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建設現場、ドローン助っ人、三井不など、省力化急ぐ、五輪特需対応、新工法も拡大。

[ 2017年8月7日 / 日本経済新聞 夕刊 ]

 2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、ゼネコン(総合建設会社)や不動産会社が、新工法やドローン(小型無人機)を活用して建設現場での作業効率の向上に乗り出す。五輪の関連施設や首都圏再開発の建設工事は目白押し。作業員の不足や高齢化を背景に、工期短縮や工事の省力化、過重労働の解消は急務だ。最新技術で五輪特需のピークに対応する。

 三井不動産は自動飛行するドローンを使い、建設現場の作業効率を高めるシステムの導入を検討している。現場の画像を空撮し、自動で処理して工事の進捗管理に必要なデータを作る。同社が出資するイスラエルのベンチャー企業の技術で既に海外で使われている。三井不動産はゼネコンとの共同利用を計画中だ。

 市販のドローンの制御ソフトを書き換え、工事現場を自動飛行して写真を撮影。写真はクラウド上で処理され、建設現場の3次元データが自動で作成できる。現在は建設会社の作業員が自ら現場を歩いて写真を撮り、工事の進捗を記録する書類を半日がかりで作成している。ドローンを使えばこうした作業が省ける。

 木造建築の新工法を利用して工期短縮や作業員の負担軽減を目指す試みも広がってきた。欧州で開発されたCLT(直交集成板)工法だ。東京五輪の選手村ビレッジプラザは国産材を使ったCLTを採用する。

 CLT工法は断熱・耐火性を高めた木材の厚型パネルを組み合わせて建物を造る。工場で大型パネルを製造するので工期短縮や作業員の削減が可能になる。パネル製造量は15年の5千立方メートルから17年は2万立方メートルまで増える見込み。日本CLT協会(東京・中央)によると、欧州では9階の集合住宅でCLT工法を活用した場合4人の技術者が9週間で施工。鉄筋コンクリート(RC)構造に比べ工期を20週間短縮し、作業員も減らした。

 ゼネコン各社が相次いで導入するのが「プレキャストコンクリート(PC)」と呼ぶコンクリート部材を組み立てる工法だ。PC工法は、生コンを建設現場で型枠に流し込む従来工法に比べ作業員を減らすことができる。柱や梁(はり)などにPC部材を使うことで工期を半分に短縮できる。高層化が進むRC構造の建築でPC部材の採用が拡大している。

 戸田建設は千葉県内の工場で自社で建てる建物用にPC部材を製造、17年度からはフル稼働に入った。PC部材の調達額は17年度は前年度比6割増やす。前田建設工業の子会社フジミ工研(埼玉県滑川町)はマンションの階段など複雑なPC部材も販売している。売上高は15年度から3割増えた16年度と比べ今年度は6割増を見込む。

 日本銀行調査統計局は東京五輪の関連建設プロジェクトの経済効果を10兆円程度と試算。新国立競技場などの競技施設や選手村といった会場設備に約4550億円、民間ホテルや交通網の整備も含めた首都圏再開発に8兆円近い事業規模を見込んでいる。

 一方で建設作業員の不足や高齢化も深刻だ。総務省の労働力調査によると、16年の建設業就業者数は495万人で10年前の06年に比べて65万人(12%)減った。年齢別割合も16年は55歳以上が34%、29歳以下は11%だ。新国立競技場の建設現場では1カ月間に約200時間の時間外労働をしていた現場監督の男性が自ら命を絶つなど過重労働が問題になっている。

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