日経メッセ > 建築・建材展 > ニュース > 先読みビジネス天気(3)マンション――23区好調、郊外は停滞。

日経の紙面から

先読みビジネス天気(3)マンション――23区好調、郊外は停滞。

[ 2017年9月27日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 住友不動産は8月、3棟のタワーマンションからなる総戸数1539戸の「シティタワーズ東京ベイ」(東京・江東)を発売した。売れ行きは好調だ。東京都区部(23区)の世田谷・杉並区といった城南・城西エリアに比べて江東区などの城東エリアは、交通の利便性の高さの割には割安だ。家計に余裕があり、初めて住宅を買う一次取得層からも人気を集める。

 首都圏の新築マンション市況について、野村不動産ホールディングスの沓掛英二社長は「共働き比率の上昇を受け、オフィスに近い東京都心の物件を求める流れが強まっている」と語る。

 不動産経済研究所(東京・新宿)によると、2017年の首都圏の新築マンションの発売戸数は6・2%増の3万8千戸前後で4年ぶりに前年実績を上回る見通し。東京都区部を中心に大型物件の供給が増える見込みだ。1〜8月の契約率は前年同期比0・8ポイント上昇の68・2%と好不調の分かれ目の70%を下回るが、「最も低調だった時期を脱した」と松田忠司主任研究員は分析する。

 施工費や地価の上昇などを反映し、17年1〜6月の1戸当たりの平均価格は前年同期比で3・5%増の5884万円で、上半期としては過去3番目に高い水準。中心購買層が若いファミリー層の郊外型物件は価格の高止まりを敬遠し、需要が伸び悩む。「駅から離れていたり、共用部の魅力が無かったりする物件は売れ行きが鈍い」(東急不動産ホールディングスの大隈郁仁社長)

 一方、家計に余裕のある世帯からは駅近物件が人気を集める。首都圏の新築マンションの発売戸数に占める23区のシェアは昨年はおおむね40%前後で推移していたが、郊外と都心の物件の二極化が進んだ結果、今年は50%を上回る月も多い。不動産各社は安定した需要が見込める都心エリアでのマンション供給拡大の動きを強める。

 都心のマンションの販売価格は高止まりが続くとの見方が強い。都心はホテルなどの需要も多く、土地の取得費用の高さなどを反映する。それでも日銀のマイナス金利政策の恩恵で住宅ローンの金利負担は過去最低に近い水準。首都圏の新築マンションは「給与所得者がまだ取得できる水準にある」(不動産協会の菰田正信理事長)。

 新築マンションの販売価格の上昇が比較的穏やかで月間契約率が80%を超える月もある近畿圏に比べれば、首都圏では価格の高止まりから郊外でマンション需要は伸び悩む。それでも不動産各社はオフィス需要が好調なほか、低金利で資金繰りにも余裕があるため、売り急ぐ必要はなく、強気の姿勢を崩さない。マンション価格の高止まりはしばらく続きそうだ。

ニュースの最新記事

PAGE TOP