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連載コラム

第2回 家事代行フランチャイズB社 加盟者 株式会社オアシス 代表取締役 澤智子氏

[ 2011年2月14日 ]

 大半のフランチャイズチェーン(以下フランチャイズ)加盟者は、将来の多店舗展開や多業態化などを夢見ながら、事業のスタートを切ります。しかし実際に、事業拡大にまでいたるのは、一部の加盟者だけです。中には、最初の店の経営につまずく事例もあります。何が成否を分けるのでしょうか。
 本特集では、元サラリーマン、元専業主婦の加盟者に、成功のスタートラインに立つためのフランチャイズ選びと、飛躍するための事業拡大のポイントについて伺っていきます。ここから、フランチャイズ事業成功のヒントを学んでいきましょう。

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「㈱オアシス 代表取締役 澤智子氏」

株式会社オアシスについて
・設立:1985年
・社員数:2人
・2009年度年商:――
・東京・杉並に本社を構える。1985年、家事代行フランチャイズの第一号店としてスタート。2010年12月現在、6カ所の営業エリアで事業を展開中。澤社長は二児の母。

本部と目指すところを共有できれば、苦しい時も踏ん張れる

――専業主婦だった澤さんが、フランチャイズに加盟、開業した経緯をお聞かせください。
 勤めていた会社を結婚退社後、二児の母となり暮らしていましたが、29歳のときに再び働かざるを得なくなりました。
当初、再就職しようとしましたが、「仕事をやめて、家庭に入っていた」ことが理由で、門前払いの状態でした。
私はそれまで、家事や育児を自分の仕事として考え、一生懸命取り組んでいました。でも、社会では、全く評価されなかったのです。
私は「この状況はおかしい。家事、育児は立派な仕事だ。社会にもこの点を認めて欲しい」と強く感じ、家事を仕事にできないかと考えるようになりました。
ちょうどその頃、新聞記事で、B社が、家事代行のフランチャイズ展開を始めると知りました。事業説明会に参加したところ、自分の目指していることにぴったり合った内容でした。開業資金も比較的少ないなど、開業条件も問題なかったので、30歳で加盟、開業しました。
――澤さんが目指していたこととは、具体的にどういうものだったのでしょう。
 各家庭のライフスタイルに合わせた、家事代行です。
従来の家政婦さんの場合、それぞれのやり方を、利用者に一方的に押しつけてしまうこともあったように思います。
家事のやり方は、家庭ごとに異なるものです。家事のプロは、その家庭ならではのやり方を正しく把握し、代行します。それが、私のやりたい仕事でした。
――加盟前に同業他社と比較したり、違う分野のフランチャイズを検討したりしましたか。
 いいえ。当時、同業他社は、まだ見当たりませんでした。やりたいことがはっきりしていたので、他の分野を考えてみることもありませんでした。

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「起業当時の澤社長」

専業主婦時代のネットワーク、母親マインドを生かし、事業展開

――それでは順調に加盟、開業できましたか。
 いいえ。大変でした。でも、ご近所の方やママ友の協力で、開業前後の一番きつい時期を乗り切りました。
私は1歳と3歳の子供を育てながら、事業を立ち上げていかなければなりませんでした。
事情を知ったご近所の方やママ友たちが、子供を預かってくれたり、保育所で必要な布団カバーを、私の代わりに作ってくれたりなどして応援してくれました。仕事で必要な車を貸してもらったこともありました。
私の場合、「金なし、コネなし」起業でしたが、専業主婦として築いてきたネットワークがあったのです。
――家事代行業の場合、言わば、現場で作業をするスタッフが、商品です。どうやって優秀なスタッフを集めていきましたか。
 最初は、経験を積んだ方を募集しました。
ところが、そうした方は私よりかなり年上で、30歳になったばかりの私の指示を、なかなか受け入れてくださらなかったのです。
それで、私と同年代の方を募集することにしました。集まってきた多くの方が、小さい子供を抱えているという理由で、他社では採用されなかった女性でした。
私は「子供が熱を出した時などは、休んでもいい。その代わり、他のスタッフが同様の理由で休む時は、フォローする」ことを条件に、子育て中の若いスタッフを雇っていきました。彼女たちは大変喜んで、一生懸命働いてくれました。
実際、スタッフが子供を会社に連れて来て、会社で預かることもありましたし、私の子供が熱を出した時は、スタッフに面倒を見てもらうこともありました。
仕事はきっちりやってもらいましたが、仕事以外では同じ母親として助け合っていきました。スタッフというより、同士のような存在でした。
――澤さんは、最初に手掛けた東京・杉並での家事代行が軌道に乗ってから、サービス提供エリアを広げていきました。事業を拡大できた理由はどこにあったのでしょう。
 スタッフを大事にしてきたからでしょうか。
そもそも私がエリアを広げたのは、主にスタッフの活躍できる場を作るためです。それが社長の責任だと考えています。
弊社では、原則的に、スタッフは自宅からご利用者様のお宅へ直行します。ですからスタッフが、ご利用者様のお宅に通うのに便利なエリアを選んで、拡大してきました。
スタッフは、「自分たちの生活サイクルを大切にしてくれるので、働きやすい」と言ってくれます。弊社は、スタッフ定着率が高く、中には18年にわたり、活躍しているスタッフもいます。スタッフがついて来てくれたので、ここまで事業拡大できたと思います。

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「家庭的な雰囲気のオアシス本社」

二人の子供の、母親への評価は...

――澤さんは経営者であると同時に、お母さんでもあります。まだ子供さんが小さい時に、起業されました。子育ての一方、事業を始めたい女性にとって、育児と事業とのバランス、子供さんへの影響は気がかりな問題です。澤さんの場合は、いかがでしたか。
 今、二人の子供は26歳と28歳です。子供が成人してから、私についての考えを聞く機会がありました。その時、「自慢の母だ。一つの生き方としてスゴイと思う。人間として尊敬している」と言ってくれました。これを聞いた時、私は本当に幸せでした。
実は、私はずっと子供に申し訳ないと思っていたのです。子供を保育園に預けたり、熱を出した時もそばについていてやれませんでした。でも、子供はそういうことは全く気にしておらず、私の仕事や生き方を理解してくれているようでした。
考えてみると、子供は、学校から会社に「ただいま」と帰ってきて、私達が打ち合わせをしている傍らで、おやつを食べたり、スタッフの小さい子供の面倒を見たりしていました。母親として、子供のことを気にかけたり、触れ合う機会を作る努力はもちろん必要ですが、育児は、単に一緒にいる時間の長さで決まるのではないのだと思います。
――最後に、フランチャイズ事業において重要と思われる点、特に女性が事業を始める場合のポイントなどについてお聞かせください。
 重要なのは、本部と自分の目指すところが同じであることです。これが一致していれば、苦しい時にも頑張れます。そのためには、まず自分がやりたいことを明確にすることです。また女性には、ハンディは、発想を変えれば強みになると覚えておいて欲しいです。

執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞った Webサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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