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民泊、ホテルの価格競争促す、宿泊料、昨年度9%低下、訪日客増後押し。

[ 2018年5月31日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 住宅に旅行者を有料で泊める民泊が6月、正式に解禁される。日本ではすでに6万件以上の物件が民泊サイトに登録され、ビジネスホテルなどが対抗して宿泊料を下げる動きが加速。競争激化などで国内の平均客室単価は約9%低下した。JTBなど大手旅行会社も参入するなど市場は広がる見通しだ。消費者の選択肢が広がるほか、訪日外国人の受け入れ能力の拡大が期待される。

 宿泊予約サイト世界最大手ブッキング・ドットコム(オランダ)の調査で、日本の宿泊施設の平均客室単価が2017年度に前年度を9・4%下回ったことが分かった。総務省の小売物価統計調査でも平日の宿泊料はこの2年で7%下がった。

 中心価格が1泊1万円前後のビジネスホテルの客室稼働率は、ほぼ満室とされる8割近くを維持する。通常は稼働率が下がると値下げが進むが、稼働率を保ちながら平均単価が下がっている。

 瞬時に価格を比較できるサイトが普及。さらに訪日観光客のうち1割強が使うなど民泊が存在感を高めた結果、顧客離れを防ぐため「既存施設が値下げした」(ブッキング社日本法人の高木浩子氏)とみられる。

 都内のホテルには既に影響が出ている。帝国ホテルの黒田元男常務は「価格の下げ圧力が強まっている」と指摘する。同社の客層は民泊と異なるが、中間価格帯のホテルの値下げに伴い一部の顧客が流れ、17年度の平均単価は前年度を割り込んだ。アパグループ(東京・港)の元谷外志雄代表も「宿泊施設が増え価格を下げざるを得なくなっている」と語る。

 民泊を巡っては、初めてルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行される。営業日数に年180日の上限を設けるなど制約も多く、一時的に物件数は減る可能性がある。ただ、現在は個人が主体の民泊分野で商機を取り込もうと、企業の本格参入も相次いでいる。

 楽天の宿泊予約サイト「楽天トラベル」は秋に民泊施設の掲載を始める。宿を検索するとホテルや旅館に加え民泊も表示し、簡単に価格などを比較できるようにする。JTBは17年秋に民泊事業に参入したほか、ファミリーマートは民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーと提携し、6月にも店舗でカギの受け渡しを可能にする。民泊の物件数は20年に現在より6割強多い10万件以上になるとの予測もある。

 訪日外国人は17年に約2800万人と5年で3・4倍に増えた。政府は30年までに6千万人に増やす計画で、民泊の広がりは客室不足の緩和など訪日客の呼び込みにつながる。

 世界では民泊を含めたシェア経済が勢力を増す。日本でもカーシェアで低価格サービスが生まれるなど徐々に広がりを見せる。矢野経済研究所はシェアサービスの国内市場が21年度に1千億円と16年度から倍増すると予測している。

 ▼民泊 旅行者を住宅の空き部屋に有料で泊めること。欧米でまず普及した。国内では仲介大手の米エアビーアンドビーが日本法人を設けた2014年ごろから知名度が上昇。同社の登録物件は16年春までの1年で4倍に急増した。若者や外国人を中心に利用が広がる。

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