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連載コラム

第3回 アイスクリーム店など16業態のフランチャイズ加盟者 株式会社フクシマ商事 代表取締役社長 福島良治氏

[ 2011年2月28日 ]

 大半のフランチャイズチェーン(以下フランチャイズ)加盟者は、将来の多店舗展開や多業態化などを夢見ながら、事業のスタートを切ります。しかし実際に、事業拡大にまでいたるのは、一部の加盟者だけです。中には、最初の店の経営につまずく事例もあります。何が成否を分けるのでしょうか。
 本特集では、元サラリーマン、元専業主婦の加盟者に、成功のスタートラインに立つためのフランチャイズ選びと、飛躍するための事業拡大のポイントについて伺っていきます。ここから、フランチャイズ事業成功のヒントを学んでいきましょう。

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「㈱フクシマ商事 代表取締役社長 福島良治氏」

株式会社フクシマ商事について
・設立:1988年
・社員数:80人
・2009年度年商:約30億5,000万円
・神奈川県藤沢市を中心にピザ宅配、定食店、ドーナツ専門店など16業態のフランチャイズに加盟し、47店舗を展開。18期連続で増収。

「物件ありき」の事業選びでリスク抑制

――福島さんの独立前の仕事と独立を志した理由からお聞かせください。
福島 コンピュータのエンジニアとして、会社勤めをしていました。
次第に、このまま会社にいると、自分がどういう立場になっていくかが見えてきました。そうなってくると、おおよそ見当がつく将来を生きるより、自分のやりたいことをやってみたい、自分を燃焼させたい、そのために事業を興したいと考えるようになりました。
――どういった分野での独立を考えましたか。
福島 飲食関連分野です。
お客様の望む商品の提供、お客様にとって便利で信頼できる店であることを徹底すれば、飲食関連業は、資本力に関わらず、支持されるからです。
また、飲食への需要は、どんな時代にも存在します。
食べるのが好きだったことも、飲食関連業を選んだ理由に挙げられます。
――どのようにして飲食関連業を選んでいきましたか。
福島 まず自ら立地調査を行いながら、物件情報のネットワークを作りました。それから、いい物件が見つかった段階で、これに最適な飲食関連業を選びました。
――最初に物件ありきの発想ですね。
福島 はい。実は、初めて手掛けた事業は、ボランタリーチェーン(※)店(以下ボランタリー)でした。
(※ボランタリーチェーン:卸売業もしくはメーカーと小売業による協業組織。独立性を保ちながら、共同仕入れなどチェーンストアとしてのスケールメリットを求めて、組織化したもの)
現在、弊社はフランチャイズ中心に事業展開をしていますが、物件ありきの発想は変わりません。
――ボランタリーでもフランチャイズでも、物件に合わせて事業を選ぶ手順は同じだと思います。読者の参考になりますので、具体的な経緯をお聞かせください。
福島 独立する一年以上前から、東京周辺の駅のマーケットリサーチを始めました。どういう立地で、どういう店が繁盛しているのかを調べ、結果は町ごとに調査表にまとめました。週末に、足を使って調べ、随分、靴を履き潰しました。
同時に各地域の不動産屋を回り、立地ごとの物件取得費などをチェックしていきました。自ずと不動産屋とのネットワークができ、電話一本で不動産屋から物件情報の収集ができるようになっていきました。
ある時、馴染みになった不動産屋が、「いい物件が出た」と連絡してきました。
私は翌日、物件を見に行き、即、借りることを決めました。
その時点で、成功のシミュレーションが、頭の中にありました。どういう立地の、どういう物件で、どんな飲食関連業をやれば成功するだろうというシミュレーションです。立地調査と物件情報収集を積み重ねた結果です。だから、即断即決できました。いい物件はすぐ借り手が決まります。決断にはスピードが必要です。
それから物件に合った事業を探し、サンドイッチ店ボランタリーへの加盟を決めました。
――まず物件を決め、それから事業を選ぶ方法の利点は何ですか。
福島 リスクを抑制しやすくなることです。
物件に合わせた事業選びは、結果的に、多様なフランチャイズへの加盟につながります。特定のフランチャイズに加盟するより、多様なフランチャイズに加盟した方が、リスクは抑制できます。また、自らの立地調査力を磨き、物件情報ネットワークを築くことができます。そうなれば、本部への依存度が低下するので、さらにリスクを抑えられます。
――通常、本部が立地調査を行い、加盟者は、それをもとに出店の是非を検討します。加盟者自らも調査すれば、本部への依存度が低下し、より確かな事業展開が可能になります。

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「最初に手掛けたサンドイッチ店」

入念な準備・調査が成功率を高める

――物件に合ったフランチャイズを見つけた場合、さらにそのフランチャイズを掘り下げて調査しているかと思います。具体的にどのような点を調査していますか。
福島 まず事業特性や競合関係を調べます。
次に、本部を調べます。社長と面談する際には、事業に対しての考え方や、加盟者との共存共栄を重んじているかなどを見極めます。本部スタッフの資質、SV(スーパーバイザー)の力量、スタッフの考え方が社長のそれと合っているかも重要です。商品の質と価格、及び供給体制、教育システム、本部の資金力なども要チェックです。
それから、既存店の実績を基に、自らが押さえている物件で事業展開した場合、どれだけの売上が出せるか見定めます。手堅い事業を目指すなら、売上予測は自ら行うべきです。本部による売上予測などは、参考程度にとどめるべきでしょう。
そして、加盟者とも面談して、本部との信頼関係が築かれているかを確認します。
このように、フランチャイズを詳細に、納得がいくまで調査します。入念な準備、調査があれば、失敗する確率も抑えられます。「成功するぞ」という気持ちだけではダメです。

社員の立場に立った職場づくりで高い定着率

――福島さんは、1983年に独立して、サンドイッチ店ボランタリーに加盟。福島さんのアイデアで、サンドイッチに加え、弁当とアイスクリームも取り入れた、三毛作業態店を開業します。さらに3年後にはアイスクリーム専門店フランチャイズに加盟し、新たに店舗を出します。以降、継続的に事業を拡大しています。
事業拡大には、社員の採用、育成が必要です。福島さんが、社員採用・育成にあたり、心掛けていらっしゃることなどお聞かせください。
福島 弊社では、社員それぞれが、外食経営のプロになることを目指しています。この目標に沿った社員の成長を、もっとも重視しています。社員の成長に合わせ、会社も成長します。この考えに賛同する方を採用しています。その一方、弊社には家庭を持つ「お母さん従業員」もいます。彼女たちには家庭を最優先してもらい、自由に休める体制を取っています。また、弊社は、本社から1時間半以内で移動できる範囲内に、出店するようにしています。従業員の通勤の負担を考えてのことです。常に個々の従業員の立場に立ち、働きやすい環境を作るよう気を配っています。そのせいか、飲食業界の平均離職率が20%~30%とされる中、弊社は5%~10%にとどまっています。
――最後に、フランチャイズ加盟を考えている方へのメッセージをお願いいたしします。
福島 くれぐれも開業前の準備、調査を怠らないようにしてください。加盟したら、全ては自分の責任。「退路はない」と考え、成功に向けて前進してください。

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「フクシマ商事を支える社員の皆さん(福島氏は前列中央)」


執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞った Webサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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