夫人のピアノ演奏などに使えるようにした。

 「住み始めた後に『生活の余白』から家の新たな良さを発見してもらえれば本望」。ある下町の住宅密集地では細い路地に面した玄関を開放的な作りにし、家と路地の中間地点の余白を重視した。「窮屈な町の空間に豊かさや広がりを与える」家を目指した。

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 営業担当は住宅展示場を拠点にする。清水佑輔さん(27)は高級住宅地が近い神戸東展示場(神戸市)で働く。

 エスバイエルの家で育った。台所の上部に窓を設けて階段の踊り場に子供が降りてきた様子が見えるようにするなど独創的な作りを実感してきた。「学校時代の友人を家に呼ぶと『清水君の家は面白いね』と言われ、うれしく誇らしかった」

 「お客さんにはこだわりがあり、設計側も譲れない点がある。営業は橋渡し役」と話す。顧客は家に求めていることを滞りなくすべて挙げられるわけではなく、「直接口にしなかったニーズ」も意識する。子煩悩だと感じた顧客には居間に勉強用の空間を設けるプランを提案し、採用された。

 「家を建てるパートナーとしてとにかく丁寧で誠実に」を心がける。契約までの過程で築いた顧客との信頼関係が財産だ。ある男性客は「清水さんがエスバイエルの住宅の魅力を伝えられるなら、営業のためにお客さんを自分の家に連れてきても構わない」と話すほどになったという。

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 営業などを経て横浜支店(横浜市)に勤める丸山浩二さん(38)は着工から完成までの施工管理を担う。およそ3カ月間、工事の品質や安全、進捗に目を光らせる。顧客に定期的に伝え「コンセントの位置を変えたい」などの細かな追加の要望にも応える。

 「図面通りに作るのは当たり前。細かいところもマニュアル通りに仕事をしているかを確認している」。大工のくぎの打ち方にも注意を払う。気配りは建築現場の近隣住民にも及ぶ。「大型車両による搬入作業のために周辺の道路を一時通行止めにする時もある。挨拶をしておくなどふだんからの意思疎通が重要」と力説する。

(花田亮輔)

今期、黒字に転換
金額の納得感に課題

 ヤマダ・エスバイエルホームは1951年に大阪市で設立。「小堀住研」、「エス・バイ・エル」と社名を変えてきた。Space(空間)とLife(生活)の組み合わせからS×Lと付けた。住宅展示場の建て替えによる受注減などが影響し、17年2月期の連結売上高は16年2月期比で8・5%減の436億円だった。18年2月期は展示場の建て替え効果で受注が上向き、最終損益が黒字に転換する見通し。

 ある住宅メーカーの顧客満足度調査では金額の納得感などが平均を下回る一方、設計やデザインの評価は高かった。昨年、ヤマダ電機の山田昇会長がエスバイエルの会長にも就き、同じ群馬県高崎市に本社を移した。ヤマダはエスバイエルのテレビCMを再開、店頭で住宅ローンも扱い始めた。これらも今期のエスバイエルの業績改善につながるという。

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