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建材の「運び方改革」始動、大建工業が新物流部門、人力から自動へ、旧弊打破に挑む。

[ 2019年2月25日 / 日経産業新聞 ]

 建材大手の大建工業が受発注から生産管理を担う情報システムと物流部門を連携させる「IT・物流部門」を新設した。2月1日付で専任の執行役員を配置するなど人事にも踏み切った。きっかけは社内で起きたシステムトラブル。人手に頼りすぎる側面が強かった建材業界共通の物流の課題が浮き彫りになった。新部門の設立をてこに旧弊の打破に挑む。

 「注文したはずのドアが来ないんですけど」――。2018年11月。受発注から生産管理や物流までを管理する情報システムを刷新しようとしたところ、トラブルで各部門をつなぐデータの通信が3日半止まった。その間も工場での生産は続いたが、製品のデータが提携する物流会社に送られず、顧客に届かない事態が発生した。

 間の悪いことに同社には関西圏で昨年9月の台風21号で被災した競合他社が生産できなかった分の建材の注文も舞い込んでおり、物量が通常より3割増えていた。年末の繁忙期前の11月にシステム更新を狙ったはずが、1年で最も業務が集中するタイミングにトラブルが重なった。

 「お客さんの信頼を失ってしまった」。IT・物流部門の専任役員に就任した照林尚志専務執行役員は振り返る。なかでも最も大きな打撃を受けたのが物流部門だ。主力の生産拠点がある北陸では、搬送量が急激に増えると運ぶトラックが足りなくなる問題が潜んでいた。北陸と東京や大阪をつなぐ便が限られるからだ。

 加えて、建材業界に共通する問題として、倉庫での作業は人力に頼る荷さばきが中心だった。こうした手法は、在庫を大量に抱え、問屋に在庫をまとめて卸すかつての「多量少品種」ニーズにのっとったもの。ただ、今や受注生産や特注対応も増え「少量多品種」に様変わりしている。「物流だけなく荷さばきや発注の仕方、生産、納品までを真剣に考え直さないといけない」(照林専務執行役員)こともわかった。

 ドアや収納棚など建材メーカーが扱う製品は重く、かさばる。人力に頼った物流では荷積みに時間や人手がかかる。「同じ作業なら薬品(の運搬)のほうがいいという声もある」ほど。ドアなど大型建材の負担の大きさは物流費に上乗せされる。「今のままでは物流業者もうちの商品を扱わなくなる」(照林専務執行役員)

 新部門を設立して約1カ月。一連の問題が浮き彫りとなったところで、システムの刷新を一旦振り出しに戻した。照林氏は営業から製造、情報システムと担当役員を歴任してきた経験を生かし、目下各部門のヒアリングに奔走する。

 今後は目視確認に代わりQRコードで商品情報を読み取るなど作業の簡便化を進め、自動化に近い倉庫のシステム化を急ぐ方針だ。「(IT化が遅れていた)業界に先だって仕掛けていきたい」。「運び方改革」に経営資源を積極投入する考えだ。(川崎なつ美)

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