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日経の紙面から

アイカ工業――内装材、美をリアルに、冨田栄一さん、岡田歩美さん、後藤未来さん(先輩社員のシゴト)

[ 2017年8月18日 / 日経産業新聞 ]

冨田栄一さん(36) 機能両立高級感醸す
岡田歩美さん(28) デザイン・生産橋渡し
後藤未来さん(28) 旬逃さずに売り込み

 アイカ工業は住宅などに使う大手内装材メーカーだ。機能とデザインを両立した付加価値の高い化粧板づくりが受け入れられて増収増益が続く。デザインの発想や要求を現実の製品に落とし込んでいく作業の繰り返しの末、部屋の内装に高級感をもたらす製品づくりが生きている。

 新商品のデザインの企画を担うデザイン企画課の冨田栄一さん(36)は2006年に新卒で入社して以来、デザイン企画一筋。化粧板や塗り壁材のパターンなどを担当し、感覚を磨いてきた。

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 「この布地のデザインはおもしろいかもしれないな」。昨年4月に訪れたイタリアの家具見本市「ミラノ・サローネ」で撮った写真の1枚に目を留めた。アンテナが反応したのは家具ではなく、家具が置かれているブースの壁紙だ。

 最新デザインの家具に合わせたブースなどの空間デザインは日本の高級なマンションやオフィス、ホテルの内装に取り入れやすい。6月に発売した、同社が「史上最高の質感」を自負する不燃性化粧板「アルディカ」のきっかけとなった。

 不燃性という機能がある一方で、無機質なイメージも備えるケイ酸カルシウム板の表面にアイカの強みである樹脂技術を施して機能とデザインを両立させ、高級感を演出する大理石のほかタイルや布地をイメージした柄など9種類34点のデザインを生み出した。

 少し色あせたような「さび」のイメージを再現するために、鉄板に特殊な薬品をつけて数週間をかけて実際のさびを作り、撮影してデザインの参考にした。

 生産統括部技術部の岡田歩美さん(28)は、冨田さんらデザイン担当と愛知県内にいる生産担当者の橋渡しをする。13年の入社当初は研究開発部門で化粧板や建装材などの基礎研究をした。

 求めるデザインが製造の仕様に合わなければ、代替案をデザイン担当に提示しながら別のサンプルを作る。同じ柄でも3種類ほどのサンプルをつくり、デザイン担当に見せて基本ベースを選んでもらう。その中からさらに改善点を見つけてサンプルを作り直す。「5〜6回作り直しをお願いして、完成させたデザインもある」と笑う。

 自ら決めた仕様が今後の生産の基本となるだけに、自分が進めたい内容は技術の専門家の立場でデザイン担当に詳しく説明する。

 アルディカではざらざらしたさびの質感を現実的に仕上げることを求められた。重要なのが樹脂の量。どの程度の量なら樹脂がきちんと固まるか、生産担当との細かいやりとりを繰り返した。「不燃材料としての機能を損なわない範囲で樹脂の量を調整しながらデザインに合うサンプルを作っていった」と振り返る。

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 苦労を重ねて完成させた製品は、営業の最前線の手に渡る。設計事務所などへの売り込みを担う設計推進部の後藤未来さん(28)には、年間数千戸もの物件を扱うマンション開発の担当者とのやりとりは常に大きなプレッシャーを伴う真剣勝負の場だ。

 仕事はカタログができる前から始まる。製品の特徴をサンプル片手に説明するのは骨が折れるが、より早く顧客に新製品の情報や特徴を伝えれば柄も含めて旬の時期を逃さずに売り込める。

 商品ごとに売り込み方は変わる。アルディカは「ケイ酸カルシウム板という言葉は出さず、施工しやすい新たな不燃パネルができたことを強調するようにした」。ケイ酸カルシウム板と聞くと設計事務所などは単色で割安な製品を想像しがち。安さの印象が先行すると狙った価格帯では受け入れてもらいにくくなる。

 12年に入社し、大阪に配属。15年から東京に移り、マンションや学校、オフィスなどを設計する業者に売り込む。「相手も専門家。自分の意見をどこまで伝えるかのさじ加減は難しい」。それでも製品に誇りと自信を持って売り込み、高級マンションのモデルルームに採用されるなどの実績を積み重ねている。(長縄雄輝)

「非住宅」市場
五輪需要狙う

 アイカ工業は1936年の創業。樹脂の接着剤を主力に成長し、その後事業領域を内装材に広げた。メラミン化粧板などを得意とする。住宅のほか、空港のカウンターなどの公共施設でも需要は大きい。住宅ローン金利の低下や相続税対策に伴う賃貸住宅の増加で業績は堅調だ。

 一段の成長のキーワードの1つが「非住宅」の建築分野だ。東京五輪で需要増が見込まれるホテルやオフィス分野で市場開拓を狙う。売上高を4年後に2千億円、10年後に3千億円に引き上げる計画だ。

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