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住宅・建設需要の行方――LIXILグループ社長瀬戸欣哉氏、復興一服、「西高東低」。

[ 2018年8月27日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 東京都心では2020年の東京五輪・パラリンピック需要もあって至る所で槌(つち)音が聞こえるが地方はどうなのか。来年10月には消費税率の引き上げも控える中で住宅関連の需要はどう動くのか。建築材料・住宅設備機器の最大手、LIXILグループの瀬戸欣哉社長に住宅、建設の行方を聞いた。

アパートが不振

 ――足元の状況はどうですか。

 「昨年秋からアパートなど貸家の新設着工戸数が前年同月を急速に下回り始めている。相続税対策でアパート建築が活況だったが、社会問題化して金融機関が融資に慎重になった。持ち家もさえない」

 ――地域別には。

 「西高東低だ。東日本に比べて世界遺産が多くある西日本はインバウンド(訪日外国人客)の増加によってホテルや旅館、商業施設などの需要が強い。東京はビル建設が旺盛なのは変わりはないものの、東北は東日本大震災の住宅関連の復興需要は一段落した」

 ――長期トレンドでは。 「全体の新設住宅着工戸数(1990年以降)は96年度の163万戸のピークから下落基調で予測では2030年ごろには60万戸になるという。この業界は属性(人口、年齢構成、世帯人員など)に左右されるのは仕方がない。地方では既に60万戸時代を予感させる光景もある」

 ――来年10月に消費増税が予定されています。

 「今秋あたりから住宅展示場やショールームなどで動きが出てくると思う。ただ過去2回の消費税率引き上げ時のような駆け込み需要は無いとみている。20年のオリ・パラ後の景気動向が見通せないからだ」

 「景気が悪くなれば地価も下がる。今、駆け込まなくてもいいことになる。22年に約8割の生産緑地の税優遇が期限切れとなり、土地の放出も予想される。地価にも影響するだろう。いくつもの要素が絡み合うので誰も確信ある見通しを持っていないはずだ」

 ――リフォーム需要はどうですか。

 「需要はあるが工事業者が少なくて思ったようには伸びてはいない。住宅の質も向上しているから手直しのサイクルも長くなっている。25年には12兆円市場(現状は推定6兆円)になるといわれているが難しいかもしれない。ただ料金体系をもっと透明化することで健全な成長はできる」

価格見直し進む

 ――資材の価格動向は。

 「サッシなどに使うアルミニウムや水回り用の銅の価格は気になる。アルミ価格は16年から上昇基調になり、貿易摩擦の影響で値動きも激しい。今期のアルミ価格は弊社では前期比6・8%の上昇を見込む」

 ――価格体系の見直しは進んでいますか。

 「取引先への説明に時間はかかっているが納得してもらっている。これまでは『それは困る』と抵抗された。最近は商慣習が合理的でないことが分かると変えていこうとする。社会の雰囲気が変わった」

 ――変わる姿勢は働き方改革にもつながりますか。

 「欧州のグループ企業は4週間の休暇を取っている。それでも日本よりも生産性が高い。やり方を変えていかなくてはいけない」

(聞き手は編集委員 田中陽)

 せと・きんや アフリカで衛生的なトイレの普及に努めている。58歳

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