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転機の再生エネルギー(中)住宅向け太陽光に熱視線、AIで賢く自家消費、高効率、景観とも調和、国の「ゼロエネ」も追い風。

[ 2017年7月7日 / 日経産業新聞 ]

 太陽光発電では大規模な産業用の導入意欲がしぼみつつある一方、住宅向けは安定した市場成長が見込めるとして事業者は熱い視線を送る。2019年には固定価格での売電ができなくなる世帯が大量に出るため、自家消費モデルの需要が見込まれる。政府が「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」を後押ししていることも追い風だ。各社は消費者の心をつかもうと、提案に知恵を絞っている。

 太陽光発電業界では、余剰電力を固定価格で買い取る期間が終わる「2019年問題」への対応が課題となっている。家庭の太陽光発電による余剰電力を10年間、固定価格で買い取る制度は09年に開始。19年には約60万世帯、300万キロワット分の買い取り期間が終わる。

 買い取り価格は1キロワット時あたり48円が保証されていたが、固定期間終了後は大幅に価格が低下する見込み。住宅で発電した電力を自家消費する割合はまだ3割程度。売電単価が安くなれば、自家消費の需要が増えると予想されている。

 横浜市で開かれている太陽光発電見本市「PV Japan」でも住宅向けへの提案を強化する企業が目立った。家庭向け蓄電池で3万6千台の納入実績があるニチコンは、太陽光パネル向けのパワーコンディショナーを内蔵した高効率モデルを展開。従来はパワコンを太陽光パネルと蓄電池の双方に設置させていたが、蓄電池に集約した。直流を交流に変換するロスを省き数%の蓄電効率向上につながるという。

 京セラも太陽光で発電した電力の需給を家庭用エネルギー管理システム(HEMS)と人工知能(AI)を使い、効率的に調整するシステムを展示した。AIが天気や電力の使用頻度をもとに最適な蓄電や電力の使用を促す。同社ソーラーエネルギー事業本部の池田一郎マーケティング事業部長は「AIを使うことで太陽光を賢く自家消費できるようになる。広域的に住宅間の電力需要の調節なども応用していきたい」と適用範囲の拡大に意欲を示す。

 政府が後押しする住宅のエネルギー収支を実質ゼロにするZEHも商機だ。経済産業省は20年までに住宅メーカーなどが建築する注文戸建て住宅の過半数でZEH化する方針を掲げている。ZEH化には空調や断熱の性能向上のほか、住宅で使う電気を太陽光発電で賄えるかも問われる。

 カネカは住宅向けに景観との調和にこだわりながらも発電効率が高い瓦一体型太陽光パネルの新型を今秋から展開する。単結晶シリコンを使い、出力を従来型より6割高い42ワットに引き上げた。1枚あたり縦30センチメートル、横1メートルと通常の瓦3枚を横につなげた形で、瓦のように屋根に設置でき目立ちにくい。「屋根に美しいパネルを付けたいというニーズは大きい。出力を増強し、ZEHを実現しやすくした」と泥克信常務執行役員は強調する。

 昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティアは、自社のブースで従来より高出力の太陽光パネルの新製品を展示した。さらに模擬屋根でパネルの新たな施工法の様子を再現。新たな施工法は従来より作業時間が2割短縮した。さらに住宅の屋根の縁の限界までパネルの搭載が可能で、パネル枚数を1割増やせるなどZEH化を後押しできる点などをアピールした。

 太陽光を導入している住宅の比率は1割に満たず、市場拡大の余地は大きい。家庭で発電した電気をより自家消費しやすくするとともに、ZEHなど高付加価値製品のメリットをいかに訴求できるかが導入比率向上のカギになる。

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