連載コラム

第2回 中高年のFC独立、成功のコツは?

[ 2009年1月29日 ]

〜56歳で加盟、還暦を控えた今も、熱く活動中〜
株式会社あゆみ 営業主任(*)志田聖二さん

 景気後退が一層深刻化する中、リストラのニュースを頻繁に耳にするようになってきました。厳しい経済環境下で、離職せざるを得なくなった場合、自らの条件にかなった新しい職場をなかなか見つけられないケースも少なくないでしょう。殊に、中高年は、難しいと言われています。こうした事情から、今後、中高年の中には、雇われるのではなく、起業、中でも比較的リスクの少ない、FC加盟による独立の道を選ぶ人が、増えてくると思われます。そこで今回は、56歳でFCに加盟、還暦を目前に控えた今も、現役で活躍中の志田聖二さんにお話を伺い、中高年のFC事業成功のコツを探っていきましょう。
(*株式会社あゆみの代表取締役には、志田さんの奥様が就任されています)

志田聖二さん
志田聖二さん

「やりたいこと」と「資金繰り」は要チェック

 志田聖二さんは、31年間、大手小売業に勤務してきました。多くの後輩や取引先からも信頼され、活躍されていましたが、バブル崩壊を境に状況は一変します。
「当時、私は50代で、それなりの役職にもついていたのですが、勤務先の人事制度改正で待遇がかなり変わることになりました。そこでこのまま会社に残っても厳しいし、これまでと同等の待遇をしてくれる職場を新たに見つけるのは、年齢的にも難しいし、いっそのこと、退社して、自分のやりたいことをやろうと思い立ったのです」(志田さん)
志田さんがこれからの人生でやりたいことを考えた時に、自然に浮かんできたのが、介護だったそうです。
「社会的に需要が高い分野だからという理由もありましたが、子どものときに、祖父母との関わりが深かったためか、私にとっては、高齢者をサポートするのは当然のことのように感じていたんですね。それで介護を次の仕事にしたいと考えたのかもしれません」
志田さんは、有給休暇を利用して、在職中にヘルパーの資格を取得、その後2003年に、53歳で退社し、同年に介護事業所に勤め始めます。事業所勤務は楽しかったそうですが、次第に、単に高齢者を支えるのではなく、高齢者が自立して生活できるような支援がしたいと強く感じるようになりました。その頃出会ったのが、歩行困難者を対象にした在宅マッサージFC「レイス治療院」でした。同FCは、利用者の身体の不具合をマッサージで改善し、より自立度の高い生活を送れるようにするサービス業FCです。
「レイスの話を聞いて、自分のやりたかったのはこれだと思いました。それで、家族の同意を得た上で、2006年7月、56歳で加盟しました。開業資金は、全て自己資金で用意しました」
 志田さんの退社からFC加盟にいたるまでの道のりを振り返ってみると、中高年のFC独立に関して、いくつか重要なポイントが見えてきます。まず、自らの置かれた状況を客観的に見つめ、仕事に対してあきらめることと、こだわることを明確にする、次に自分のやりたいことは徹底的に追求する、さらに家族の同意を得る、そして資金面などで無理をしないことなどが挙げられます。これらは概ね、年齢に関わらず独立時に押さえるべきポイントと言えますが、中でも「やりたいことは徹底追及」「無理のない資金繰り」の2点は、中高年なら特に押さえておくべきポイントです。個人差はありますが、子育ての義務などから解放されているのなら、第2の人生で思い切り自らの夢を追求してみるのも良いでしょう。ただし、万一失敗した場合、年齢的に返済が厳しくなりやすいので、借り入れは避けた方が賢明です。

守りに入らず常に自ら考え、積極的に行動

 さて、こうして自らが打ち込めるFC事業に巡り合った志田さん。現在、加盟者として、どのような仕事をこなしているのでしょう。
「レイスでは、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った先生が、ご利用者のお宅を訪ね、マッサージを行います。このサービスは、歩行が困難な方を対象に実施しており、医療保険が適用されるので、概ね数百円程度でご利用いただけます。サービス提供は、マッサージの先生が担当し、煩雑な保険請求などの作業は本部が代行してくださるので、私の仕事はご利用者の開拓、マッサージの先生のシフト作り、ご利用者宅への集金などが中心になります。 
 ご利用者開拓は、居宅介護事業所などを回り、ケアマネージャーに営業をかけることから始まります。レイスのサービス内容をお伝えして、弊社サービスを利用していただけそうな方をご紹介してもらうのです」
 志田さんのエリアは、競合他社が多く、競争も激しいようです。そこで志田さんは、レイスが、最近話題の保険をめぐる不正請求を、未然に防ぐシステムを構築していることに注目、これを差別化の要とした営業を行っています。
「利用希望者が見つかれば、カウンセリングを行い、保険適用を受けるために、その方の主治医の先生に、在宅マッサージを希望するという内容の同意書を書いてもらいます。こうした手続きを経て、サービスの提供を開始します。
 今、私のところでは、4名のマッサージの先生を正社員として雇っています。皆さん、ご利用者からの評価も高い方ばかりです。良い人材に巡り合うことが一番大切ですから、マッサージの先生の採用は妥協してはいけないと思います。ただやはりご利用者との相性がありますから、毎月1回の集金で、ご利用者宅をお伺いする際に、それとなく先生との相性をチェックし、場合によっては、別の先生に変えてみることを、こちらからご提案するようにしています」
 加盟者の仕事の中で、一番大変なのが、この利用社宅への訪問です。月1回といえども、数十件のお宅を回るのは一仕事です。しかし、志田さんは、体力的にキツイこともあるけれど、まだまだやれると感じています。
 また、マッサージの先生1人当たりの担当できる人数は、30人〜40人までなので、常に新しい先生を募集し、利用者の増加に備えています。優秀なマッサージの先生は、強力な武器になるので、近隣のレイスの加盟者同士で先生を紹介し合うなど、相互に助け合うこともあるといいます。
 さらに、ターゲットとなる介護事業所にとって、なんらかのメリットをもたらす人たち、例えば訪問歯科医などと、ネットワークを組み、必要に応じて紹介するといった形で、事業所との関係を深めています。
 このようにしてみると、志田さんは、加盟者として決められた義務を、ただ実行しているのではなく、自ら考え、積極的に行動して事業を広げていっていることが分かります。

結局、事業への情熱が一番重要

 志田さんは、こうした今日までの活動を踏まえ、中高年の独立をどのように考えていらっしゃるのでしょう。
「自らの人生に満足するには、やりたいことに真剣に取り組まなければならないと痛感しています。そうすれば必ず道は開けます。レイスに関して言えば、仕事そのものは、誰にでもできる内容です。ただ、事業としてしっかりやっていくには、本当に高齢者の自立を助けたいと言う熱い気持ちが必要です」
どのような事業であれ、自らがその事業に対し、情熱を感じられるか、情熱を持って取り組めるかが、事業成功の絶対条件です。中高年の場合、年齢を考え、体力や資金面で無理のないFC事業を選ぶのは重要なことですが、それらを重視するあまり、事業への情熱を忘れてしまうと、成功はかえって遠のいてしまうでしょう。
志田さんは、町で困っている高齢者を見かけるたびに、なんとかしてあげたいと、いまだに強いジレンマを感じるそうです。また、高齢者を支える何らかのチャンスがあれば、即、飛んで行って参加しています。何よりも、志田さんの高齢者を支えたいという情熱が、年齢を超えたパワーを生み、事業としての結果ももたらしているようです。

FC本部は見た!志田聖二さんの強さの秘密
〜高齢者への強い思いと家族のサポートが原動力〜
株式会社LEIS 村山貴子取締役営業統括部長

「志田さんは、当初から高齢者を元気づけたい、サポートしたいという気持ちが非常に強く、その気持ちは今も全く変わってらっしゃらないですね。マッサージで体調が改善したご利用者から、喜びや感謝の言葉をいただけるので、それが志田さんのパワーの源になっているのだと思います。若い加盟者さんと比べても、パワーに関しては負けてないですね。ご家族がサポートされている点も大きいと思います。
 また志田さんは、果敢に挑戦される方でもあります。志田さんのエリアは競合他社が多いのですが、保険についてよく勉強されたり、レイスの特徴をきっちり把握して、積極的に営業活動を行っていらっしゃいます。エリアについての貴重な情報を本部に提供してくださるなど、FC運営についても非常に協力的な方です」

(企画・構成:ツーウェイコミュニケーションズ松本陽子)

執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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