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セメント、値上げへ、4年ぶり、「満額」なら9%高、首都圏再開発など需要堅調。

[ 2018年2月7日 / 日経産業新聞 ]

 セメント価格が約4年ぶりに上昇する可能性が出てきた。石炭価格や物流費の高騰を背景に、2017年末にセメント大手が相次いで値上げを表明。首都圏の再開発など堅調な需要を背景に、価格引き上げの環境が整ったと判断した。原料となる骨材の価格上昇などで、既に価格引き上げに踏み切った生コンクリートの再値上げを予想する声も出ている。

 「セメントを値上げする」。17年11月に太平洋セメントが開いた決算説明会での福田修二社長の宣言に、業界関係者は安堵の表情を見せた。セメント大手各社の首脳は17年に入り、値上げの必要性をしきりに強調していたが、実施については明言していなかったからだ。

 過去の値上げ打ち出し時に価格を据え置いた他社にシェアを奪われた事例があり、各社ともに及び腰になっていた。最大手の表明で自然と追随できる流れが生まれた。

 12月中旬の太平洋セメントの価格修正の具体的な時期や金額の公表を皮切りに、宇部三菱セメントや住友大阪セメントも表明。18年1月には中堅のデンカやトクヤマなども追随し、業界全体で値上げに向けた機運が整った。

 各社とも4月出荷分から1トン1000円の値上げを目指す。満額が浸透すれば、指標となる普通セメントの特約店卸値(東京地区)は1トン約1万1900円(中心値)と9%上昇する見通しだ。

 セメントの需要は停滞から脱しつつある。セメント協会(東京・中央)によると、17年の国内販売量は4198万トンと、前年に比べ2%増加。前年実績を4年ぶりに上回った。1月上旬に開かれたセメント協会の賀詞交換会で、住友大阪セメントの関根福一社長は「こんなに明るい雰囲気は久々だ」と環境の変化を前向きに語った。

 首都圏の再開発や東京五輪に向けた工事の本格化を背景に、今後も需要は拡大する公算が大きい。太平洋セメントの福田社長は「20年ごろまでは内需は4300万〜4400万トンで推移するだろう」と分析する。

 1月からセメント需要の7割を占める生コンメーカーとの交渉が本格的に始まった。東京地区では生コンメーカーが打ち出した値上げが一部で浸透しているのもあり「以前ほどの抵抗はみられない」(セメント大手幹部)という。

 SMBC日興証券の佐藤有アナリストは、全国的な生コン市況の改善もあり、セメント価格の引き上げは400円ほど浸透しそうだと予測する。19年3月期に価格修正効果として、営業利益で太平洋セメントで61億円、住友大阪セメントで37億円の改善を見込む。

 生コン業者はセメント企業の関連会社も多く、こうした取引先には値上げが先行して通る可能性が高いとみられる。一方、専業の生コン業者からは「ギリギリまで抵抗する」などと、簡単には妥協しない構えを強調する声が上がる。ただ「何年も価格が上がっていない中で、ゼロ回答は難しいだろう」と、一定程度の値上げは受け入れる見通しだ。

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