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リノべ、「部分ZEH」に力、積水、範囲絞り負担軽く。

[ 2019年7月30日 / 日経産業新聞 ]

 積水ハウスが断熱性能を高める戸建て住宅のリノベーションに力を入れている。居住者が主に過ごすLDKなどに絞って費用や工期の負担を軽くするメニューが好調だ。新築で実質的なエネルギー消費がゼロになる「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」に力を入れる同社。このノウハウを活用し、リノベでいわば「部分ZEH」という新たな切り口を訴える。

 リノベーションのメニュー「いどころ暖熱」は2018年12月に取り扱いを開始。顧客の要望に応じLDKだけや1階だけと範囲を「いどころ」に絞り、窓や内壁、床下の断熱と、浴室などの暖房を組み合わせ、太陽光発電や蓄電池もオプションで加える。

 対象は自社で建てた築20年以上の戸建て住宅。工事期間が10日〜2週間の「プレミアム」と1日〜数日の「ベーシック」がある。要素技術に新規性はないが、「対象を『いどころ』に絞ったり健康面を訴求したりと新たな切り口で価値を提供したい」と北村禎夫・リフォーム事業部長は話す。

 リノベやリフォームを注文する顧客の平均年齢は64歳。子供が家を出て使わなくなった部屋がある場合も多い。丸ごと改修を勧めようとしても「我々が提供したいメニューと顧客の生活実態に差があった」(北村氏)。顧客目線で見直した結果、「いどころ」に絞る発想に行き着いた。外装も含めて改修すると、費用は1千万円を超え、合計で2カ月、内装だけでも1カ月はかかる。LDKなどに絞った「プレミアム」は500万〜1千万円で済む。

 同社の試算では、部屋の広さなど一定の条件でプレミアムの高断熱化を施すと、LDKの冬の室温が3度近く上がる。高い断熱性能を求められるZEHレベルに相当するという。

 同社は新築の戸建てでZEH販売に力を入れてきた。18年度は戸建て全体に占めるZEHの割合が79%(北海道除く)、累計で約4万4千戸(3月末時点)と業界で断トツ。いどころ暖熱はいわば「部分ZEH」との発想で、「省エネの積水」の認知と新築で培ったノウハウを生かした。

 住む人の健康サポートを訴求したい全社的な狙いもある。同社は1月、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用した「プラットフォームハウス構想」を発表。センサー技術を活用して住む人の健康を見守る戸建てを20年春に発売する。例えば、脳卒中で倒れているなどの異変を感知して外部機関に通報する。

 断熱性能が上がると血圧の変動が小さくなるなど健康面の貢献も期待できる。北村氏は「将来はいどころ暖熱とプラットフォームハウスを組み合わせたメニューも検討したい」と話す。

 同社の環境型リフォーム(リノベを含む)の19年2〜4月期の受注額は前年同期比で約2割増といどころ暖熱の投入効果もあり好調で、足元も同水準で推移している。

 「快適性は目に見えないし、改修前に試せないので売るのは大変」と北村氏。もっとも、新築住宅市場の伸び悩みを受けて各社はリフォームに力をいれるが、メニューが同質であれば、単に自社が建てた既存顧客の囲い込みにとどまる。即座には実感しづらい切り口を訴求し、潜在ニーズを掘り起こす取り組みが欠かせない。(小泉裕之)

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