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コンクリ建築、人手不足補う、工場で製造、現場で組み立て、五輪控えメーカー活況。

[ 2017年10月23日 / 日経産業新聞 ]

 マンションなど大型建築物の建設ラッシュが続くなか、ゼネコンなどが「プレキャストコンクリート(PC)」の利用を増やしている。工場で事前に製造してあるため現場では組み立てるだけで済み、深刻な人手不足の対応策となるためだ。土木工事では以前から使われてきたが建築現場でも広がりを見せており、PCメーカーも活況に沸いている。

 茨城県常総市にあるSMCプレコンクリート(東京・台東)の茨城工場。敷地内には出荷前のコンクリート部材が所狭しと積み上げられていた。「スペースが足りず工場近くの土地を借りて置いている」というほどだ。

 鉄筋が突き出た細長い直方体の部材は柱や梁(はり)として首都圏の工事現場に送られる。マンションの階段の一部になるものもある。「生コンクリートを使うと手間がかかる部分のニーズが高い」と担当者は話す。

 階段などをPCでつくれば、現場で生コンを流し込むよりも人手が減らせるうえ、熟練度による質の差もない。SMCの茨城工場は2016年度に約2万7000立方メートルの建築用PCを生産した。前年度の約1・6倍だ。17年度はさらに約15%増を見込んでおり「過去最高の水準になる」(福田務工場長)。

 PCの歴史は古いが、これまではトンネルの内壁といった土木工事で使われることが多かった。しかし、最近では高層マンションの工事などでの利用が急速に広がっている。最大の理由は建設現場の人手不足だ。土木向けが主体だったSMCの栃木県の工場でも建築向けの比率が増えているという。

 重量物であるPCは輸送などに手間がかかるため、現場で生コンでつくるよりも費用は高くなるケースが多いという。しかし、PCは組み立てるだけでよいので時間がかからない。工期が短縮できるため、最終的には総コストの抑制につながるという声が多い。

 戸田建設はPCの調達額を17年度は前年度より6割増やす。自社の建築に使うためのPC工場はフル稼働状態で、外部からの調達も増やしていく方針だ。

 フジミ工研(埼玉県滑川町)はグループの前田建設工業以外のゼネコンからの引き合いも増加している。18年3月期には前期比で6割以上多い101億円の売り上げを計画する。

 安藤ハザマは今後の需要の拡大を見据え、千葉市にPC部材の新工場を建設した。6月から本格生産を始めており、土木系部材を扱う既存工場と合わせた生産能力を最大で2倍に増やす方針だ。

 セメント協会によると、16年度のセメントの国内販売量は3年連続で前年割れとなった。これに対して、PCなどコンクリート二次製品向けのセメント販売量はわずかだが前年を上回った。8月まで10カ月連続でセメント販売が前年実績を上回った茨城県は、「PC工場が集積し堅調な出荷が続いている」(同協会)という。

 20年の東京五輪・パラリンピックに向けて建設ラッシュは続く見通し。一方で人手不足の現状は簡単には解消しそうにない。工場でつくるコンクリート製ブロックの建設現場での存在感が一段と高まりそうだ。

(白山雅弘)

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