日経メッセ > 建築・建材展 > ニュース > 清水建設、提案力強化へ、「脱炭素」で各事業つなぐ、省エネビル・街区創出めざす。

日経の紙面から

清水建設、提案力強化へ、「脱炭素」で各事業つなぐ、省エネビル・街区創出めざす。

[ 2017年8月4日 / 日経産業新聞 ]

 ゼネコン(総合建設会社)大手の清水建設が、エネルギー供給からまちづくりまでの各事業を環境の枠組みで捉え直し、本業である建設業の提案力強化に取り組んでいる。キーワードは「脱炭素バリューチェーン」。これまで様々な部門で手掛けてきた環境関連事業を有機的につなぎ合わせ、省エネルギー型のビルや街区の建設に生かす。

 清水建設は2012年から平常時の省エネと非常時における企業の事業継続計画(BCP)を組み合わせた「ecoBCP」を提唱してきた。一方、14年にはエネルギーの供給・管理サービスや再生可能エネルギー事業を開始。16年には電力小売事業に参入したほか、水素変換・貯蔵の研究開発で産業技術総合研究所と連携するなど、様々な領域に環境・エネルギー関連の取り組みが広がってきた。

 各部門が個別にこうした事業に取り組むことで、全社的なビジネスモデルにおける各事業の位置づけが不明確になっていた。「本来の出発点は省エネルギー型のビルや街区を建設すること。これを実現するために、何が必要かという観点で事業を整理し直した」(那須原和良執行役員・ecoBCP事業推進室長)。そこで生まれたキーワードが「脱炭素バリューチェーン」だ。

 このほど始めたのが清水建設の費用負担で、顧客の建物や敷地内に太陽光発電設備やガスコージェネレーションシステムなどを設ける仕組み。顧客はエネルギー設備を利用でき、清水建設は設備の維持管理・修繕の更新費用などの対価として定額のサービス料を得る。ビルオーナーは同設備の初期投資を抑えられるだけでなく、定期的な省エネ改善提案も受けられる。エネルギーサービス事業がビルの付加価値を高める取り組みだ。

 18年度から外部顧客への販売を開始する電力小売事業でも「脱炭素」につなげる。再生エネルギーを調達し、清水建設が手掛けたビルの顧客などに販売する。電力の供給側に立てば、ただ需要家として省エネに取り組む以上に二酸化炭素(CO2)排出量の削減を加速できる。「環境価値をアピールできれば、他の電力小売事業者とも差異化できる」(那須原室長)との狙いもある。

 その電力小売りをバックアップするのが再生可能エネルギー事業だ。環境配慮型の電力調達を増やすため、自社でノウハウを蓄積するという位置づけ。同社は太陽光発電所を2カ所運営しているほか、他社と共同で地熱発電やバイオマス発電にも取り組んでいる。今後、農業や倉庫施設と連携した太陽光発電事業にも乗り出す考えだ。

 産総研と共同研究に乗り出した水素関連の技術も同様。太陽光発電などで作り出した電気の余剰分で水素を生成・貯蔵し、必要時に燃料電池に供給して発電するシステムを20年をメドに作りたい考えだ。ビルや街区に多様な再生可能エネルギーを供給できる体制を築く。

 同社はバリューチェーンを構成するそれぞれの要素について「全部を当社がやらなくても、建設業の総合的な提案力につながればいい」(那須原室長)という。目指すまちづくりの姿に必要なピースを明確にすることで、ノウハウを蓄積する。収益の多角化だけでなく、どんな付加価値を顧客に提案できるか注目だ。(岩野孝祐)

ニュースの最新記事

PAGE TOP