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マンション管理人不足深刻、70代採用やAI導入。

[ 2019年7月2日 / 日経産業新聞 ]

 不動産大手がマンション管理人不足への対策を進めている。三井不動産グループは採用開始年齢を引き上げたほか、大京グループは人工知能(AI)で業務を効率化する。企業の定年延長や再雇用拡大の影響で管理員を務める高齢者雇用が困難になっている。

 国土交通省の推計によると、2018年末時点の既存の分譲マンションの数は約654万戸。マンション管理業協会(東京・港)によると、既存の分譲マンションの1棟当たりの平均戸数が約50戸。つまり18年末の既存の分譲マンションの数は約13万棟に上る。

 ここ数年、既存の分譲マンションの戸数が毎年約10万戸積み上がっている。同協会が18年3月に発表した調査(管理会社161社回答)によると、通勤する管理人で6割の会社が採用難と回答した。理由として「給与や時給単価が低い」「売り手市場」「定年の引き上げ」が挙げられた。難しくなった時期としては「1年超2年以内」が4割と最も多く、「3年以内」が8割を占めた。

 同調査によると、マンションの管理人や清掃員などの現場従業員の年齢構成比は男女ともに65〜69歳が最も高くなっており、男性の現場従業員では65歳以上が約6割に上る。企業の定年退職後の勤務先というのが相場だったが、ここ数年、定年延長や再雇用を行う企業が増え、賃上げをしても管理人は思うように集まらないという。

 三井不動産グループは18年10月から管理人の採用開始年齢の上限を68歳から72歳へ、働ける年齢も70歳から75歳へ延長した。野村不動産グループも17年に働ける年齢を72歳から75歳に引き上げた。しかし各社は賃上げや採用年齢の引き上げ、定年延長は応急措置にすぎないと危機感を抱く。

 大京グループは20年から新築の分譲マンションの共用部分にAIを活用した音声対話が可能なディスプレーを順次設置する。情報を掲示することだけではなく、共用施設の予約、ペットの飼育に関する届け出などの必要書類を管理組合に提出でき、ハウスクリーニングの申し込みやリフォームの相談、住宅関連のサービスの問い合わせができる。スマホからも利用できる。

 大京によると、近年、ライフスタイルの多様化によってマンションの居住者の在宅時間が変化し、「管理人と会う機会が少なくて不便」という声が上がっているという。従来、管理会社からの情報は主に掲示板を通じて伝えられるが、「情報が整理されておらず読みづらい」「情報が一方通行で居住者として意見を言いづらい」といった課題もあった。

 ただ、マンション管理人の仕事には受付業務だけでなく、ごみ収集や清掃、点検があることから完全無人化は難しい。大京グループは、管理人の午前中だけの勤務や、複数のマンションを巡回する勤務にAIを組み合わせることで、業務の効率化を図っている。

 25年には団塊の世代が全て75歳以上に突入する。管理員は居住者の生活の質を支えているだけに、人手不足への早急な対応策が求められる。(小田浩靖)

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