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技に新風、ビルに息吹――木質強靱、耐震・耐火、中高層に的(マンスリー編集特集)

[ 2017年6月29日 / 日経産業新聞 ]

 少子高齢化で新築戸建て住宅の市場縮小が見込まれるなか、改めて注目されているのが中型以上の木質建築だ。複合施設やサービス付き高齢者向け住宅など需要増が期待できる分野で利用が増え、国も公共建築物に国産木材を使うことを推進する。住宅メーカーやゼネコン各社は新たな収益源として受注獲得を目指している。

 住友林業は木質の中・大規模の建築物の年間受注高を2019年3月期に100億円に伸ばす目標を掲げる。同社が都内で建設している7階建てビルでは、4〜7階部分を支える柱や梁(はり)に新建材を使う。

 この新建材は耐震性能に優れる鉄骨を、耐火性に優れた国産カラマツ製の木質パネルで被覆している。鉄骨は一定の熱で強度が弱くなるが、木材は火災で表面が炭化することで奥まで燃え切らない。耐火・耐震基準が厳しい防火地域では、純木質建材を建物の主要部位に使うことが難しい。新建材なら耐火性を維持しながら安定感のある中層ビルも建てられる。

 純粋な木材を使う技術の開発も進んでいる。鹿島は東京農工大学などと共同で耐火木質集成材を開発。神田神社に増築する文化交流館建設に使う。

 耐火木材は中心部まで火で燃え尽きないように核部分にモルタル材などを使うのが一般的だが、鹿島はスギ材を使用。純木質建材を使うことで、昔ながらの景観とマッチするような建物を建てたいという消費者のニーズに応える。

 大型の木造建築物を建てるための工夫も広がってきた。三井ホームは国内最大規模となる特別養護老人ホームを建設した。

 地震に強い木造のツーバイフォー(2×4)工法(枠組み壁工法)で、2〜5階部分の土台を作ったうえで、耐震性向上のためカナダで開発された新工法を国内で初めて採用した。

 新工法は壁の隅などに柱状の木材を寄せ集め、複数の方向からくぎを打って補強。ツーバイフォー単体に比べて横揺れに耐える力が高まり、大規模であっても揺れで壁が基礎から外れないようにした。

 木質建材の開発競争も激しくなっている。木造建築のシェルター(山形市)は石こうボードを活用した耐火木質部材を開発した。柱や床材、内外の壁材に2時間耐火の認定を受けた部材を使えば、防火地域でも14階建てまでの木造建築が建てられる。今後は3時間耐火の木質建材を実用化する予定だ。

 農林水産省によると国内で流通する木材のうち国産材が占める割合は33%。同省は25年までに50%に引き上げる目標を掲げている。戦後に植えたスギやカラマツの6割は建材などに適した林齢に達している。国の政策面の後押しもあり、今後も木質建築は増えていきそうだ。

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