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連載コラム

第3回法人加盟者事例:「競合激化で、本業のリネンサプライはジリ貧。活路が必要でした」(佐藤クリーニング代表取締役 佐藤守哉氏)

[ 2012年2月27日 ]

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佐藤クリーニング代表取締役 佐藤守哉氏

 1985年頃、株式会社佐藤クリーニング(福島県会津若松市)では、資金不足により設備投資ができず、本業のリネンサプライ事業(※)がジリ貧状態。転機となったのが、1988年のクリーニング店フランチャイズへの加盟でした。現在、佐藤クリーニングは、クリーニング事業年商が、福島県会津若松市内のクリーニング事業者の中でトップに位置しています。他に2業態のフランチャイズも手掛け、グループ全体の2010年度年商は約16億円。佐藤さんにフランチャイズ選びのポイント、従業員を本気にさせるコツなどを伺いました。

※リネンサプライ:ホテル、旅館などの宿泊施設へリネン(シーツなどの寝具類、タオル類)をクリーニングとセットでレンタルするサービス。

加盟者同士の交流を促すフランチャイズは◎

――主な事業内容についてお聞かせください。
佐藤 フランチャイズ加盟者として、クリーニング店、クイック理美容院、古着店リサイクルショップを手掛けています。クリーニング店は169店舗。169店舗の内訳は、弊社が直接運営する直営店34店舗、弊社傘下の取次店135店舗。クイック理美容院5店舗、古着店リサイクルショップ2店舗です。独自業態としては、リネンサプライ事業を展開しています。
――フランチャイズを選ぶ際、重視している点を挙げてください。
佐藤 まず、弊社の既存事業と共通点があること。例えば、クリーニング店なら衣類をお預かりしてクリーニングする点が、リネンサプライと共通しています。クイック理美容院は、我々が加盟しているクリーニング店本部が展開している事業ですし、サービス内容が弊社のスローガンの一つ「私達は、早く・安く・きれいな商品を基にし、愛用客を増やし続けることを誓います」に合致しています。古着リサイクルショップは、衣類を扱う点がリネンサプライ、クリーニング店と共通しています。
――既存事業と新しく始めるフランチャイズに共通点があると、どのようなメリットがあるのでしょう。
佐藤 フランチャイズの内容を感覚的に把握できるため、フランチャイズの充実度の見極めが容易になります。特に、事業内容に共通点があると、フランチャイズ事業を地元で展開した場合の売上のめどなどが立ちやすくなります。
――なるほど。そのほかのフランチャイズ選びで重視している点についてはいかがですか。
佐藤 口コミが発生しやすい事業か、本部指導は充実しているかを重視しています。また、理想としては加盟者交流に積極的な本部であることです。
ユニークな事業は口コミが発生しやすく、口コミは集客やリピーター化を促進します。私の感覚では、2~3年目に着実に売り上げが伸ばせます。弊社が加盟した古着リサイクルショップは、毎週水曜に商品価格が下がるなどユニークな店舗運営で、口コミが期待できる事業です。開業後の本部指導の充実度については、先輩加盟者に尋ねます。店舗の売上、コスト、利益などの数字を押さえたうえで、どうやってさらに利益を伸ばすかなど丁寧な指導をしているのか、確認します。
同じフランチャイズの優れた加盟者からは、事業拡大に有益な情報を得られます。最初に加盟したクリーニング店のフランチャイズには、加盟企業の代表者の集まり、エリアごとの集まり、全国大会など年間15回の加盟者交流の場があります。交流会で「あの加盟店はいい」と聞くと、全国各地の店舗を見に行きました。本部のスーパーバイザーは、基本的に、加盟者の失敗例など悪いことは言わないもの。でも実は、失敗例や抱えている問題点などにこそ貴重な教訓がある。私は、そういう話を直接先輩加盟者から聞きました。弊社のクリーニング事業が大きく飛躍できたのは、優秀な加盟者から多くを学べたからです。自分の体験から、加盟者交流に積極的なフランチャイズの方が、加盟者の成功は加速しやすいと考えています。

従業員の本気を引き出すコツ

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「従業員が本気になるかどうかは社長次第」

――ここからは、一号店を軌道に乗せるための基本を伺っていきます。佐藤クリーニングの本業は、寝具、タオル類をクリーニングとセットでレンタルするリネンサプライ事業。そんな佐藤クリーニングにとっては、クリーニング店フランチャイズは、知識や経験のある分野の事業です。クリーニング店一号店を立ち上げた当初、知識や経験があるがゆえに、注意した点はありましたか。
佐藤 はい。リネンサプライとクリーニング店フランチャイズは、作業が似通っていますが、大きく違う点があります。フランチャイズでは、標準化が求められるという点です。全てのスタッフが決められた枚数のクリーニング作業を、一定の時間内に、均一の品質で行なわなければなりません。標準化するために、知識や経験に基づくそれぞれの作業方法ではなく、マニュアルに沿った方法で作業を進めるようスタッフに指導しました。本業と共通点のある分野のフランチャイズ事業を手掛ける場合、最初にスタッフに知識や経験を持ちこまないよう注意する必要があります。
――法人が、新事業としてフランチャイズに取り組む場合の注意点はありますか。
佐藤 社長が店にこまめに顔を出したり、スタッフとコミュニケーションをとって、新事業に本気で取り組んでいる姿勢を、社員に見せることです。例えば、弊社ではクイック理美容院をオープンした時は、オープンから半年は2週間に一回スタッフたちとのミーティングに私が参加したり、月一回食事会を開いていました。現在は、一人の客の立場で、抜き打ちで店を視察しています。一方、古着リサイクルショップは、一号店オープン1カ月前の準備期間からオープン後1カ月ぐらいまでは毎日2時間~3時間、店に顔を出していました。今も、2日に一回程度、電話を入れています。また、弊社のクリーニング事業の責任者に、古着リサイクルショップに適宜立ち寄ってもらい、「様子はどう?困ったことはない?」と声をかけてもらっています。本部のスーパーバイザー(SV)も店舗指導してくれますが、社員の本気を引き出すためにはSV任せではダメです。社長が新事業も本業と考え、取り組めば、社員も本気で頑張ってくれます。

一業態集中出店と多業態化のメリット・デメリット

――最後に、一号店を軌道に乗せた後の事業展開について伺います。一つのフランチャイズ事業に絞って多店舗化する場合、多業態化する場合が考えられます。それぞれのメリット、デメリットを挙げてください。
佐藤 一つのフランチャイズに絞った展開の場合、組織作りや社員教育にも時間や手間をかけられるので充実すると思います。ただし、開業時のエリアだけでは継続的に多店舗化できないので、新たにエリアを買い、新しく人を置く必要が出てくるでしょう。一方、多業態化すれば、多様な事業で本拠地のエリアを効率的に開拓できる反面、新しい事業を導入するのに時間や手間がかかるため、組織作りや社員教育の充実度は低下しがちだと思います。
――ありがとうございました。

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「一業態に絞っても、多業態化しても一長一短」

執筆者:フランチャイズ選びから、一号店を軌道に乗せるまで

松本陽子
ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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