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インフラ保全、技術進歩――木造建築、中高層に活用、工期短縮効果も(マンスリー編集特集)

[ 2019年6月28日 / 日経産業新聞 ]

 木材が中高層の建物に活用されている。三菱地所は2月に竣工した賃貸マンションで、「CLT」と呼ばれる木のパネルを高層建築物の床材として日本で初めて使った。住友林業は木材を主部材とした超高層ビルを2041年までに建設する計画を掲げている。

 三菱地所が手がけたのは、仙台市にある賃貸マンション「PARK WOOD高森」だ。10階建ての建物で、木造と鉄骨造のハイブリッド構造となる。

 設計・施工段階から防耐火技術などの検証を行い、CLT工事の採用を目指していた。2時間の耐火性を満たすCLTのパネルを床に使った日本初の高層建築物だといい、柱にも竹中工務店が特許を持つ2時間耐火の木材を使用した。

 マンションの延べ床面積は約3600平方メートル。そのうち3割に該当する約1000平方メートルの床にCLTを採用した。1〜5階の壁にもCLTを使用した。

 CLTを採用したことで、鉄骨コンクリート造の建物と比べ、3カ月ほど工期が短縮できた。建物が軽量化されるため、基礎工事などの負荷が軽減された。

 海外の高層建築物ではCLTが普及しつつあるが、国内では高い耐火性能が求められるため、CLTを床に使う建築物の高さは5階程度にとどまっているという。

 三菱地所は専門の部署を設け、CLTの事業化に向けた研究開発を進めている。仙台市のマンションなどから継続的に建物の性能データを集め、CLTの使用を拡大する考えだ。

 住友林業も都市の木造化・木質化を目指している。同社が掲げる「W350計画」では、41年に地上350メートル・70階建ての超高層の木造ビルを実現する技術の開発を目標とする。41年は同社が創業350周年を迎える記念すべき年で、木材の使用率は9割としている。

 同社の筑波研究所で開発を進め、木造の建築物の可能性を広げる取り組みと位置付ける。計画する超高層ビルでは、鋼材を合わせた柱や梁(はり)で組まれた骨組みに筋交いが対角線状に配置され、地震や風で建物が変形するのを防ぐという。内部は木のぬくもりを感じるような空間とする。

 総工費は約6000億円の大型案件で資本提携する熊谷組と取り組む。木は育つ過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するなどCO2削減に貢献する。プロジェクトの成功は木材利用を大きく広げる可能性を秘めている。

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