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建設、産業構造に新風――進化する木造建築、耐火・耐震、70階構想も(マンスリー編集特集)

[ 2019年1月31日 / 日経産業新聞 ]

 三菱地所が都市部の中大規模・中高層の建物に木材を活用している。主な計画は「下地島空港旅客ターミナル施設」と「(仮称)仙台市泉区高森2丁目プロジェクト」の2件だ。

 仙台で2月下旬に竣工予定の10階建て賃貸マンションは木造と鉄骨造のハイブリッドだ。三菱地所が竹中工務店などと国土交通大臣の認定を取得した、2時間耐火の「CLT」と呼ばれる木のパネルを床に使った日本初の高層建築物となる。柱には竹中工務店が特許を持つ2時間耐火の木材を使う。どちらも実建物での採用は日本初だ。

 CLTはRC造と比べて工期短縮が可能で、3月開業の下地島空港旅客ターミナル施設(沖縄県宮古島市)の屋根にも使用する。海外の高層建築物ではCLTが普及しつつあるが、国内では高い耐火性能が求められ、これまでCLTを床に使った建築物は5階までだったという。高いコストが課題だが、継続的に建物の性能データを収集し、使用を拡大する考えだ。

 都市の木造化・木質化をめざすのは大手ハウスメーカーの住友林業も同様だ。現在進行中の「W350計画」では、創業350周年を迎える2041年に地上350メートル・70階建ての超高層木造ビルを実現できる技術を開発しようとしている。

 あくまでビルは象徴的なものだが、木材の使用比率は9割に設定。鋼材を合わせた柱や梁(はり)で組まれた骨組みに筋交いが対角線状に配置され、地震や風で建物が変形するのを防ぐ。内部は木のぬくもりを感じる落ち着いた空間とする。

 木の可能性を高めようと、同社の筑波研究所では木だけで3時間耐火の技術を開発中だ。耐火だけでなく耐震といった課題は多く、業務・資本提携を行った大手建設会社の熊谷組の協力も欠かせない。法制度変更を国に働きかけることも必要だ。欧米では近年、木造ビル建設の計画が目立つ。

 木材の大量使用の大きな効果は環境負荷の低減だ。木は育つ過程で二酸化炭素(CO2)を吸収し、木材となった後も炭素として貯蔵するため、CO2削減に貢献。国産材活用が拡大すれば、森林荒廃の歯止めや林業の活性化にもつながる。

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