連載コラム

第41回 高齢者ケア(4)

[ 2012年5月28日 ]

今回は、副業としても取り組める「介護予防デイサービス」、横浜コミュニティビジネスグランプリ優勝の「介護保険タクシー」、複合化で利益を拡大する「フィットネス複合型デイサービス」の3社を紹介します。

[事例1] 介護予防デイサービス「GENKI NEXT」(げんき ねくすと)

(フランチャイズ本部:株式会社介護NEXThttp://kaigonext.jimdo.com/)
~介護整体で集客!副業OK!本部による施設管理代行可能~

 多くの介護予防デイサービスの利用者は、介護度(介護の必要度)が軽い比較的元気な高齢者。大半の介護予防デイサービスでは、利用者が、介護が必要な状態に陥ったり、介護度が重くなるのを防ぐために、主に軽い筋肉トレーニングによる機能訓練を行います。一方、GENKI NEXTでは、こうした機能訓練に加え、介護整体を実施。介護整体は、GENKI NEXTならではの特長として人気を集めています。介護整体とは、筋肉調整、関節運動による身体のもみほぐし。他の介護予防型デイサービス利用者が、介護整体を受けたいために、GENKI NEXTに移る例は珍しくありません。GENKI NEXTは、グループ会社で整骨院、整体院などを全国200施設以上展開。積み重ねてきた整体技術により、介護整体が可能になりました。GENKI NEXTでは、適切な介護整体のために、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの国家資格保持者を採用、教育して施設長に任命。施設長が、施術に関する施設スタッフの教育、利用者の身体状況の診断や難しい施術を行います。施設長の採用、教育は本部が担当。
 また、加盟施設の営業面ついては、本部の営業担当者が、加盟施設の生活相談員(※)をオープン1カ月前から営業担当者として教育。生活相談員は、ケアマネージャー(※)に介護整体を体験してもらうなどの営業活動を実施します。GENKI NEXTは、営業活動により既存施設の8割~9割がオープン後3カ月で黒字化を達成しています。通常、加盟者の役割は施設の経営全体を見ることですが、本部のエリアマネージャーに管理業務全般を任せることで、副業としての展開も可能。施設長対象のオープン前研修は2週間~3週間。加盟者対象研修はなし。オープン後の経営指導は必要に応じ随時実施。

※生活相談員:ケアマネージャーやデイサービス利用者、その家族の間に立ち、利用者の心身の状態を把握して、デイサービスでのケアプランなどを作成する。デイサービスには、生活相談員の配置が義務付けられている。
※ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者に合わせて、どのような介護サービスが必要かを調べ、ケアプランを作成したり、自治体や高齢者ケア事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。一般に、高齢者ケア事業における主な営業先は、ケアマネである。

加盟店オーナーからひとことコメント!
「1施設目はオープン後3カ月で黒字。2施設目は2カ月で黒字化見込み」
■GENKI NEXT川口前川オーナー  堤 健治さん

 「以前はGENKI NEXT本部で、営業を担当していましたが、多くの加盟者さんの成功を見たり、地域の人からGENKI NEXTへの感謝の声を聞いて、独立・開業を決意。1施設目はウェイティングが20人出るほどの盛況ぶり。1施設目のオープンから1年余りで、2施設目をオープンしました。マッサージや運動中心の施設なのでスタッフ確保も容易です」

フランチャイズ展開開始年 2008年
直営施設数 / 加盟施設数(2012年5月21日現在) 10施設/46施設
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人約40% 法人約60%
業界未経験者の加盟比率 8割以上
標準開業資金(店舗取得費別)/標準店舗規模 約625万円/20坪〜30坪

介護NEXT 取締役副社長 赤星良平氏

GENKI NEXT

[事例2]介護保険タクシー「介護保険タクシー コアラ」

(フランチャイズ本部:介護保険介護タクシー事業会(※)http://kaigotaxi.net/)
~横浜ビジネスグランプリ優勝!1人介助技術で人件費抑制!~

 介護保険が適応される介護保険タクシーでは、利用者負担は料金の1割。その結果、利用者が支払う金額は、通常のタクシー料金の3分の1~4分の1。低料金で、買い物や病院通いなど、日常生活に利用できる介護保険タクシーへの需要は大きいものです。介護保険タクシー コアラ(以下コアラ)では、介護保険タクシー業務に加え、介護保険が適応されない介護タクシー(利用者が料金全額負担)業務も行い、経営基盤を安定させています。また、他にない一人介助技術で差別化を図っています。一人介助技術とは、例えば、車いすに乗った利用者の階段の昇降のように、通常なら複数の人手が必要な介助を、利用者にとって安全・快適に一人で行う技術。独自の介助技術が評価され、コアラは2004年横浜コミュニティビジネスグランプリで優勝しました。なお、一人介助技術は、人件費も抑制しています。
 利用者開拓は、本部の調査、指導に基づくファックス営業中心です。本部は介護保険タクシーに求められているサービスなどを調査。調査結果を反映させたファックス本文のたたき台や、ファックス送付先のリスト作成に必要な情報を加盟者に提供します。加盟者は本部の指導を受けながらファックス本文を作成、提供された情報を基に送付先をリストアップして、ファックス送信。ツボを押さえたファックス営業により、利用契約の成約率は高くなっています。介護保険タクシーは年間利用契約が基本なので、経営の安定化は容易。研修は本部で受ける本部研修か、スカイプ(※)による通信講座のいずれかを選択。いずれも3カ月程度かかり、この間に必要な資格取得も可能。通信講座なら、加盟者はどの地域に在住していても就労しながら研修を受けられます。ただし技術現場研修は3日間泊まり込みで実施。開業後はホットラインによるサポート、定期的な弱点補強、経営診断、介護技術指導あり。開業後5年間はSV(スーパーバイザー)による経営サポートがあります。

※介護保険介護タクシー事業会:NPO法人福祉グループコアラが、介護保険タクシー事業を展開するために立ち上げた組織。
※スカイプ:インターネット電話サービス。通信相手もスカイプを使用している場合、音声通話、ビデオ通話などが無料になる。

加盟店オーナーからひとことコメント!
「1回目のファックス営業から反応あり。利用者数は順調に増えています」
■兵庫コアラ 山本弘一さん

 「宅配便のドライバーを辞め、2011年8月に開業。マンツーマンの通信講座だったので、不明点が残るといった問題はありませんでした。介助技術は必ず身につけなければなりませんから、希望して技術現場研修を2回受けました。就労しながら研修を受けましたが、仕事への影響はゼロ。開業後のサポートで特に助かったのは、営業トークの指導ですね」

フランチャイズ展開開始年 2007年
直営事業所数 / 加盟事業所数(2012年5月19日現在) -/198事業所
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人約95%
業界未経験者の加盟比率 約90%
標準開業資金(自宅開業(※)の場合)
※基本的に自宅開業OK。地域によっては難しいケースもあるので要相談。
約157万5,000円

NPO法人福祉グループ コアラ理事長 橋本利廣氏

介護保険タクシー コアラ

[事例3] フィットネス複合型小規模デイサービス(※)「樹楽(きらく)フィット&デイ」

(フランチャイズ本部:株式会社アクロスhttp://www.kiraku-ac.com/)
~複合化により差別化、利益拡大!保険請求業務は本部代行~

 樹楽フィット&デイ(以下、樹楽)は、中程度の要介護度(介護の必要度)の人でもムリなく取り組めて効果が出る、独自のフィットネスを開発。利用者やその家族、ケアマネージャー(※)からは、「車イスを使わずに介助付きで歩行できるようになった」、「利用者が笑うようになった」との声が多数寄せられています。樹楽では、フィットネス施設とデイサービス(※)が複合化されているため、フィットネスプログラムも、デイサービスの食事、入浴、宿泊サービスも、一か所で受けられます。デイサービス、フィットネス施設の利用にはいずれも介護保険が適応されます。また、フィットネス施設利用者がデイサービスに立ち寄り、デイサービス利用者と歓談したり、デイサービス利用者がフィットネス施設に出向いてマッサージ器を使うなど、両施設利用者の交流は樹楽ならではの特長にもなっています。樹楽は、こうした利便性、低価格、多様な交流から支持を集めています。
 樹楽は、施設の複合化により、各施設単体で営業するより、利便性による差別化、サービス内容拡充による利用者増と利益拡大を実現しました。デイサービス研修は介護保険に関する知識、施設運営ノウハウなどを中心に5日間、フィットネス研修はフィットネス内容中心に3カ月予定。オープン後のスーパーバイザー(SV)による指導は月1回。保険請求作業は本部が代行。なお、樹楽の本部企業アクロスは、全国に157店舗を展開する複合カフェ「コミックバスター」フランチャイズの本部でもあります。複合カフェで培ったWebカメラを用いた24時間の施設管理ノウハウは、樹楽の安全運営にも活用されています。

※ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者に合わせて、どのような介護サービスが必要かを調べ、ケアプランを作成したり、自治体や高齢者ケア事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。一般に、高齢者ケア事業における主な営業先は、ケアマネである。
※デイサービス:要介護・要支援認定を受けた者に、一定時間、デイサービスセンターなどの施設で、主に食事、入浴、レクリエーションなどを提供するサービス。要介護認定とは、介護保険からサービスを受けるために、介護の必要度(要介護度)を判定すること。要介護度には要支援1、2、要介護1~5の7段階がある。

※現在、まだ樹楽の加盟施設は出店されていません。
フランチャイズ展開開始年 2012年9月をめどに本格展開予定。現在、加盟申し込み受付中
直営施設数 / 加盟施設数(2012年5月17日現在) 1/0
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
※法人のみ募集予定
業界未経験者の加盟比率 ※未経験での加盟可能
標準開業資金(店舗取得費込み)/標準店舗規模 約2,600万円/80坪

アクロス代表取締役社長 原田健市氏

樹楽フィット&デイ

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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