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不動産の「隙間」時間貸し、空き室・交流スペース・駐車場...、人口減、市場縮小にらむ。

[ 2018年12月23日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 不動産大手がビルや駐車場の空きスペースを短時間から貸し出すシェアサービスに乗り出す。東京建物はスタートアップ企業に出資してビルなどの時間貸しに参入。野村不動産はマンションの交流スペースを外部に貸す。不動産は年単位の長期契約が中心だったが、「隙間」のスペースを時間貸しすることで収益源に育てる。人口減で不動産市場が先細る中、数年後に1兆円を超えるとの予測もある不動産シェアが離陸期を迎える。

 「池袋駅から徒歩3分、80平方メートル、1時間2千円から」。2014年に設立したスペースマーケット(東京・新宿)のホームページには、1万件以上の不動産情報が掲載されている。パーティーや会議、個展開催など用途は幅広い。

 不動産シェアは不動産の所有・管理者と利用者をネットで結び、短時間から貸し出すサービスだ。従来の賃貸契約は数年単位の長期間が中心なうえ契約も煩雑で、時間単位の利用には向かなかった。

 宿泊施設をシェアする「民泊」もその一つだが、宿泊用途だけでなく、ビルや駐車場など幅広い不動産をシェアする動きが広がり始めた。

 東京建物はスペースマーケットに数%を出資。保有不動産の一部を時間単位で有料で貸すサービスを始める。時間貸しのノウハウをスペースマーケットから得る一方、貸し出す不動産情報をスペースマーケットの仲介サイトに掲載する。

 まず東京都品川区のマンションのモデルルーム内にあるイベントスペースを休業日に一般に貸す。地域住民によるワークショップなどでの利用を想定し、料金は1時間あたり1万円前後を想定する。オフィスビルの空き室も時間貸しして有効利用する。

 野村不動産は横浜市で20年に引き渡す分譲マンションで、内部の交流スペースを周辺住民らにも時間貸しする。通常は管理費を払っている居住者しか使えないが、野村不動産が保有して管理することで安全を確保しながら外部に貸す。収入は入居者と地域住民の交流促進などに活用する。

 駐車場でも外部への時間貸しが広がる。三菱地所は駐車場予約アプリ運営のスタートアップであるakippa(アキッパ、大阪市)と提携。自社のビルや賃貸住宅に併設している利用者・住民向け駐車場を、15分単位で外部に貸している。月決め駐車場も空いていれば利用できる。

 阪急阪神不動産や近鉄不動産、京王不動産なども相次いでアキッパと提携している。

 不動産大手が相次ぎシェアに参入する背景には、不動産市場が縮小することへの危機感がある。

 オフィスビル空室率は東京都心5区で11月に1・98%(三鬼商事調べ)と低い。だが労働力人口の減少や在宅勤務の拡大もあり、中長期の賃貸を前提としたオフィス需要はある程度の縮小が避けられない。

 マンションなど住宅も着工戸数が30年度に17年度比で4割近く減るとの予測がある。これまで主力だった不動産の売買と中長期賃貸だけでは成長が見込めない。さまざまなスペースの「隙間」を広く外部の人と短時間からシェアすることで、パーティーや映画撮影など多様な需要を取り込む。

 情報通信総合研究所(東京・中央)の推計ではビルや住宅、駐車場などの空きスペースのシェアサービスの国内市場規模(収入ベース)は16年時点で6800億円。20年代には1兆円を超えるとみる。各社はシェアを商機とみて攻勢をかける。

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