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蓄電池、中国企業が日本に、車載最大手CATL、住宅向け参入、太陽光に続き価格破壊も(ビジネスTODAY)

[ 2019年7月26日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 車載電池の世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は25日、住宅・産業向けに低価格の蓄電池を2020年に日本で発売すると発表した。11月から太陽光発電の固定買い取り制度の期間が順次終わるため、各家庭では太陽光で作った電力を外部販売から自家消費に切り替えるケースが増える見込みだ。CATLはこれを商機とみて、高価格がネックだった蓄電池で価格破壊を起こし、市場を取り込む。

 CATLは太陽光発電設備施工のネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ケ根市)と提携した。CATLが電池単体などの部材を供給してネクストエナジーが組み立て、20年夏ごろに発売する見込みだ。

 住宅用蓄電池は一戸建てで使う容量10キロワット時のモデルの場合、工事費も含めた導入費用は200万〜250万円が相場だという。同社は蓄電池の新製品本体で100万円を下回る価格も想定し、伊藤敦社長は導入費用全体で「3〜5年後には現在の4分の1程度の価格を実現したい」と語る。

 国内では発電事業者が家庭や工場などの屋根を借り、太陽光発電設備を置く「第三者所有(TPO)モデル」が注目される。家庭や企業の初期費用は不要で、電気料金が抑えられる。両社はまず低価格の蓄電池をTPOで事業者を通じて家庭などに提供し、家庭への直接販売も視野に入れる。

 11年創業のCATLは、世界最大のEV市場になった中国で政府の後押しを受け、17年には車載電池の出荷量でパナソニックなどを上回り、世界首位になった。独BMWや独フォルクスワーゲンなどに供給している。

 18年の生産量は21・31ギガ(ギガは10億)ワット時で、20年には倍の50ギガワット時まで引き上げる。豊富な資金力を生かし、質の高い電池を低価格で供給することが可能とされる。

 日本では価格の高さから太陽光発電向け蓄電池が普及していない。日本能率協会総合研究所(東京・港)によると、日本の家庭用蓄電池市場は17年度で800億円にとどまる。業界関係者は「蓄電池本体で50万円、太陽光発電設備なども含め150万円程度にならないと普及しない」とみる。

 CATL幹部は「日本は戦略的に重要だ」と話す。太陽光の電力買い取り制度終了で市場環境が大きく変わるのにあわせて、攻勢をかける。

 家庭用の蓄電池はパナソニックなども生産する。同社やシャープなどの日本勢は太陽光パネルで2000年代半ばに世界シェア上位を占めたが、安い中国製品におされ苦境が続く。蓄電池でもトヨタ自動車がCATLと7月に業務提携を発表するなど中国勢の力が強まっており、日本勢は太陽光パネルと同じ道をたどる可能性もある。

家庭の「自家消費」商機
東電や三菱自 EV、蓄電池に利用

 太陽光発電の固定価格買い取り制度の期間終了は、家庭にとっては電力販売価格の低下につながる。東京電力や三菱自動車は、蓄電池を購入せずに電気自動車(EV)などの車載電池を代替に使う例が増えるとみており、関連サービスの提供を始めた。

 各社が注目するのが、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の車載電池にためた電気を家庭で利用する「ビークル・ツー・ホーム(V2H)」と呼ぶ仕組みだ。自宅の太陽光で発電した電力の余剰分をEVにためて、夜間に使ったり、停電や災害時の緊急電源にしたりする。

 東京電力ホールディングス傘下の小売事業者、東京電力エナジーパートナーなどが出資するテプコホームテック(東京・墨田)は、EVと住宅をつなぐ機器のリース事業を本格的に始めた。月額1万〜1万5000円程度で機器を利用できる。

 この接続機器を買うと1台数十万円以上かかるため、普及が進んでいない。リースで家庭の初期負担をなくし、契約から約10年で、機器の所有権を利用者に移す。

 自動車業界も動く。三菱自動車は家庭や企業がEVやPHVに電力をためて利用するためのサービスを日本や欧州で始める予定。必要な機器の設置からメンテナンスまで一括して提供する。

 野村証券の試算によると太陽光の買い取り制度の終了後、ガソリン車ではなくEVを購入してV2Hの仕組みを使うと、電力の外部からの購入料金などが減るため12〜14年間で初期投資を回収できるという。自動車メーカーはEVに2つの役割を期待して購入する消費者を増やしたい構えだ。

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