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新築値下げ奏功、在庫2割圧縮、不動産大手7社の9月末、価格、再び強含みに。

[ 2017年12月10日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 不動産大手が抱える新築住宅の在庫が減少している。大手7社が持つマンション・戸建ての完成在庫は9月末時点で2569戸と6月末比18%減った。1年9カ月ぶりの低水準だ。価格高止まりで消費者が根負けして購入に動いた一方、在庫圧縮を優先し一部物件を値下げした。在庫削減が進み再び強気の営業姿勢も目立ち始め、価格は当面強含みで推移しそうだ。

 住友不動産、東急不動産ホールディングス、三井不動産、三菱地所、大京の5社で在庫が6月末より減った。野村不動産ホールディングスは19戸(7%)と小幅に増え東京建物も増加した。

 在庫削減を公言するのは野村不HDだ。宮嶋誠一副社長は今春に「物件ごとにメリハリを付けて価格を調整する」と宣言し、販売加速を課題に掲げた。昨年5月の発売から今年4〜6月まで四半期に40〜60戸程度を売っていた東京・大田の大型物件は7〜9月の契約が約100戸に増えた。他の企業でも「家具とセットで売るなど実質値下げが目立つ」と東京カンテイ(東京・品川)の高橋雅之主任研究員は話す。

 在庫減少の理由は値下げだけではない。リクルート住まいカンパニー(東京・中央)の9月の調査では首都圏の新築マンションを買い時と考える人は41・1%と2年前より3・3ポイント上昇した。

 値下げは売れ行きが芳しくない一部だけで、全体として価格は高止まりする。不動産経済研究所(東京・新宿)によると10月に発売した首都圏の新築マンションの平均価格は5586万円と前年同月比3%上昇した。

 野村不HDの山本成幸執行役員は「値下がりを待っても結局はあまり下がらないという認識が広がり始めた」と消費者心理の変化を解説する。最近契約するのは1〜2年前に購入を検討した人が多い。住友不では今年に入りモデルルーム来場者に対する契約者の割合が2〜3割上がった。

 各社の在庫が目に見えて増え始めたのは2014年ごろだ。土地代や工事費の上昇で住宅価格が高騰。消費者の手が届きにくい高値となり売れ行きが鈍った。今年6月末には7社合計で3年前の2・6倍となる3132戸まで積み上がった。

 在庫を抱えすぎると代金回収が遅れ、借入金の利息負担などが重荷になる。在庫削減が急速に進んだことで各社で強気の姿勢が目立ってきた。

 「住友不動産にしては安く売り出したとネットで話題になっている。今度は値上げも考えないといけない」と住友不の尾台賀幸取締役は話す。都内の複数のタワーマンションの販売が伸び、6月末時点で1444戸あった在庫は9月末には419戸(29%)減の1025戸になった。

 中古マンションでは在庫が増加する。東京カンテイによると10月の首都圏中古マンション売り出し価格(70平方メートル換算)は3581万円と3年前より26%上昇した。中古の値ごろ感が薄れ、価格が高くても設備などが優れた新築に需要が流れている。今後は一部大手による新築の供給が減る見通しで、需給が一段と引き締まる可能性がある。

 「物件ごとに売れ行きは異なるが需要は根強く、期間をおけば着実に売れる」と三井不の佐藤雅敏取締役は強気の見方を示す。住宅の購入検討者にとっては厳しい局面が続きそうだ。

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