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柱すっきり、広々木の家――新工法や建材で数減らす(住まいナビ)

[ 2017年7月26日 / 日本経済新聞 夕刊 ]

 居心地の良い住まいといえば、「木の家」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。家の中にいながら自然の雰囲気を味わえ、どこか懐かしいレトロな愛着も抱かせる。日本人は古くから木造住宅に親しんできたが、近年ではこれまでの木造住宅の常識を覆すような技術、建材も生まれ、新たなトレンドを作っている。そんな木の家の最新事情を紹介する。

 住宅には広々としたリビングを求める人が多い。ただ、柱と梁(はり)を組み合わせる一般的な木造軸組工法では、設計上、大空間を作るのは困難とされてきた。この課題解決に向けて木製建材製造のウッドワンが開発したのが「ワンズキューボ」という木造住宅の設計技術だ。独自開発の工法を活用し、柱の数を極力抑えて広々とした空間を作り出す。

 日本で最も採用されている木造軸組工法では、梁、柱となるそれぞれの木材を組み合わせるのが基本構造となっている。梁の強度が弱かったり、支える柱が少なかったりすると構造全体が不安定になり家の強度が弱まるため、柱の数は減らしにくいという課題があった。

 ワンズキューボでは柱だけではなく外周部の壁に圧力を分散することで、柱と柱の距離をなるべく広くできるような構造設計を立てている。最初に外壁や天井など、家の「箱」を作ってから、構造上で必要な柱を明確化し柱の数を抑えるという流れだ。

 柱や梁などに使われる一つ一つの建材の強度にもこだわる。建築に使用する木材は単板積層材(LVL)と呼ばれる高強度木材だ。柱や梁には無垢(むく)の1本木を好む人もいるが、ウッドワンの寺岡隆道・木材製品課長は「無垢の木は強度が安定しないケースもある。LVLは使う箇所によって違う強度の建材を、安定して作れる」と話す。

 梁と柱の接合部には独自開発した金属部品を使用。従来工法と比べ木材の欠損を少なくすることで、最大耐力を5割ほど高めている。専用金物を使うことで、職人の技術によって強度に差が出ないというメリットもある。

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 柱が少ない分広い空間が確保できるとともに、リフォームもしやすい。空間を仕切る壁を取ったり加えたりするだけで、自由に部屋を作ったり、つなげたりできるため。子どもが生まれたばかりの時は広いリビングで、成長したら壁を組み入れて子ども部屋を作り、子どもが成長し家を出たら再び広いリビングに――。こうしたライフステージに応じた家づくりが可能なのも売り物だ。

 ワンズキューボは注文住宅でも対応するが、1500万円(土地代除く)で建物や内装までそろえる「ワンズキューボ1500セレクション」も提供しており、お手ごろ価格で長く住める木の家が手に入る。

 新たな建材CLT(直交集成材)も注目されている。木目が直交するように板を重ねた集成材で、強度や耐火・耐熱性に優れ、燃えやすさがネックだった従来の木材の課題を克服した素材として期待されている。

 柱や梁などの木質材料とは異なり、厚みのある大きな板として利用することで、構造的に安定した建物を建てることができる。地震に強く、省エネにもつながることから、欧州を中心に中高層マンションやビルなどの大型建築物での活用が進んでいる。

 日本では2016年に建築基準関連告示が施行され、一般利用が始まったばかりだ。今後、高層ビルや大型施設など、これまで木材が使われてこなかった建築分野での活用が注目されている。さらに、一般社団法人・日本CLT協会の中島洋・業務推進部長は「一般の住宅でも、床や壁などに部分的に使うだけで家の性能が大きく向上する」と指摘する。戸建て住宅のほか、日本では見慣れない木造の中高層マンションなど、「住まい」分野での活用によるメリットも十分見込まれる。

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 CLT工法を活用した住まいの普及に向けた取り組みも進みつつある。岡山県の住宅メーカー、ライフデザイン・カバヤ(岡山市)はインターネットのサイト上でCLT工法による戸建て住宅を提案する特設ページを設け、その特性やメリットをわかりやすく解説している。16年3月にはCLT工法を取り入れたモデルルーム「カバヤホーム倉敷CLT展示場」(倉敷市)を建設した。

 11月にはCLTを活用した3階建ての社員寮も完成する見通し。同社は今後、CLTを活用した分譲住宅など量産型住宅の商品開発・販売も進め、マンションなど高層建築物を建設する事業の拡大も目指す。(広島支局 佐藤亜美)

エコや国産木材で注目

 木造住宅は主要構造部に木を使った住宅。木造軸組(在来)工法、木質パネル工法など多様な工法がある。日本では伝統的な住宅形式だが、環境保護の観点や国の国産木材活用推進の方針もあり、近年あらためて注目されている。

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