日経メッセ > 建築・建材展 > ニュース > 技に新風、ビルに息吹――3D瞭然、管理、効率的に(マンスリー編集特集)

日経の紙面から

技に新風、ビルに息吹――3D瞭然、管理、効率的に(マンスリー編集特集)

[ 2017年6月29日 / 日経産業新聞 ]

 2020年の東京五輪もにらみ、ビルの新築やインフラ整備が続いている。ゼネコン各社は新技術の開発に一段と力を入れており、その範囲も建設現場からビル管理までと奥行きが広がる。慢性的とも言える人手不足にも対応。社員や技能労働者の処遇改善も進め、産業としての魅力を高めようとしている。

 建築業界でいま注目されているキーワードの一つがBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)だ。3次元(3D)で仮想の建築物を設計。人手不足が続く建築現場でも情報を共有しやすくする。大手ゼネコンではビル管理にも応用。効率的な管理を可能にするとして、採用の動きが広がる。

 BIMは柱や壁、配管などの詳細な3Dモデルを組み合わせて仮想のビルをつくり、実際の設計に利用する技術だ。平面的な従来の2次元図面に比べて、建築現場などで情報を共有しやすい。

 竹中工務店はこのBIMの技術をビル管理に応用する手法を開発した。配管系統や電源回路といった設備を3Dで見えるようにする。維持管理作業の品質や効率の向上につながると期待する。

 設計に使うBIMソフトに配管のバルブや照明の電源といった属性情報を入力。どの系統がどこにつながっているかや、どの電源がどの照明器具につながっているかを把握しやすくする。水漏れなどの緊急時に、どのバルブを開閉すればよいかなどもわかりやすい。

 ビル管理は複数の物件を1人で担当するケースも多い。問題が生じると建物の竣工図や、電源図、配管図といった複数の2次元の図面を見比べて対処法を判断しなければならなかった。

 新手法は設備管理に必要な情報を3Dで「見える化」しており、経験が浅い担当者でも対処しやすい。ビルオーナーも建物の維持管理の効率が高まれば、設備更新の判断などがしやすくなる。

 大林組も設備の点検・修繕記録といった情報を一元管理し、故障の遠隔監視などを可能にするシステムを開発する。空調機器などの異常をセンサーが検知すると、故障箇所などを立体的に示すため、点検記録や取扱説明書をもとに管理者が素早く対処できる。

 大成建設は3Dで情報を管理するだけでなく、部屋ごとの資産価値を評価できるシステムを開発した。経年劣化する設備機器や家具の購入金額と除却金額を個別に算出し、ある時点でその部屋の資産価値がどれだけあるかがわかる。

 BIMの普及は人材サービスの需要拡大にもつながる。人材派遣のテンプスタッフは、建築業界で働く派遣社員のキャリア形成を支援する「BIMオペレーター育成派遣サービス」を始めた。コンピューターで3Dの建物を構築するための基本の操作方法を習得してもらう。

ニュースの最新記事

PAGE TOP