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長谷工、連続増益に影、マンション施工に値下げ圧力、関連サービス育成急ぐ。

[ 2017年9月21日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 マンション建設で「困ったときの長谷工」と頼られる業界最大手、長谷工コーポレーションの事業の先行きに影が差している。マンションの販売鈍化で、蜜月関係にあった顧客の不動産大手から施工コストの引き下げ圧力が強まっているためだ。2018年3月期は8期連続の増益を見込むものの、今後はリフォームなどの事業を強化できるかが大きな課題だ。

 埼玉県八潮市のつくばエクスプレス八潮駅から徒歩5分。来年2月に竣工予定のマンション「ザ・パークハウス オイコス」の建設が進む。長谷工が施工するマンションについて、発注元の三菱地所が立ち上げた専用ブランドの第1弾だ。価格は3LDKで約3500万円からと手ごろだ。

 ここ数年の投資ブームなどで、首都圏のマンション平均価格は足元で6000万円近くに高騰。不動産各社はファミリー層などが購入しやすい価格帯の物件の増加にカジを切っている。ただ建設資材や人件費の高騰は悩みの種。そこで各社が頼ったのが長谷工だった。

 長谷工は設計・施工のコスト低減に強みを持ち、4000万円前後の物件の施工を得意とする。前期の連結売上高は7723億円。主力のマンション建設関連事業が7割を占め、金額では大手ゼネコンを抜いて首位だ。

 中・低価格物件の需要拡大を受け、首都圏での長谷工の施工シェアは前期で36%と、5年前よりも10ポイント超上昇した。三菱地所や野村不動産は専用ブランドまで用意し、長谷工への発注を強化。大手ゼネコンが首都圏のオフィスビル建設などで手いっぱいだったのも、長谷工には追い風だった。

 ただ足元では雲行きが変わってきた。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、首都圏の17年1〜6月のマンション販売は1万4730戸。価格高騰を受け、13年同期の6割程度の水準にとどまる。契約率も好不調の目安となる7割を2年連続で下回っている。

 東京カンテイの井出武氏は「今年から不動産大手が相次いでマンションの販売価格を1割強値下げし、ゼネコンへの値下げ圧力も強まっている」と語る。これが中・低価格帯の物件にも波及しており、不動産各社は長谷工に施工コストの引き下げを迫り始めた。

 クレディ・スイス証券の望月政広氏は長谷工の受注採算の悪化を理由に、今月11日に目標株価を1400円から1300円に引き下げた。20日の終値は1437円。6月中旬の年初来高値から5%安い水準で、上値が重い。長谷工は今期の連結純利益で前期比7%増の630億円を見込むが、来期は連続増益が途切れる可能性もある。

 長谷工も手をこまぬいているわけでない。辻範明社長は「マンション管理やリフォームなどの(川下領域の)サービスには成長余地がある」と語る。こうしたサービスを一括受注できる事業所を4月に福岡市に初めて開いたほか、テレビCMも積極展開している。

 それでもこうしたサービス関連事業の収益貢献度は、前期で売上高の3割弱、営業利益の1割にすぎない。時間を買うために「M&A(合併・買収)も視野に入れている」と辻社長。マンション市場の変調への対応力が、今後の業績に直結しそうだ。(大西康平)

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