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ミニストップ開発本部・建設施設企画チームマネージャー杉浦一則氏――燃料電池で店舗を省エネ(こだわりecoパーソン)

[ 2017年9月4日 / 日経産業新聞 ]

異動前は営業畑、加盟店の発注・運営を指導。コストの重さや苦労を痛感

 ミニストップはコンビニエンスストア業界で初めてとなる業務用の固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの実証実験を始めた。都市ガスを改質して取り出した水素と空気中の酸素を反応させ、電気と熱を作り出す。開発本部・建設施設企画チームの杉浦一則マネージャー(44)は「店舗の利益や負担を考えながら、省エネを支援していきたい」と意気込む。

 6月末、ミニストップはイオンや東京ガスと組み、ミニストップイオンタワーアネックス店(千葉市)で実負荷試験を始めた。実施期間は2019年6月までの2年間。京セラが開発したSOFCシステムを導入し、店舗への効果を検証する。

 SOFCは火力発電など大規模集中型電源と比べて送電のロスがほとんどなく、エネルギーを有効に利用できるのが特徴だ。京セラ製の発電ユニット「3Kw―SOFCシステム」の発電出力は3キロワットで、京セラが得意とするセラミック素材を中核部品に使う。

 都市ガスをそのまま燃焼させず、改質して水素を取り出し、酸素と化学反応させて電力を得る。発電効率は52%と3〜5キロワットクラスでは最高レベルで、CO2排出量も少ない。電力と排熱利用を含めた総合効率は90%になる。

 心臓部であるセルに用いる電解質の種類によってタイプが異なるが、電解質にセラミック素材を用いるSOFCシステムは作動時に発生する熱を都市ガスの改質に利用できるため、発電効率が高い。発電した電力を、負荷率を調整しながら店舗に供給し、省エネ効果やCO2排出量の削減効果などを検証していく。

 停電したときのために電力を供給する機能もある。専用コンセントにより簡易照明や携帯電話の充電に必要な電力を供給する。コンビニの災害拠点としての機能を高める検証も併せて実施する。

 ミニストップが実証実験を始めたきっかけは親会社であるイオンがグループ内で開いたエネルギー分科会だ。グループの小売り各社に加え、全国の電力会社やガス会社が参加し店舗の省エネルギーについて話し合いを重ねていた。大型店で電気が使えない事態が発生した場合のことを考えて始まった会議だったが、次第に小型店にも目が向けられるようになった。

 もともと大学で経済学を学び、小売業に興味を持ったという杉浦マネージャー。コンビニや百貨店、ホームセンターなどの採用試験を受ける中でソフトクリームをはじめとした独自の商品を持つミニストップに入社を決めた。営業畑が長く、商品発注や店舗運営を指導する業務を担っていた。

 2年前に開発本部に異動し、店舗の省エネや省コストを考える仕事をするようになったが「青天のへきれきで、転職したくらいの気持ちだった」と話す。ただ店舗運営にかかるコストの重さや苦労は前の部署にいたときに痛感している。杉浦マネージャーは「SOFCの小型化でコンビニが利用できるようになったのは大きい。空調や冷蔵ケースで電気代がかかるので、実証実験を行って貢献できれば」と話す。

 課題もある。実験で使うSOFCのガス種は都市ガス13Aだが、ミニストップのほとんどの店舗で使われているのがプロパンガスだ。プロパンガスに対応できる技術が開発されないと、多くの店に導入するのは難しい。

 コンビニではローソンが東京都小平市に電力量を従来比6割削減した店舗を開業するなど、省エネ店舗の開発競争が続く。人手不足でフランチャイズ加盟店の人件費負担が重くなる中、電気代などのコストを下げたいのは加盟店オーナーの切なる願いでもある。今回の実証実験を将来的な目標であるゼロエネルギー店舗の開発に生かしたい考えだ。(井上みなみ)

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