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連載コラム

第3回:「加盟したフランチャイズは伸び盛りだったが、立ち上げ間もない状態。自ら学ぶしかなかった (島一徳さん)

[ 2013年2月19日 ]

ワンズネットワーク代表取締役 島一徳氏
ワンズネットワーク代表取締役 島一徳氏

ワンズネットワーク(千葉県船橋市)代表取締役の島一徳さん。1995年に脱サラし、車買い取り店フランチャイズに加盟。フランチャイズ内で「車買い取り台数No.1」を3度獲得。現在、中古車レンタカーフランチャイズを立ち上げ、本部としても活動する一方、フランチャイズ加盟店として車買い取り店3店舗、リラクゼーションサロン2店舗、ラーメン店1店舗を展開。2011年度年商は約20億円。島さんに、成長初期のフランチャイズに加盟する場合の自助努力、魅力、リスクなどを伺いました。

成長性を信じ、立ち上げ間もないフランチャイズに加盟

――車買い取り店フランチャイズのAチェーンに、加盟されるまでの経緯をお聞かせください。
 1995年、35歳で独立を考え、予算内で出せるフランチャイズを探していた時、あるフランチャイズコンサルタントの方から、「面白いところがある」とAチェーンを教えられました。Aチェーンは前年に誕生したばかりでしたが、今までにないビジネスでした。
 当時、ほとんどの人が、車を買い替える際、手持ちの車をディーラーの言い値で下取りに出していました。ディーラーは、人気のバロメーターである中古車の相場を考慮せず、主に車の年式、走行距離、オプション品で買い取り価格を決めていました。一方、Aチェーンは相場に連動させた価格で車を買い取っていたんです。「Aチェーンは、人気のある車ならディーラーより高く買う。このチェーンは伸びるぞ、と感じました。
 中古車の高い単価も魅力だった。Aチェーンは未経験でも加盟できる。そして、最大の決め手となったのが、本部トップ。まだ三十数店舗しかない頃でしたが、「いずれ500店舗にする」、「セブンイレブンみたいになるんだ!」とワクワクするような夢を語ってくれました。加盟を急かすこともありませんでした。逆に「この業界には海千山千の人もいる。あなたは未経験で、線も細い感じだが、うちに加盟して大丈夫ですか?」と心配してくれました。この人なら信頼できるなと加盟を決意しました。

加盟当初は、赤字をよく出しました
加盟当初は、赤字をよく出しました

自ら店に入り、失敗しつつ事業を学ぶ

――加盟された頃のAチェーンは、立ち上げからまだ1年程度、三十数店舗の規模だったとのお話でした。本部指導の充実度などはいかがでしたか。
 まだまだこれからでした。例えば研修。私の受けた研修は2泊3日。車の検査の要である事故車の見分け方が中心でしたが、未経験者の私にはよく分からない。本部の担当者には「そのうち分かりますよ」と言われました(笑)。でも、約420店舗を数えるまでに成長した現在のAチェーンの研修は、充実していますよ。中古車ビジネスの基礎、検査スキル、商談の基礎と応用といったテーマ別研修などを実施しています。

――それではどうやって車買い取り業を学ばれたのですか。
 現場で自ら学びました。本部指導が充実するのを待っているわけにはいかないので。1年間は人を雇わず、1人で店舗を回していました。先ほど申し上げたように、事故車の見分けができす、高く買い取って、1台当たり20万円~30万円の赤字をよく出したものです。赤字が出ると、かなりショックでしたね(笑)。日中は店舗で商談、閉店後の雑用を終えた夜中に車について勉強したり、車のオークション会場で、事故車を見たりなどして検査スキルを磨きました。振り返ってみると、詳しい人を雇って任せたりせず、自分で勉強して正解でした。大変でしたが、知識と経験の積み重ねで、自信を持ってお客様に対応したり、仕事の改善点に気づいたり、トラブルが起きた際にも原因を推測したりできるようになりました。

口コミを発生させて、買い取り台数No.1の座を3度獲得

――自助努力でビジネスの基礎を学ばれた後、3度にわたり、Aチェーン内で車買い取り台数No.1を獲得されました。どのようにしてNo.1を達成されましたか。
 他店より高い買い取り価格で、お客様を集めていったんです。No.1にランクされたのは1997年、2000年、2001年の3回。この頃、Aチェーンの一店舗当たりの月間平均買い取り台数は40台~50台。私の店は90台ぐらいでした。Aチェーン店舗数は、1997年でおよそ350店舗、2000年~2001年には500店舗以上になっていました。
 加盟当初、Aチェーンの知名度は低かったので、口コミ狙いで高く買い取ることにしました。本部から買い取り価格の基準は出されますが、最終的にいくらで買うかは加盟店に任されています。本部査定で、買い取った車のオークションでの予測販売価格を把握し、ほぼ等しい金額で買い取っていました。起業から一定期間は消費税が免除されたので、消費税分が手元に残ればいいと考えたんです。でも、当時は予測販売価格をはるかに超えて、売れることがよくありました。中古車人気が高い時代だったので。平均粗利は1台当たり12万円~13万円を見ていましたが、50万円~100万円以上の粗利になる車もありました。こういう時代が10年ぐらい続きました。
 開業から1年は、利益を広告につぎ込みました。地元で「関東で一番高く(車を)買う店」との噂が立ち、車がどんどん持ち込まれるようになりました。買い取った車が店舗の駐車場に収まりきらず、店舗前の車道脇に20台ぐらい並んでいたもんです。No.1を達成してから、Aチェーンの加盟店さんたちがバスツアーを組んで全国から見学に来ましたが、みなさん一様に「立地は最低。店はボロい。なぜNo.1なんだ?」と驚いていました(笑)

――車買い取り店の一号店が成功した理由は、どこにあったとお考えですか。
 一番の理由は、開業当初、経験不足で失敗しながらも、自ら現場に立って学び続けたことでしょうか。中古車人気の上昇期、Aチェーンの成長初期に、フランチャイズ加盟、開業に踏み切った点も挙げられます。相場に連動させた価格で車を買い取る店がまだ珍しく、私が加盟した頃は、競合店もほとんど見当たらない状態でしたしね。

フランチャイズ初心者へのアドバイス

――今日までのご経験を踏まえ、はじめてフランチャイズにチャレンジされる方にアドバイスをお願いします。
 脱サラされる方は、覚悟を決める意味で、自らを追い込み、成功するしかないようにしたほうがいいと思います。私も、退路を断つために、脱サラ前に、ローンを組んでマンションを買い、長男が生まれたばかりの時期に、貯金を全て使って起業しました。

――島さんは、加盟者としてだけでなく、フランチャイズ本部トップとしても活躍されています。加盟者、本部双方の立場に立って分かった、加盟店成功のコツはありますか。
 本部とのコミュニケーションです。私が、弊社の加盟している本部と距離を置いていた時期がありました。すると従業員も同じ感覚で仕事に取り組み始め、売り上げが落ちました。自らが本部の立場について分かったのですが、加盟者が本部に近づけば近づくほど、本部も本気で加盟者に向き合うものです。加盟者である限り、まずは本部を信用し、コミュニケーションを心掛け、改善点があればWin-Winになるように考えて意見を言ったほうが道は開けます。

――ありがとうございました。

成功には、本部とのコミュニケーションが大切
成功には、本部とのコミュニケーションが大切

執筆者:フランチャイズ選びから、一号店を軌道に乗せるまで

松本陽子
ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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