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足りない時代デフレ脱却最前線(4)建設工事、省力化めざす――需要回復、コストは上昇、溶接ロボや工法に工夫。

[ 2018年1月11日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 2台の機械が一対になり鉄骨を回りながら自動で溶接していく。慢性的な溶接工の不足を補うため、大手総合建設会社(ゼネコン)が導入を検討するのが溶接ロボットだ。「1990年前後のバブル期にも導入しようという試みはあったが実現しなかった。今度は真剣だ」。大成建設技術センターの上野純先進技術開発部長は力を込める。

人手不足続く

 2020年開催の東京五輪・パラリンピックに向け、首都圏を中心にインフラ整備や大型の再開発工事が進む。息を吹き返したかにみえる建設業界だが、資材や人手の供給体制は変わらないまま。原料高や人手不足を背景に労務費や資材コストは容赦なく上がる。

 需要が極端に落ちた「鉄冷え」から立ち直り、鋼材メーカーは16年後半から値上げに動き始めた。新日鉄住金はオフィスビルの鉄骨に使うH形鋼の店売り(一般流通)の17年12月契約価格を前月比で1トン3千円引き上げた。16年秋からの上げ幅は合計で3万円超に達する。中小工務店向けの鋼材を扱う問屋からは「大口需要家のゼネコンを優先し、流通市場の供給が細っている」との不満も聞こえる。

 建築工事や住宅に使う合板も足りない。都内の薄物の卸価格は過去30年の最高値圏まで上がった。大手商社からは「型枠用の在庫はぎりぎりの状態。大口の注文が入ればパニックになる水準だ」との声が上がる。

 日本建設業連合会(東京・中央)によると、16年の建設業就業者数は495万人。最盛期の97年から3割減った。新規就労者も少なく高齢化も目立つ。55歳以上が34%を占める一方、29歳以下は11%にとどまる。「建設不況で就労者が減り若手が集まらない」と関係者はため息をつく。

 企業も対策の手をこまぬいているわけではない。首都圏で約3割の施工シェアをもつマンション建設大手の長谷工コーポレーション。山本三里執行役員は「現場労働者の確保と品質の両立を目指している」と話す。

工期3割短縮

 工事を省力化するため、同社が進めているのは柱や梁(はり)など建築用部材を事前に工場で作り置きする「プレハブ式」工法。ブロック状の部材を運び現場で組み立てる。費用は割高だが型枠や職人の数を減らせる。「従来工法と比べ工期を3割、人員を2割削減できる」(知久宏行生産計画部長)。本格的に始めたのは東日本大震災後の復旧工事が重なり職人不足が深刻だった2013年ごろ。16年度までの3年でプレハブ部材の使用量を約2倍に増やした。

 需要が回復する一方、減った人手や資材の供給力を回復するのは容易ではない。知恵を絞り、工夫を重ねたその先に課題解決のカギはある。

=おわり

 白山雅弘、杉山麻衣子、飯島圭太郎、金尾久志が担当しました。

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