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連載コラム

第2回:「大赤字の責任を取って辞職。背水の陣で、フランチャイズに加盟しました」(青木謙侍さん)

[ 2013年2月7日 ]

青木謙侍氏
セント・リングスグループ代表 青木謙侍氏

青木謙侍さんはセント・リングスグループ(静岡県沼津市)の代表。家業の呉服店経営に常務として参加していましたが、1993年に独立、宅配ピザフランチャイズに加盟。現在、宅配ピザ店10店舗、美容室3店舗、デイサービス3拠点など、20業態のフランチャイズ加盟店52店舗を展開。グループ全体の2011年度年商は約26億円。青木さんに、呉服店時代の失敗から今日にいたるまでの経験で得た、フランチャイズ成功のポイントを伺いました。

新事業として手掛けたフランチャイズは、なぜ失敗したか

――家業の呉服店経営に関わっていらした頃にも、フランチャイズに取り組まれたそうですね。
青木 ええ。私が中心になって、新規事業としてレンタルビデオフランチャイズに加盟しました。いいフランチャイズだったのですが、失敗しました。「このフランチャイズはかっこいい」、「ここの加盟店なんだと自慢できる」という見栄が先に立ち、出店立地の吟味など事業としての検討が不十分なまま加盟、開業したからです。私は、多額の赤字を出した責任を取って辞職。勘当同然で家を出ました。36歳の時です。

再起をかけ、宅配ピザフランチャイズで独立

――呉服店から独立後、宅配ピザフランチャイズに加盟されました。加盟理由、開業までの経緯をお聞かせください。
青木 友人が、宅配ピザフランチャイズの加盟店として成功していました。食べるとピザもおいしいし、友人から話を聞いてもイケそうな印象。それで飲食業未経験でしたが、加盟に踏み切ったんです。「自分にはもう後がない。家族を養うためにも成功しなければならない」と考えていました。
 当初、自分の地元である神奈川県・厚木に出店するつもりでした。地元だから、友人に頼めば、ピザを取ってもらえるのではないかと。素人の甘い考えです。結局、本部トップが「競合がないから」と提案してくれた御殿場に出店することに決めました。
 研修では、自分より年下の本部スタッフに怒られていました。年功序列に慣れているとちょっとキツく感じます。

――本部トップから、競合のないエリアを薦められたということでしたが、実際に出店されてみて、競合のないエリアに出店するメリット、デメリットはどういう点でしたか。
青木 メリットは、勝ち残れば、莫大な利益が得られること。デメリットは「売れるのが当たりまえ」になり、慢心しやすいリスクがあることです。

――1993年8月に、いよいよ宅配ピザ店をオープンされました。オープン時はどういう状況でしたか。
青木 大変好調でした。
 社員1名、アルバイト30名でスタートしましたが、オープン日は、16:00の開店から閉店まで電話が鳴りやまない状態。この状態が続き、宅配ピザ一号店は、フランチャイズの中で売上ベストスリーにランクインするぐらいの繁盛店になりました。当時、私が加盟していた宅配ピザフランチャイズの店舗数は、100店弱だったと思います。
 一号店オープンから7カ月目には、二号店目を出店。私は午前3時に寝て、午前7時に起き、目が覚めている間は、ほぼ店に入りっぱなしの毎日を送っていました。

ビュッフェ形式のレストラン
展開中のフランチャイズ加盟店(1)ビュッフェ形式のレストラン

多忙のあまり、スタッフが疲れて辞めるのをどう防いだか

――超繁盛店では、忙しさから店舗スタッフが疲れて辞めてしまいがちではないですか。
青木 ところが、一号店のスタッフの定着率は良かったんです。
確かに忙し過ぎると、スタッフが疲れてきて離職しやすくなります。ですから、ギャグを言って笑わせたり、温かい言葉をかけたり、差し入れをしたりなどして、スタッフのケアに努めました。
 特に、ピザの調理や電話の応対など、できることが増えた時には、ちゃんと認めて褒めてあげました。「売れるのはありがたいことだよ」、「(お客様に必要とされている証拠だから)社会貢献なんだよ」と、折に触れスタッフに教えることも心掛けました。
 多店舗展開を目指していたので、人が大変重要でした。どうやったら店に残ってくれるか、成長してくれるか考えつつ、スタッフを大切にしていました。

――店舗が一店舗だけなら、オーナー(加盟者)が直接スタッフに関わり、親密度を増して定着率をあげられますが、2店舗以上を展開する場合、この方法は難しくなります。
青木 ええ。ですから、二号店目を出した時に、私の分身になる社員を育てる仕組みを作りました。仕事の優先順位を明らかにした上で、それなりの権限、ポスト、収入を与え、後は任せるようにしたんです。でも、なかなか簡単にはいきませんでした。
 飲食業で働く人は、もともと人が好きで、さみしがり屋が多い。そのせいか、社員はオーナーといっしょにいる時間に比例して成長する傾向がある。私と直接関わる時間が少なくても社員が成長してくれるよう、試行錯誤を重ねていきました。既存店を回しながらの組織づくり、3店舗目の出店準備。全て同時進行でしたね。

フランチャイズ選びのポイントと万一の場合に備えた心掛け

――宅配ピザ一号店が成功した理由は何でしょう。
青木 まず、いいフランチャイズに加盟したことです。本部は味へのこだわりを持っていたし、オープン時のサポート、開業後の訪問指導などを、手厚く行ってくれました。
 当時は意識していませんでしたが、振り返ってみると、宅配ピザ市場の成長初期に開業したこと、本部トップのアドバイスに従い、競合のないエリアに出店したことも理由に挙げられるでしょう。

――宅配ピザ店の成功を足掛かりに、次々とフランチャイズに加盟され、現在では20業態のフランチャイズ加盟店52店舗を展開されています。はじめてフランチャイズに挑もうとする方に向けて、今日までの過程で学ばれたフランチャイズ選びのポイントなど、アドバイスをお願いします。
青木 時間と金を惜しまず、フランチャイズを徹底的に調べてください。
 大事なのは店舗を見ること。朝、昼、晩、晴れの日、雨の日など、あらゆるシチュエーションで店舗に足を運び、お客様の入り具合など状況を観察する。フランチャイズの中で一番いい店、悪い店、新店、撤退店などを比較して、なぜそうなったのかを考える。調査を重ね、フランチャイズについての情報量を増やしてから、加盟を検討してください。
 もちろん、どんなに調べても、結局は店舗を出してみないと、うまくいくかどうかはわかりません。フランチャイズへの加盟は、全て自己責任だということも忘れてはいけません。

――万一、店舗がうまくいかず、撤退することになった場合に備え、心掛けておくべきことはありますか。
青木 例えば、いざという時、損金をできるだけ抑えるために、通常なら開業資金が1,000万円はかかる店舗を、700万円で出せるよう工夫する。売却しやすい店舗にするために、いい立地に出店するといったことでしょうか。

――ありがとうございました。

通所介護施設
展開中のフランチャイズ加盟店(2)通所介護施設

執筆者:フランチャイズ選びから、一号店を軌道に乗せるまで

松本陽子
ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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