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連載コラム

第1回:「最後は、『本部の人が好き』で加盟。厳しい時でも、好きな人となら頑張れる」(安倍康一さん)

[ 2013年1月24日 ]

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イー・ホールディングスグループ代表 安倍康一氏

 イー・ホールディングスグループ(愛知県大府(おおぶ)市)代表の安倍康一さん。2002年に脱サラ、個別指導塾フランチャイズに加盟しました。現在、国内で、個別指導塾40校舎、デイサービス10事業所、WEBリサイクル店1店舗を運営。タイで、回転寿司の地域本部も運営中。グループ全体の2011年度年商は約11.4億円。安倍さんがはじめてのフランチャイズをどう選び、成功させたのかを伺いました。

「好きなことを仕事にしたい。好きな人と働きたい」入社10年で脱サラ

――そもそも、なぜ独立されたのでしょう。
安倍 中学生の頃から、「社長になるぞ」と決めていました。人に使われるのが嫌で。好きなことを仕事にしたい、好きな人と働きたいと考えていました。仕事のやり方や組織での働き方などを学ぶために会社員になりましたが、入社して10年、35歳で脱サラしました。
 脱サラについて、両親は大反対。それでも、会社を辞め、個別指導塾フランチャイズに加盟したので、5校舎目の塾を出すまで、私は勘当同然でした。

開業資金・チェーン規模・本部の人との相性でフランチャイズを選ぶ

――個別指導塾に加盟されるまでの経緯をお聞かせください。
安倍 独立を思い立った時、おおまかな「15年計画」がありました。最初の5年で、塾を3校舎、次の5年で物販を3店舗、最後の5年で飲食店3店舗を手掛けようと。塾を初めて取り組む事業に決めたのは、開業資金が低いから。学生時代、通っていた塾の教え方、保護者の方への対応などを見て、「自分ならもっとうまくできる」と感じていましたし。
 それで独立情報誌を見て、個別指導塾、物販、飲食フランチャイズの資料を請求。計画通り、まず塾から始めようと、個別指導塾フランチャイズ本部3社を訪ね、訪ねた中の1社が展開する、Aチェーンに加盟しました。
 フランチャイズの展示会や、事業説明会には行きませんでした。展示会で本部のブースに立ち寄ったり、説明会で話を聞いたりすると、その本部に取り込まれそうな気がして(笑)。加盟前に、Aチェーン加盟者を訪ねたこともありません。本部から紹介される"すごい"加盟者の話を伺っても、フツーレベルの自分には、参考にはならないだろうと。悪い話を聞かされるのも避けたかったし。

――なぜ、加盟者から本部や事業についての悪い話を聞きたくなかったのですか。
安倍 自分の信念を、いたずらにぐらつかせないためです。
 加盟前にどんなに調べても、最後は本部や事業の成功を信じられるかどうかだけ。当時、Aチェーンは全国で約300校舎を展開していました。300校舎の実績を出しているので、ビジネスとしてはそれなりの確かさがある。開業資金も予算の範囲内。最も重要な2点はクリアできている。私は、Aチェーンの校舎を見たり、本部社員やトップと面接したりして、「この事業は面白そう。自分はこの人たちが好きだし、信じられる」と感じました。成功のイメージを持って事業に臨みたいと考えました。それで、悪い話で良いイメージを壊したくなかったんです。

――校舎や本部のどういう点に、事業の面白さを感じ、好感を持ったのですか。
安倍 まず、校舎のテーマカラーがオレンジと黒だった点。斬新な印象を受けました。私は通常の塾とは違う、「生徒が笑顔で帰れる楽しい塾」をつくりたかった。塾らしくない色使いに、他の個別指導塾フランチャイズにはない面白さを感じました。
 それから、本部社員やトップの礼儀正しさ、加盟希望者への誠実な姿勢に好感を持ちました。面接では、加盟校上位20校ぐらいまでの生徒数や売り上げを開示しながら、質問に正直に答えてくれました。気が合うなと感じました。
 特に、本部トップは、漠然と思い描いていた理想のリーダー像に重なる人でしたね。若くてさわやかで、加盟者を仲間として考えていました。

――先ほどおっしゃっていた「好きなことを仕事にしたい、好きな人と働きたい」というご自身の価値観に従って、フランチャイズを選ばれたわけですね。「本部の人が好きかどうか」でフランチャイズを選ぶメリットは、どういうところにありますか。
安倍 厳しい時でも「(本部を)信じられる・頑張れる」ところですかね。
 どんな事業でも、厳しい事態に直面することはあります。そういう時でも、好きな人なら、相手を信じて素直に相談できるし、結果が出るまでいっしょに頑張れる。もし、本部の人たちとの信頼関係が中途半端なまま、「儲かりそう」だけでフランチャイズに加盟したら、売り上げが伸び悩んだ時など、「本部の指導が良くないから」ということになりがち。これでは、厳しい事態に立ち向かう気力も失われそうです

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厳しい時は、本部との関係が問われる

なぜ、チェーン内トップクラスのスピードで、生徒数100名を達成できたか

――加盟して、初めて手掛けた塾はいかがでしたか。
安倍 開校から約8カ月で、生徒数100名を達成しました。8カ月での達成は、当時のAチェーン全国300校舎内で、トップ5に入るぐらいのスピードでした。
 スピーディーに達成できた背景には、直営校が近隣で開校していたので、知名度があったこと、個別指導という塾のスタイルが地域に浸透し始めていたこと、競合がなかったことなどがありました。好条件に甘えず、私は「笑顔で帰れる塾」をテーマに塾運営に力を入れました。

――具体的にどうやって「笑顔で帰れる塾」を実現されたのでしょう。
安倍 重視したのは、講師自身が「生徒といっしょに楽しめること」を条件に、講師に生徒の指導方法や、やる気の引き出し方を任せること。講師と楽しく勉強できる塾なら、生徒は自然に笑顔になりますから。
 私は、常に、感謝や信頼の言葉をかけながら、講師に指導を任せる一方、様子をよく見て困っているようなら声をかけたり、うまくいったら褒めたりしていました。また、例えば、消しゴムかすの掃除など、講師たちがうっかり見過ごしている重要なことは、「カフェでテーブルが汚れていたら食べる気なくすよね。教室もきれいなほうが勉強する気になるんじゃない?」と指摘するにとどめ、できるだけ講師自ら考えて行動するようにしました。
 生徒たちの表情にも注意して、気になる時には「今日、○○くん、暗い顔をしていました」とご家族に伝えていました。ご家族から「そんなところまで見ていてくれる」とよく感謝の声をいただきました。
 もう一点注意していたのが、生徒やご家族に礼儀正しく接すること。我々は先生と呼ばれる立場ですが、特にご家族には、まずこちらから「お世話になっております」とご挨拶するようにしていました。現在、1校舎目は開校から11年。周囲に競合が増えましたが、130名近い生徒でにぎわっています。

脱サラ11年で見えた、フランチャイズ選びのポイント

――安倍さんは、脱サラから11年たち、複数のフランチャイズに加盟して、事業を拡大されています。今日までのご経験を踏まえ、フランチャイズに初挑戦される方にアドバイスをお願いいたします。
安倍 開業資金と本部のノウハウの充実度は、比例しているところがあります。本部トップや社員が、本当に加盟者のことを仲間と考えているかどうかは、雑談を含め1時間ぐらい話していると見えてきます。

――ありがとうございました。

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開業資金と本部ノウハウは比例関係

執筆者:フランチャイズ選びから、一号店を軌道に乗せるまで

松本陽子
ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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