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LIXILグループ、「もうかる会社」へ、改革の肝は、小規模リフォームで。

[ 2017年8月6日 / 日経ヴェリタス ]

相次ぐM&Aで連結売上高を倍増させたLIXILグループ(5938)。
昨年6月にトップに就いた瀬戸欣哉社長は「もうかる会社」へとカジを切る。

 「13万円で窓の断熱ができるの? この値段ならリフォームを考えてもいいかな。冬が来る前に変えちゃいましょうよ」

 4月下旬、東京ビッグサイトで開かれたLIXILグループのリフォームフェア。埼玉県三郷市に住む60代の主婦は、隣にいる夫に話しかけた。「寒さはこたえるからね」。笑いながら夫は前向きな返事をした。老後を見据えた改装を考えている夫婦には手ごろな価格帯に思えたようだ。

 窓の断熱が工事費込みで13万円。そのリフォーム価格にLIXILの新たな戦略が隠れている。まず参考価格として、リフォームにかかる総額を表示し始めた。「商品価格は明示されていても、工事代金がいくらかかるのかが分からない」。消費者がリフォームに二の足を踏む理由の1つに価格の不透明さがあった。参考価格の提示で顧客の不安を解消する狙いがある。

 もう一つは13万円という低めの価格帯だ。「今までは社内で『雨ざらし』と呼ばれていました。でも始めてみたら即日工事が終わるなど顧客の反応も上々です」。LIXIL直営のリフォームショップLTS上永谷店(横浜市港南区)の吉川剛司ショップマネージャーが語る。「雨ざらし」とは、LIXIL社内で主に金額の低い案件を指す隠語だ。リフォームは一般的に、キッチンやお風呂など、工事金額が大きい仕事の方が利幅が大きい。少額の小さな工事は手間がかかる割に利益が少ないとされてきた。

 2つの戦略転換を指揮したのが、昨年6月からLIXILグループを率いる瀬戸欣哉社長だ。住友商事を経て、工具通信販売のMonotaRO(モノタロウ)など11社を立ち上げた起業家として名をあげた。

 「まずは低い額でも、リフォームによって生活が変わる楽しさを味わってもらえば、別のリフォームの機会が生まれる」。この発想から昨年10月に始まったサービスが「PATTOリフォーム」だ。50万円以下の小規模リフォームで、早ければ当日中に工事が終わる。簡単で早く、効果を実感してもらうのが狙いだ。

 LIXILグループはM&A(合併・買収)で大きくなってきた。2016年3月期までの6年間で米アメリカンスタンダード、独グローエなど海外の同業を買収し、連結売上高をほぼ倍増させた。ただ瀬戸社長は「大きくても、もうからない会社ではいけない」と断じる。実際、売り上げの規模が拡大しても、売上高営業利益率は2〜4%にとどまっている。

 15年には中国で水回り事業を展開していた子会社「ジョウユウ」で不正会計が発覚。多額の減損損失を出し、16年3月期の連結最終損益は256億円の赤字となった。海外M&Aを主導し、当時のトップを務めていたのは米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身の藤森義明氏。「背伸びをすれば届くような目標ではダメ。ジャンプしても届かないレベルの目標でないと人は成長しない」。藤森氏は高い目標を課すリーダーだった。

 一方の瀬戸社長は、現実を重視する。「届かない目標を掲げると、数字を作るために人はごまかすようになる」(瀬戸社長)。成果を急いで求めた結果、ジョウユウの不正会計問題につながるひずみが生まれた。「先頭を走って引っ張るリーダーが藤森氏ならば、瀬戸氏は一緒に走る伴走型リーダー」(LIXIL中堅社員)との評がある。

 就任早々の昨年7月には、執行役員など100人以上いた経営幹部を半減した。利益率の低い住宅用木材子会社や中国のドア製造会社も売却し、「肥大化した組織の刈り込みは2年で終えたい」と来年3月までは合理化を優先する。

 国内の住設・リフォーム市場はTOTO(5332)などライバルもひしめく。機能を高めた好採算の製品をそろえるTOTOは、売上高ではLIXILの3分の1だが、営業利益率では上回り、今期も最高益の更新を見込んでいる。LIXILが再び成長路線を目指せるようになるかどうかは、来年3月までに瀬戸社長が狙い通りの成果を出せるかどうかにかかっている。

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