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千葉大と積水ハウス、室内環境の共同研究、快適な空気の質探る、住宅2棟で実証実験。

[ 2017年11月10日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 千葉大学と積水ハウスは快適な室内環境の共同研究に乗り出す。柏の葉キャンパス(柏市)内に実証実験用の住宅を2棟建設。空気中の化学物質濃度などが異なる室内環境をつくり、被験者に一定時間過ごしてもらう。それぞれの環境下で被験者の精神状態や体調、屋内での作業効率に違いが出るかどうか検証し、将来の快適な住まいづくりに生かす。

 実証実験につかう住宅2棟がこのほど完成し、9日に報道陣に公開された。2LDKの間取りや外観、内装、家具は全く同じだが、1棟目にはシックハウス症候群の原因となる化学物質の濃度を抑える建材や換気システムを導入。2棟目は通常工法で建設し、空気の質が異なる2通りの住空間を用意する。

 実験では被験者が両方の住宅に約90分ずつ滞在し、計算や暗記のテストを受けたり、ベッドでくつろいだりする。化学物質の濃度や温湿度、室内を照らす光の色や量が異なる環境下で、被験者の脳波や自律神経がどのように働くか測定する。被験者へのアンケートも実施し、室内環境が快適かどうか実際の印象をたずねる。

 近く本格的な実験を開始し、2021年度までに400人の被験者に参加してもらう計画だ。参加希望者はホームページなどで募集する。当面は短時間の滞在で実験する予定だが、軌道に乗れば宿泊実験に移行することも検討する。長期滞在に備えて実験用の住宅にはバスルームやトイレも完備している。

 以前から千葉大と積水ハウスはシックハウス症候群を抑制する住環境に関する共同研究を進めてきた。積水ハウスは研究成果を生かし、シックハウス症候群を抑える建築仕様「エアキス」を実用化している。

 今回の実証実験ではシックハウス症候群の発生を防ぐだけでなく、空気環境の改善によって「健康増進や健康寿命を伸ばすことにも効果があるかどうか検証したい」(積水ハウスの石井正義執行役員)という。

 実験を担当する千葉大予防医学センターの鈴木規道特任准教授は「屋内の空気の質が良ければ、作業のパフォーマンスが向上するという仮説も検証していきたい」と話している。

 ▼シックハウス症候群 住宅建材や家具、接着剤などから発生する化学物質を吸い込むことによって体調が悪くなったり、目やのどが痛くなったりする症状の総称。ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどが原因物質とされる。厚生労働省はシックハウス症候群の対策として、化学物質の室内濃度の指針値を定めている。

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