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人手不足「助手」で補う、介護や建設、未経験者も募集、育成視野に苦肉の策。

[ 2018年5月8日 / 日本経済新聞 夕刊 ]

 介護や建設など人手不足が深刻な業界で、未経験者を「助手」と位置づけて新たに募集する企業が増えている。経験者や有資格者など従業員の業務を見直し、未経験者でもできる仕事を切り出して助手に任せる。慢性的に働き手が足りない中での苦肉の策でもあるが、興味を持つ人材をまず確保する。将来的には教育を施して専門職に育成する狙いもある。

 介護大手のツクイは「ケアサポーター」と呼ぶ職種を2月に新設した。入居者の話し相手や配膳など、介護福祉士の資格を必要としない仕事を専門に行う。全国152カ所のデイサービス施設などで1〜2人ずつ募集している。比較的取り組みやすい業務内容のため、若手だけでなく主婦層や元気なシニア層といった潜在的な労働力を発掘できる側面もある。

 東京都内にあるツクイ小平小川デイサービスの細野雪枝所長は「介護職員は専門的な業務に集中できるので助かっている」と話す。介護職員は人手不足で重労働になりがちだが、事業所によっては所長の残業時間が前年比で4割削減できたという。「1人あたりの労働負荷を和らげられれば、有資格者の募集にも有利に働く」(同社)

 介護ではアルバイトの募集が中心だが、「ITや建設などの技術職では一人前に育成することも見越した正社員での採用が多い」(人材大手のエン・ジャパン)。同社の転職サイトでは1〜3月の技術職助手の求人が2年前の1・9倍となるなど「助手を活用する企業が増えている」(同)。

 建設現場の技術者派遣を手掛ける夢真ホールディングスは「プロジェクト進行サポート職」などの名称で施工管理の助手を採用している。2020年まで毎年2500人ずつ未経験者を正社員採用する計画だ。役所への届け出といった、資格や経験の不要な業務を集約して任せる。「少しずつ図面作製などの業務も教え、いずれ資格取得も促す」(夢真ホールディングス)

 労働環境が厳しい介護や建設分野での人手不足は全産業の中でも深刻だ。厚生労働省によれば介護サービスの3月の有効求人倍率は3・79倍、建設・採掘は同4・42倍と高い。

 今後はさらに不足感が強まる見通しで、経済産業省は15年に4万人だった介護関連の人材不足は25年に43万人に拡大すると試算する。国土交通省は建設業でも25年に47万〜93万人働き手が不足するとみている。

 エン・ジャパンは助手採用の拡大について「本当はどこも経験者を採りたいが、いないものは仕方がない。全体の不足状況は変わらないが、現場の当座の不足感緩和にはつながる」と話す。

 一方、技術進歩で市場が拡大するIT業界でも人材不足は急速に広がっている。開発会社や技術者派遣会社の採用が目立つ。スタッフサービスは毎年1割増のペースで募集を増やしており、先輩社員の書いたプログラムのチェックなどから始めて育成する。

 同社は「人手不足のなか未経験の社員を派遣しても理解が得やすくなった。経験がなくてもコミュニケーション力とやる気があればよいという職場が増えてきている」と指摘。「化学メーカーの研究開発など専門性の高い分野向けにも採用が広がっている」という。

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