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東急、不動産を中核に、「鉄道」分社化、東急不と統合視野?

[ 2019年9月3日 / 日経産業新聞 ]

 東京急行電鉄は9月2日、「東急」に社名変更し、長期経営構想を発表した。鉄道事業を全額出資子会社「東急電鉄」として分社化し、今後は不動産事業を成長戦略の中心にする。東急グループ内にはルーツを同じくする東急不動産がある。今回の社名変更が1つの「大東急」誕生につながるのか注目される。

 「当社は長期的なプロジェクトを多く持っており、数値目標については実現性が高いと考えている」。東急が2日に都内で開催した長期経営構想に関する記者会見で高橋和夫社長はこう自信を見せた。

 2031年3月期の純利益を19年3月期に比べて73%増の1000億円とする目標を掲げた。31年3月期の営業利益(参考値)は19年3月期に比べ83%増の1500億円に設定した。藤原裕久取締役常務執行役員は「不動産賃貸事業を中心とした事業がけん引していく」と説明した。

 今後の成長戦略の中心とする不動産事業の19年3月期の営業利益は319億円と、すでに290億円の交通事業を上回る。31年3月期に営業利益1500億円を目指すが、約39%の不動産事業の営業利益の構成比を31年3月期には45%程度に高める計画だ。

 一方、同じ東急グループ内には業界4位の不動産大手の東急不動産ホールディングス(HD)がある。1918年に渋沢栄一らを中心として都市開発事業などを手掛ける「田園都市」を設立。28年に東京急行電鉄の前身・目黒蒲田電鉄と合併し、53年に東京急行電鉄から不動産部門が分離独立したのが東急不動産だ。

 東急は東急不動産HDの株式の約16%を保有している。東急の野本弘文会長、東急不動産HDの金指潔会長はそれぞれ東急不動産HD、東急の取締役を兼務している。不仲説がささやかれることもあった両社だったが、最近は距離が縮まりつつあり、不動産事業を主軸とする東急の誕生を契機に、今後は連携がさらに強まる可能性がある。

 この両社の連携強化を象徴するのが、「100年に1度」と言われる渋谷駅周辺で進んでいる再開発事業だ。東京都心3区(千代田区、中央区、港区)などでは三井不動産や三菱地所、野村不動産が積極的に都市開発を進め、渋谷区を本拠地とする東急グループにとっては都市間競争の激化に対する危機感を共通認識として持ち、連携は欠かせなかった。

 少子高齢化など背景に不動産業界は過渡期にある。藤原常務も「広域で開発する時、東急と東急不動産がそれぞれ単独でやるということが難しくなってくる」と説明。「地方中核都市での開発が難しいと思うので、そこは東急不動産が開発に着手し、東急が相乗りする」。ホテルの展開では東急がオペレーション、東急不動産がオーナーというイメージという。

 高橋社長は東急不動産HDについて「重点エリアが重なるところは一緒にやっていく姿勢。頼もしい優良なパートナーだ」と語るにとどめ、統合については否定的な見方を示した。東急不動産HDの大隈郁仁社長は日本経済新聞の取材で「共存共栄でお互いが伸びている間は調整を行う必要はない。もし(グループ内での不動産事業再編)の必要が出てきたら、きたんなく議論すればいい」と語った。社名変更が1つの大東急へ戻る第一歩になるかもしれないが、市場関係者の間では将来は経営統合にも進むとの見方も一部で出ている。(小田浩靖)

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